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元介護士の異世界珍道中  作者: くるら
9/12

第9話 異世界でひきこもり

レイナは記憶を無くしていた。

言葉は通じるだけど、何故こんな所に卵を持っていたか、一緒に来ていた人達が誰か全てを忘れていた。

箸の使い方、トイレ、生活する事の全般ができない。

歳が近いからと光一が面倒を見ている。

異世界の田舎の紙すら無い村、オムツがある訳もない、失禁したら光一が洗い、食事も光一が一部介助しながら行う。

光一は前世の記憶の再現をしてない、いやできないのだ。医術に詳しい事もなく、機械工学に詳しい事もなく、農耕学に詳しい事もなく、学術が秀でてる訳でもない至って平凡な光一には何もできなかった。だから介護が出来て人の役に立てたのが光一には嬉しかった。


「今日の洗濯終わりっと。せめて、オムツがあればなあ。無理だよなあ。吸収率が高い物なんてないしましてや作れないし。」


卵をレイナに見せると「神獣様、お助けください、神獣様、お助けください」と壊れたラジカセの様に繰り返してしまうので卵は村長が預かっている。

光一は毎日卵を磨いていた。何となく綺麗にしておきたかったからだ。


レイナは村長の家の外には出たがらなかった。外に連れ出すと震えて動けなくなってしまう。


何故かカイトを視ると「お助け!お助け〜!魔人様〜!」と時代劇宜しくな土下座&命乞いが始まってしまう。

カイトはそれ以来レイナの側には行かなくなった。


後ろから気配を消してレイナをみているカイトを偶然発見して話かけたら鬼神の如く怒られた。


レイナは日本で言う引きこもり、庭に出る事すらしない、光一と村長以外には会おうともしない。

ある意味筋金入りだ。



♢?????視点


『あぁ暇だ。暇だ。退屈だ。神の使い何てやるもんじゃない、碌に使命や天命も無いしほったらかされてんのと同じだ、自由なのは良いが暇過ぎだよおお』


そう愚痴りながら空を飛ぶ神の使い?

彼は神の使いではあるが、その神が他のことに夢中でここ何百年か放置されていた。


『おや?ボロっちい村に麒麟の気配がするぞ!これはからかいに行くしかないな、シシシ」


シシシと独特な笑い声をあげながら飛び、麒麟がいるであろう人間の家の屋根に着いた。


『あれ?何であいつ卵なんだ?卵じゃ遊べないじゃーん。あーあ。』


?????は退屈そうに村の中を見渡す。


村人村人村人村人村人村人村人村人勇者村人村人村人村人村人村人村人村人村人村人巫女村人村人村人村人村人村人村人混ざり者村人村人村人


『やや!この村には勇者がいるのかあ、天命とか受けてないかなあ?巫女もいるじゃないか!シシシ。

村人の中に混ざり者がいるねえ。中身はおじさん見た目は子供シシシ。

あいつどの神様に送り込まれたんだ?!シシシ』


?????はものすごーく暇だったのだ。


『まずはシシシあの混ざり者を観察してから話しかけて見ようシシシ』




光一はレイナを救った日から毎日、介護や訓練の合間に村周辺のスライムを倒していた。3匹以上は相手をせず、2匹までと決めておごらないようにひたすら狩りをしていた。


『シシシ、スライムを倒して英雄ごっこかい?お兄さんや』


途端に声が聞こえる、からかわれてると思い辺りを隈なく見回すが誰もいない。

少なくとも人間はいない。


『上だよ、木の上。攻撃何てつまらない真似をするんじゃあないよ。ワッチは暇なんだ、君の魂の可笑しさに思わず声をかけてるだけなんだから』


木の上を見る、黒いカラス?の様な鳥がいる。脚は3つ。首から勾玉?みたいな物を下げている。


「あっあのカラスが喋っているんですか?」


光一は我ながら間抜けだなと思いながらも聞いてみた。


『カラスではない、八咫烏だ聞いたことはないかい?神の使い、導きの神鳥、太陽の霊鳥、何て呼ばれた事もあるよ。跪きな!シシシ』


そう言って八咫烏は笑った。


「あっあの、その八咫烏様が何故この様な村に?」


『ん?暇だから』


シーン


あまりの短絡的な理由に光一が固まっていた。


『んっうん。それで君は何処の世界から招かれたか知らないがスライム倒して英雄ごっこしてるのかい?もっとガツンと大物狩らないのかい?宝を探したりさあ、楽しい事は他にあるだろ?』


「無理ですよ・・・。どんなに頑張っても弱いし。」


訝しげに光一を見る八咫烏


『??弱い?君が?そんなスキルを持っていて?それ神がくれたスキルだろ?使わないの?』


「鑑定眼ですか?これは戦闘用じゃないですよ・・・もう一個は鑑定してもわからないスキルだし。」


『シッシシシ!これは愉快、スキルがわからない、使えない。シシシこれは愉快。強くなりたくないかい?神の玩具のまま死にたくはないだろう?』


大笑いしながら光一に聴く八咫烏。


「・・・しにたくない・・」


光一は下を見ながらぽつりと呟いた。


『シシシシシシ聞こえないねえ』


「死にたくない!訳の分からない世界で、何も知らないまま死にたくない!守られてばかりじゃなく、守りたい!強くなりたい・・・。」


拳を血が出るまで握りしめながら光一は叫んだ。


『シシシ、力を上げよう。導いてあげよう。哀れな光一を助けてあげよう。対価は必要だよ光一。対価は君が死んだ時に君の魂を頂こうかねえ。』


「わかったそれでいい。」


『シシシ!ではアグリーメント!』

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