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三十一文字物語  作者: 京屋 月々
第一章 雷乃発声
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第十四話「薔薇の鉄門」

 二階の廊下は、放課後になったばかりのためか、まだ多くの生徒たちが残っていた。階段へ向かう生徒たちを避けて、苑紅そのべには足早に廊下の奥へと進んで行く。

 繊細せんさい刺繍ししゅうが入ったドテラの背中を、何度か人影にさえぎられながらも、蒼空そら琴葉ことはは追いかける。


 苑紅そのべにを追いながら、すれ違う二年生達を横目で見ると、大半の生徒が個性的な制服を身につけているのが目に入った。

 支給された制服をきっちりと着た一年生とはまったく違う様子に、蒼空そら琴葉ことはは興味をそそられた。

 ズタズタに引き裂いたような制服や、宙に浮いた羽衣をまとう女子生徒など、苑紅のドテラもそうだが、誰も彼も独特なよそおいをしている。

 琴葉は先を行く苑紅の背中に話しかける。


「二年生は派手な制服の人が多いっすね!」

「ん? あぁ、そうね。アンタたちもいずれそうなるよ」


 苑紅は歩をゆるめず、軽い調子で言った。


「そうなんすか?」

「あたしらの装束や武器なんかの大半は工藝棟こうげいとうが作ってんだよ。一年の後半あたりから、工藝棟との合同授業で知りあいが増えるから、制服もあいつらに頼んで改造してもらってるんだ」

