第3話 神様は演出が好き
「あはは流石にね、言語だけじゃないよ、ほら定番の鑑定眼もあげるよ」
そう言った神様の指がずぶりと嫌な音を立てて光一の右眼にに突き刺さった。
「っつううー⁉︎」
驚きと痛みが強過ぎて声がでない。神様の指が離れる瞬間更なる激痛が走る。
「よしよし、眼開けてごらんよ、また違った景色に見えるから」
神様の言葉に耳を傾ける余裕などない、激痛が這い回り動く事すらできない。
「?ああ痛みでそれどころじゃないのか、人間は脆いなあ。」
パチッ、神様がめんどくさそうに、指を鳴らすと光一の痛みが嘘の様に消えた。
「これがプレゼントの二個目、鑑定眼だよ、ゲームじゃおなじみだよね」
笑いながら言う神様に
「……いきなり目潰し何て、いかれてる、やっぱり悪魔だ…。」
怯えながら体育座りをしてうずくまりながらぶつぶつと呟く光一。
「悪魔何て失礼だなあ。もう一つスキルあげるからさあ期限直してよ?ね?いつまでもそこで体育座りしててもさ、面白くないでしょ?ね?」
「……」無言で体育座りを続ける光一。
「強制的に辞めさてもいいんだよ?」
不穏な言葉が光一の耳に入り直ぐに立ち上がり敬礼する光一
「うわっびっくりした、怖いから無言で立ち上がって敬礼とかやめてよね。怖いから。神様の想像を超える事をこんな事で発揮しないでよ。全く。光一は、格闘を見るのもするのもだめ。運動神経も人並み以下、音痴、不運、こっこれは流石に酷いな、うーん、不運だけは消してあげよう。これバットステータス過ぎだよ、良く生きてたね」
笑いながら光一に言う。
「鑑定眼は魔眼の一種で成長するスキルだからね、頑張って成長させてね。鑑定眼だけじゃ生きてけないし、うーむこれじゃ死んじゃうかあ。」
「あっあの?」
光一が神に声をかけてみるが、神はぶつぶつと真面目な顔をして何かを見ている。
「これにしよう!plunder[プランダー]今まで騙されて搾取され続けた君にぴったりなスキルだ!」
そう言った神様の手が光る。
「うわっ」
光一の身体に光が入る。
「こっこれは?」
神様に尋ねる光一。
「光一このスキルや鑑定眼は向こうに行くまで使えないし、見れもしないからね。何でかって?今見たら面白くないでしょ?向こうについてからびっくりする光一が見たいんだよ。それに説明しなくても、鑑定眼で見れるしね。」
とことん悪趣味な神。
「あの、魔物や魔法が使えるのはわかりました。貰った物もそこに行かなきゃ使えないのもわかりました。その他にどんな世界か聞いてもよろしいですか?」
「え〜じゃあ最低限だけだよ教えるの?広さは地球と同じ、魔物や魔王勇者なんてのもいる、色々な人種がいるから楽しみにしてなよ」
最低限過ぎる。
「あっあの地球から行った人はいるんですか?」
「んー?気になるよねー?気になるよねー?」
視界が暗転し急に辺りからドラムロールの音が流れ始める。
スポットライトの光が差し込みその中心に神がいる。
「ひみっつー!」
光一を指差し爆笑する神様。
唖然とする光一。
「何でもかんでも聞かないの。そりゃ神様だし、何でも知ってるよ?だけどスキル3つもあげて、最低限の情報まで与えたんだから、これ以上あげる訳ないでしょ?ネタバレ程寒いものはないんだからね。良く考えてよね」
ぷりぷりと怒る神様。
「すっすみません…。最後に一つだけ良いですか?何か使命とかやらなきゃいけない事はあるんですか?」
「ん?使命かあ、勇者はいるし、君には特にないよ?期待もしてないし。面白おかしく気楽に過ごしなよ?あーでも虐殺とかはしないでよ?」
さらっと恐ろしい事を言う神。
「えっいや、虐殺何てできませんよ…。怖いし。人殺し何て絶対にできませんよ…。」
手をポンっと叩き
「あっ!光一はびびりのチキンだから、そんな真似できないかあ。それじゃつまらないなあ。倫理観外してみる?それくらいならサービスするよ?」
「いやいやいやいや、そこはそのままでお願いします。殺人が普通何て考えたくないし。」
「んー。地球と違うんだから、やらなきゃやられるんだよ?わかってる?法律何てあってないような世界だよ?
」
「それでもだめです!」
光一は神に対し強い口調で抗議した。
「驚いたり痛がる以外で大きな声でるんだね〜でもむかつくなあ。消しちゃうよ?」
「消されても、命を軽んじるような存在にはなりたくないんです!お願いします!」
土下座をし神にお願いする光一。それをつまらなそうな目でみる神。奇妙な構図の出来上がりだ。
「ふぅん、まあ良いや。後悔する事になるからね。」
神は一息ついてポーズを取り
「これから君の新しい人生のスタートだ!」
突如光一の足元に穴が空き
「じゃあねー!楽しませてねー!」
「うっうぎゃああああああああああああああああ!」