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元介護士の異世界珍道中  作者: くるら
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第6話 最弱のスライムは強かった

あれから村に来てもう半年が過ぎた。

光一はあれから一切スキルを使っていない、カイトに脅された時の恐怖が残っており自ら使わないようにしていた。

カイトが住む村の人達は優しく光一を迎えてくれた。特に村長は、モンスターの生態や薬になる植物等を丁寧に教えてくれた。

光一はカイトに言われた通り、走り込みや筋トレ、木刀の素振りを毎朝毎晩繰り返していた。

何故ならカイトに

「体力がなきゃ死ぬ、必要最低の筋肉がなきゃ死ぬ、Lv だけ高くても体力や技術がなきゃ死ぬんだよ。だからまずは走れ、そして素振りしろ、型が頭に焼き付いて自然に反応できるまで。」

と言われたからである。

素振りで使う木刀はカイトが使っていたお古を短くしてもらった奴だ。

何故なら10歳の身体ではカイトの木刀は長すぎて振るえなかったからである。

(この村の人達は優しい、だけど狩り何て怖くて出来ないし、何か別の意味で役に立っていかなきゃ!)

光一は村長の話を必死に反芻した。

畑仕事や薬草の採取位なら自分にもできるはず。

この村には本は無い、だから教えられた知識や行動を反芻して記憶するしか方法がなかった。


ある日カイトに言われた。


「なあ光一、そろそろ狩に行くか?」


「えっ?狩ですか?足手まといになるんじゃ…。」


光一は生き物を殺した事はない。普通に日本に生きていれば当然の事だが、此処は異世界。特に男である光一は闘わなければ生き残れないのは必然である。


光一の頭に神の言葉が蘇る


「やらなきゃやられるだけ、死んで次は無いから消滅するだけだよ?気楽に気楽にさ」


光一の顔に恐怖の色が見えたのをカイトは見逃さなかった。


「お前は、殺すのが怖いんだろ?殺されるのも怖い、それは人ならば当然の感情だ。俺だって殺されたくはない、もっとも殺す恐怖はもう無いがな。だがな、いつまでも逃げて生き残れる筈がない。それはわかるだろ?この村だって永遠に存在する筈がない。命ある限り終わりが来る。自衛の為にも最低限の闘う力は必要なんだ。だ、それがわかっているから訓練してたんだろ?」


カイトの言葉に光一は反論できない。正にぐうの音も出ない正論だ。


「だからこれからまず、この村周辺の弱い魔物から狩を始めよう。まずはスライムだ、獣の形でもまして人の形ですらない。第一歩だ。行くぞ」


カイトは光一の手を握り歩き出す。



コルグ草原

光一達の村から2km程離れた位置にある。


「光一モンスターを見つける時何を使う?」


「目で探すんじゃないんですか?」


「目も大事だが、匂いや草木の倒れ方、周囲の音や眼前に広がる光景の不自然差これを観察して見極めるんだ。

例えば不意打ちを食らうのは、観察力が足りないのも原因の一つだ、幸いお前は人の機微を伺う癖みたいなのが見受けられる。それを最大限に高め広げ周囲の状況を良く見るんだ。」


カイトは常にこんな沢山の事を考えながら歩いていたのかと、感心する光一。


「さあ、光一探してみろ。索敵に鑑定眼は使うなよ。スキルに頼り切るとろくな事にならないし、何より訓練にならんからな。」


光一は必死に探したがモンスターが見つからない、替わりに村長が言っていた薬草の類は発見できた。

15分程してカイトが


「…まあ最初はそんなもんだ、此処はモンスターの数もそう多くない。それよりさっきから何拾ってるんだ?ああ薬草か、村長がお前に教えてたっけなあ。良く覚えてたな、偉いぞ。だがまだまだそんな量じゃ回復しきれないからな。」



偉いぞ、この一言が光一には嬉しかった。素振りでは怒られ、訓練中に体力が切れて倒れていると、情け無いと罵られた。

少しだがカイトに認められた気がしたからだ。

自然と頬が緩む。


「チッ!ニヤニヤすんな。気色悪い、ほらさっさと探せ!日が暮れちまうぞ」


更に進むと


スライムが現れた。某ゲームや某アニメみたいに可愛気ない姿。水色のゲル状の物体。悪いスライムじゃないよとは言ってくれなさそうだ。


「良し、最弱のスライムだ。光一鑑定しろ、俺が許可する。」


「でっでも「いいから早く鑑定しろ!」


カイトに怒られる


「はっはい!」


鑑定眼発動!心の中で唱える光一。


草草草草草草草草土草草草草草草草草石草草草草草


スライム Lv 1

HP10

スキル

無し


草草草草草草草草草草草草石草草草草草草土草草草草草草草草草草草草草草草



情報量が多過ぎて頭痛が始まりふらつく。


「?どうした?頭を抑えて。」


「ちょっと一度に沢山見えて頭痛が…。」


「範囲が絞れないのか?まあよう練習だな。それより相手から目を離すな。殺されるぞ?相手はモンスター何だ人の意思など介入しないぞ!」


スライムが光一達に襲いかかってくる。


『ブシュルル』


「うわっ!」


スライムの攻撃を転がりながら避ける、避ける、避けまくる。


「おい光一武器は飾りか?武器を当てろ!いつまでも体力は保たないぞ!」


光一は木刀を振るうがモンスターをきちんと見て狙っていないので空を切る。


スライムの体当たり、ドゴっと言う音がして光一が吹き飛ぶ。


「チッ光一!これがダメージであり戦闘だ良く覚えておけ!」


光一の木刀をカイトが拾いその木刀でスライムを両断する。


「木刀だってきちんと構えて、相手を見据えて振りゃこんな風にできんだよ。わかったか?」


ヒールを光一にかけながらカイトは言う。


体当たりの痛みでそれどころじゃない光一だが、無様にスライムに敗北した事実、カイトに指摘されている事、自身の弱さを痛感するのであった。



あの敗北から更に半年経った。

光一は11歳になった。

最弱モンスターであるスライムに敗北した光一は素振りや筋トレ走り込みに割く時間を半日以上に増やした。

あれから一度も村を出ていない。

またスライムに体当たりで負ける要なら本格的に立ち直れない。だから光一は必死に訓練をしていた。

手には何度も豆が出来ては潰れた。筋肉痛で身体が痛くても必死に動かして訓練した。

カイトに剣の型や模擬戦もしてもらった。

最初は模擬戦で木刀が当たるのが、怖くて目を瞑り何度も頭や腹にカイトの木刀があたった。

怖くても何度でも挑戦した。


全てはスライムにリベンジする為に。


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