「へぇぇ〜」


 歩く速度はそのままに、三人は会話を続ける。


「でも、勝手に制服を変えちゃって、先生に怒られたりしないんですか?」


 もっともな疑問を琴葉がぶつける。少なくとも、琴葉のいた学校ではそんな自由はなかったので不思議に思う。


「もちろん学校公認だよ。工藝棟の連中は、授業で習ったことをあたしたちで試してんの。ていのいい実験台さ」

「なるほどー」


 苑紅は前を向いて会話しながら廊下を曲がり、さらに奥へと進んでいく。


「ま、あたしらも依頼するときにはあれこれ注文つけて、自分好みのものを作ってもらうから、お互い様なんだけどね。持ちつ持たれつってやつ」

「そうなんですね」

「特に装束連しょうぞくれんの奴らは、目立ちたがり屋が多くて、派手な着物を作るの大好きだからね。短歌連たんかれんはみんな段々と個性的になっていくってわけ」


 ふと気付いたように、蒼空が何の気なしに問いかける。


「苑紅さんのドテラも誰かに作ってもらったんすか?」

「あぁ……。いや、これは違うんだ……」


 身を抱くようにドテラの胸部分をギュッと握りしめて、苑紅が小さく答えた。

 今までになく歯切れが悪い苑紅の様子に、二人はそれ以上聞けなかった。

 そして、苑紅はだいぶ奥まったところにある教室の前で足を止めた。


「さ、着いたよ」


 苑紅が教室の扉に手をかけようとしたところで、ちょうど向こう側からガラリと扉が開き、出てきた少年とぶつかりそうになった。


「おっと」

「あれ? 苑紅じゃん」


 見知った顔らしく、鞄を抱えた少年は気軽に声をかけてきた。


「よっ! 福丸ふくまるまだいる?」


 苑紅は小さく手を上げて、挨拶しながら尋ねた。


「あぁ、福丸ならまだいるよ。ほら、あそこ」


 少年は後方を親指で示すと、またな、と言って去っていった。

 苑紅は扉からひょいと顔を出し、教室をのぞいた。蒼空と琴葉も、苑紅の横から教室内を覗き見る。

 少年が指し示した教室の窓際に目を向けると、窓から入ってくる風に、クリーム色のカーテンが大きく揺らいでいた。


「ちょっと邪魔するよ」


 誰にともなく声をかけて、苑紅はまだ人の残る教室にずかずかと入っていく。


「お、お邪魔します」


 琴葉は小さく言ってからそろりと教室に入り、その後ろから蒼空がのんびりと続く。


 苑紅は無言で教室の奥まで進むと、風になびくカーテンに近づいた。すると風が弱まり、大きく揺らいでいたカーテンが静かに収まった。そして、そこに一人の少年が現れた。

 紫の羽織を肩にかけた少年は、腰の高さの窓枠に座り、物憂ものうげに外を眺めていた。

 端正たんせいな横顔にはやわらかそうな茶色の髪の毛がかかり、時折ときおり吹く風が、男にしては長めの髪を揺らし白皙はくせきの頬をぜた。

 何とも絵になりそうな光景だが、それを一種異様な雰囲気にしているのは、彼の背後に咲く大量の赤い薔薇ばらだった。


「薔薇だ〜、きれいー」

「ウタで咲かせたのか……?」


 無邪気に喜ぶ琴葉と興味津々に様子を見る蒼空。苑紅は表情を動かさずに、まっすぐ少年に歩み寄った。


「よぉ、福丸ふくまる


 真正面に立った苑紅が声をかけても、少年は聞こえていないかのように外を見たままだ。


「おーい、聞こえてんのー。ふくまるー。お福ー。福ちゃーん。」


 再度、苑紅が口元に手を添えて、大きな声で呼びかけるが、反応はない。蒼空と琴葉は、苑紅の背後からその様子を見守っている。

 その時、ふと、少年が虚空こくうに手を差し出した。


 『物憂ものうげな風に舞い散る薔薇の花 刹那(せつな)(きら)めく美は止まらない』


 少年が詠歌えいかすると、手の上に五句体ごくたいが現れスルスルと収束すると、薔薇色に輝く光球こうきゅうとなった。光球はふわりと浮かびあがると、少年の頭の上まで昇っていき、パシッと弾けてキラキラと光る真っ赤な薔薇の花びらを降らせた。

 そして、少年はおもむろに制服の胸元に手を滑らすと、内ポケットから伝冊を取り出して自撮りしはじめた。


 額に青筋を浮かせた苑紅が、すかさず懐から扇子を取り出して、福丸の頬にドスリと突き刺し、思い切り捻じりあげた。


「ドゥフッ!」


 いきなり頬を突かれた福丸は、窓枠から外に落ちそうになり、ワタワタと両手を振り回すと、体勢を崩して教室の床に尻もちをついた。

 途端に、福丸に降り注いでいた花びらも、背負っていた薔薇も粒子となって跡形あとかたもなく消えた。


「いったぁぁ……もう……」


 扇子に突かれて赤くなった頬と、床に打ちつけた尻をさすりながら、福丸が立ちあがった。ひょろりとした体躯は細身で、苑紅よりも背が高い。


「呼んでんだろが、福丸!」

「苑紅ぃ……。急に何するんだよ〜?」

「何度も呼んでるのに反応しねーからだろ! 大体、薔薇背負(しょ)って何してんだオメーは!」


 苑紅の言葉に、福丸は乱れた髪を掻きあげて、フッと笑うと、窓の外に目をやる。


「今日の風は優しくてね。ともにたわむれていたのさ……」


 それに対して苑紅は、無言で扇子を福丸の脇腹にぐりぐりと突き立てた。


「いだだだだだだっ!!」

「そ、苑紅さん……」


 福丸の悲痛な声に、琴葉が心配そうな声をあげる。それを聞いて苑紅はスッと扇子を引っこめた。


「もぉ、何しに来たんだよぉ……」


 涙目になった福丸が問うと、苑紅は用件を思いだしたようにポンと手を叩いた。


「そうそう。今日はアンタにちょっとした頼みがあって来たんだよ」


 苑紅の明るい笑顔とは対照的に、福丸はスッと青ざめる。


「そうか、頼みごとか。うんうん。わかった」


 福丸はこくこくと何度もうなずくとスッとかがみ、床に手をついて、出しぬけに詠歌を始めた。


 『窓を打つ悪魔の声をはらむ雨 我をまもれよ薔薇ばらの鉄門』


 一瞬で床に広がった詠力陣えいりょくじんは強い光を放つと、中央から鉄の門がズズンと生え出てきた。人の背丈よりずっと大きく、黒々と光る鉄の扉は福丸と苑紅をへだてるようにそびえ立つ。刺々しいいばらと薔薇の花で飾られた扉は、全てを拒むようにがっちりと閉まっていた。


