第8話 リベンジスライム戦
光一は訓練の合間に鑑定眼の発動タイミングや範囲を指定して視る練習に勤しんでいた。何故なら鑑定眼を使う度に頭痛が起きてたら戦闘の最中に決定的な隙が生まれてしまうからだ。
筋トレとは違い、使えば使う度に制度が上がり、上手くなってる実感が湧くスキル練習は好きだった。
♢
コルグ草原へ続く道
(今度こそ、スライムは倒してやる!あんな風に負けるのはもう嫌だ!)
草むらが不自然に倒れ、辺りに人工的な木材が散乱している。モンスターの声がする。
「たす・・・け誰が・・・・」
光一と何かを庇いながら倒れている人や血を大量に流しながら倒れている人がいる。
そこにスライム三体、狼型の魔物二匹に囲まれている。
駆け寄り助けを求めた女の子の前に立つ光一。脚は震えている。沢山の血や身体が損壊している人を見たのも初めてだ。
だけど逃げるわけには行かない。戦えるのは少女を救えるのは今光一だけだ。
「大丈夫ですか!?今助けます!」
光一は即座にモンスター達に鑑定をした
スライムLv 1 スキル無し HP10
スライムLv 1 スキル無し HP10
スライムLv 1 スキル無し HP10
コルグウルフLv 2
HP20
スキル 咆哮 噛みつき
コルグウルフLv 2
HP20
スキル 咆哮 噛みつき 統率
「うおおー!」
気合いの咆哮と共にスライムに斬りかかる光一。
ザシュッ一体のスライムを斬りふせる。リベンジの感動や倒した余韻に浸る暇すらなくモンスターを視る。
『フシュルル』『ギャウ!』
コングウルフが噛みつこうと飛びかかってくる。
光一は何とか回避をする。
「くっくそ!後4体!何とか守らないと!」
コルグウルフの首を斬る様に木刀を横薙ぎに振るう、
バランスを崩したコルグウルフに追撃をかける光一。
「おりゃー!!」
コルグウルフを一体仕留め残り三匹になった。モンスター達も警戒している。
光一の隙をつきスライムが倒れている人を狙う。
「やっやめろー!」
光一が倒れている人を庇いスライムの攻撃を受ける。
すぐさま木刀で振り払い倒れている人の前に立つ。
ダメージはかなり大きい。だが光一は歯をくいしばって耐えた。
光一に体当たりをしたスライムを斬りふせ、残り二匹を視る。
そこに駆け寄る見知った影。
「・・・気になって来たら案の定か。光一!後ろの奴は俺が守る。お前はモンスターだけに集中しろ!」
「はい!ありがとうございます!怪我してるみたいなのでお願いします!」
光一はモンスターの方に駆け、木刀を振るい残りのスライムを斬りふせる。
『グルルル』
最後のコルグウルフは警戒しながら後ずさりしてその場を逃げていく。
「はあはあ。」
自分で倒した、だがコングウルフ動物型の魔物を殺した。命を奪った。
命を奪った感触で手が震える。呼吸が荒く落ちつかない。
辺りをよく視ると犠牲者もいるようだ。助けられたのは1人だけ。
(俺が・・・殺したんだ。命を奪ったんだ。もっと早く出ていれば、もっと早く気づいていたら、助けられた人もいるかもしれない、忘れないようにしないと。)
「この女の子連れて帰るぞ光一。フヒ俺が背負って帰るからな。」
「はっはい!自分じゃ背負えないので助かりました。」
カイトは頬を赤くして女の子を背負っていた。
「光一、この子が意識が無いうちに鑑定しとけお前なら見えるだろ?多分貴族だろうし厄介事になる前に素性は抑えておくべきだ、お前の鑑定眼なら称号まで見えるしな。それとこの卵だ、嫌にでかいし魔物卵だとは思うんだが・・・」
(えっ気絶してるしいいのかなあ。カイト様自分を鑑定した時怒ってたけど。)
鑑定眼発動
名前 レイナ
種族 人族
Lv 9
スキル
礼儀作法
女神の癒し(封印中)
状態異常、封印、気絶
称号 女神の使徒 忘却の巫女
貴族の服 レア度 アンコモン
貴族の靴 レア度 アンコモン
麒麟の卵
鑑定結果をカイトに話す。
「キリンのたまご?聴いた事ないな。村長に聞いてみるか。それにこの女の子はスキル封印になってるのか、女神の癒しってのが使えたらまだ状況は変わったかもな。この子にとってはお前がこの場に間に合ったのが不幸中の幸いだな。」
「・・・・でも2人救えませんでした。」
「光一、お前は神か?全知全能か?違うだろ?ましてや物語の様な英雄じゃない。この世界じゃこれが日常だ。悔しかったらもっと強くなれ。今度は間に合うよにな。
」
光一は泣き声をあげずに涙を流しながらカイトの後を卵を抱きしめながら着いていった。