「ウタの門!?」


 突然現れた扉に琴葉は驚くが、苑紅は表情一つ変えずに無言でたたずむ。

 ふぅと軽く息をつくと、苑紅は扉をゴンゴンと叩いた。


「まぁ、聞いてよ。あたしさ、新しい短歌部を作るんだ。後ろの二人はその部員。ほら、二人とも挨拶しな」

「私、短歌連一年の小野琴葉おのことはです!」

「同じく短歌連一年の草凪蒼空くさなぎそらっす」


 紹介された一年生二人は、声を張りあげて扉の向こうの福丸に自己紹介をした。扉の横はガラ空きなので、もちろん声は聞こえているはずだ。


「でも、まだ人数が足りないんだ。福丸、アンタも入ってよ」

「い、嫌だっ! 苑紅の頼みごとを聞くといつもろくなことにならないんだ! 大体、部活なんて絶対に嫌だっ! 僕は忙しいんだ!」


 扉の向こうで福丸は拒絶の声をあげる。


「とにかく話だけでも聞いてよ」

「いーやーだっ! 僕はここから一歩も動かないぞ!」


 扉越しに穏やかに話しかける苑紅に対して、福丸は取りつく島もない。先ほどの優雅な雰囲気とは一変し、まるで駄々をこねる子供のようだ。

 教室にいる他の生徒達は、見慣れた光景なのか、この異様な状況をまるで気にかけていない。


「忙しいったって、どうせ加工しまくった自撮りを伝網でんもうにあげてるだけだろ?」


 苑紅の言い草に、福丸はムッとして言いかえす。


「そうだけど!? 最近は、フォロワーだってすごく増えたんだ! 美しい僕の写真を待ち望むみんなのためにも、部活なんてやる暇はないんだ!」


 福丸のあまりの強情さに、とうとう苑紅もキレて、扉の取っ手を掴んで引っ張りだした。


「いいから開けろ、この野郎!」

「いやだー!! うわーん! 誰か助けてー!」


 福丸は開けられまいと必死になって、反対側から扉を引っ張る。

 鉄の扉を引っ張りあう二人の後ろで、琴葉はどうしていいかわからず、ハラハラしている。門の両脇はガラ空きなため、なぜ二人が意地になって門を引っ張りあっているのかわからないのだ。

 蒼空は両手を頭の後ろに組み、ニヤニヤと様子を見守っている。

 

「わわっ。えーと、どうしたら……」


 手を出すこともできずに、あたふたする琴葉の背後から、突如とつじょ優しい声が分けいった。


「あらあら、みんな集まって楽しそうね」


 蒼空と琴葉が振り返ると、二人の担任の福岡教諭が優しい微笑みをたたえてそこに立っていた。


「あら、草凪君と小野さん。こんなところで、どうしたの?」

「せ、先生!」


 助けを求める琴葉に微笑みを返すと、福岡は奥にいる苑紅に声をかける。


伊勢いせさん、ここにいたんですね。随分と探したんですよ」


 呼びかけられた声に、苑紅は扉から手を離して振り向いた。


「おー! “ふくよか”先生!」

「こらっ。“ふくおか”先生でしょ」


 優しく叱る福岡教諭に、苑紅はヘヘッといたずらっぽく笑う。


「昨日の放課後、新しい部の申請しんせいについて聞きにきてくれたでしょう? そのことについてお話に来ましたよ」


 それを聞いて、待ってましたとばかりに苑紅は福岡に飛びついた。蒼空と琴葉も部の申請と聞いて身を乗り出す。


「おぉ、先生、ありがとう!! それで!?」

「あなたも知っての通り、部を新設するには、まず最低五人の部員の申請が必要です」

「やっぱりかー」


 はぁー、と大きく苑紅は溜め息をつく。


「それと、設立試験がありますよ」

「試験……?」


 試験と聞いて、苑紅は目を細める。


「試験内容は歌合うたあわせです。その歌合の如何いかんによって、月島学長が最終決定をなさいます」

「ちょ、ちょっと待ってよ先生。歌合って、いったい誰が相手なの!?」


 苑紅のいた声に、福岡が答える。


「短歌部については、すでに第一・第二短歌部があるから、顧問の甲賀こうが先生が責任者となって対戦相手の手配と、試験の準備をされますよ」

「ちっ、やっぱり甲賀か……」


 露骨ろこつに眉をひそめて苑紅は舌打ちをした。


「こらっ。“甲賀先生”でしょ」

「はーい」


 怒られても全然()りていない様子で苑紅が返事をする。


「ふふっ、でもね。私、伊勢さんの新しいことへの挑戦、とーっても素敵なことだと思いますよ。先生は応援してますからね」


 にこにこと福岡は嬉しそうに微笑んだ。


「それと、草凪君と小野さんのこと、お願いしますね」

「それは任せといて」


 幾分いくぶん、真面目な調子で福岡は付け加えた。急に話を向けられて、一年生二人はきょとんと福岡を見返す。


「では、ごきげんよう」

「先生またねー」


 福岡はおっとりと会釈えしゃくすると、教室から去っていった。苑紅は手をブンブンと振って見送った。

 さて、と苑紅は腕を組んで蒼空と琴葉に向き直った。


「やっぱり五人必要か。あと一人をどうするか、だな」

「まっ、待て! それ、僕も頭数に入ってないか!?」


 少しだけ開いた扉の隙間から、福丸が目だけを覗かせてツッコミを入れる。その隙を見て、苑紅がガッと扉に飛びつくと、福丸は急いで扉を閉めた。そして再び、扉の引っ張りあいが始まった。


「いい加減出てこい!! このッ……! 開ーけーろー!!!」

「いやだーー!」


 しばしの引っ張りあいの後、苑紅は扉から手を離し、疲れたように小さく溜め息をついて、鉄の門に向かって話しかけはじめた。


「アンタの夏休みの宿題の絵日記、手伝ってやったじゃん?」

「あ、あれは、紅ちゃんが書かせろって言って、無理やり僕の絵日記を奪ったんじゃないか!」


 門の向こうから福丸が小さく抗議する。


「一緒に廃工場を探検した時だって、アンタが暗いの怖いのってビービー泣くから、励ましてやったじゃん」

「僕は行きたくないって言ったのに、紅ちゃんに無理やり連れていかれたんだよ!」


 これにもすかさず反論が入る。


「初等部の時、アンタが悪ガキたちに絡まれてんの、いつも助けてやったじゃんか」

「……」


 鉄の門の向こうからは、何も返答がない。

 少しの間、苑紅は黙りこみ、目の前に立ちふさがる大きな門を見つめた。そして、そっと門に触れると、冷たく固い鉄のかたまりに額をつけて呟いた。


 「もし君が困っていても泣かないで ぼくが守るよ夕日にかけて」


 その瞬間、扉の向こうでヒュッと息を飲む音が聞こえた。


「そ、その短歌うた……どうして……」


 福丸が動揺した声をあげる。


――あれは、まだ二人が幼い子供だった頃


 福丸は女の子のような容姿と、とある理由で近所の悪ガキどもに目を付けられて、毎日のように追い回されていた。

 福丸がいじめられるたびに、すぐに苑紅が駆けつけて助けてくれた。しかし、ある時、悪ガキたちが苑紅を打ち負かそうと、上級生を連れてきた。


 自分よりふた回りも大きい相手に対して、苑紅は一歩も引くことなく立ち塞がり、取っ組みあいの大喧嘩の末に、とうとうねのけた。

 傷だらけでボロボロになった苑紅と、べそをかいた福丸はいつもの公園に行き、大きなカタツムリの遊具の上にのぼって一緒に夕日を見た。

 いつまでも泣いている福丸に苑紅が怒る。


「何でお前が泣くんだよ!」

「だ、だって。紅ちゃん、ち、血が……」

「あん?」


 苑紅が袖で顔をぬぐうと、泥だらけの服に血がついた。


「こんなの、どうってことねーよ! またいじめられたらすぐ呼べよ! あたしが守ってやっからな!」


 苑紅が、にかっと歯を見せて笑ったその瞬間、前歯がぽろっと取れた。

 はっと気付くと、苑紅の目からぽろりと一粒涙がこぼれた。ずっと我慢していたのか、せきを切ったようにボロボロと落ちる涙が止まらない。


「な、なんともねーよ!」


 小さな苑紅は、誤魔化すように乱暴に目元をぬぐった。


「ぼ、ぼくも!……あのね、ぼくもねっ!」


 自分の想いを伝えたいけれど、初めて涙を見せる苑紅を前にして、うまく言葉が出てこない。


――だから、短歌うたで。


 「もし君が困っていても泣かないで ぼくが守るよ夕日にかけて」


 あの時、夕日に照らされた苑紅がどんな顔をしていたか思い出せなかった。


 しばらくの沈黙の後、ギィと小さな音を立ててゆっくり扉が開き、隙間から福丸が顔を覗かせた。


「なんで、その短歌うた覚えてるの……?」

「忘れたことなんてねーよ」


 苑紅が歯を見せて、にかっと笑ったその瞬間、鉄の門が粒子となり、サァァと音を立てて消え去った。


「助けてくれる気になった?」

「……わかったよ」


 しぶしぶといった福丸の答えに、苑紅はくしゃりと破顔はがんすると、福丸の背中をバシッと強く叩いた。


「いつも悪いね!」


 福丸は悲しげな表情を浮かべて、はぁぁ〜と大きな溜め息をつくと、救いを求めるように天井に向かって両手を差し出した。


 『すすばんだ灰の空から終末を告げる冷たい霧雨きりさめが降る』


 福丸の両手の上に浮かびあがった五句体は、渦を巻いてひと筋の煙となる。煙はスルスルと立ちのぼると、福丸の頭の上に浮かぶ小さな雲になって、しとしとと雨を降らせた。


「あぁっ! また僕の平穏へいおんが終わりを告げる! おぉ、神よ! あなたは残酷ざんこくだ! 美しさと引き換えに、冷たい雨の試練をお与えになるのですね!」


 しっとりと濡れそぼち芝居がかった台詞を吐く福丸を無視して、苑紅は蒼空と琴葉の方を振り向いた。


「さてと。あと一人は何とか見つけるとして、次はっと」


 一年生二人と福丸は、どうするのかと苑紅を見つめる。


歌合うたあわせの準備だ!」

「準備って何をするんですか?」


 琴葉の疑問に苑紅は、ビシッと窓の外を指差した。


「装束連に行くよ!」

「……今から?」


 濡れそぼった福丸が肩を抱いて、ブルブルと震えながら質問する。


「そう! 行くよ!」


 がっと福丸の首根っこを掴むと強引に引きずって、苑紅は教室を出ていく。蒼空と琴葉はとぼとぼ歩く福丸の姿に、顔を見合わせて笑いながらその後をついていった。



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