第2話 神様はいけ好かない
幕開け
真っ白な空間に俺はいた。
身体が動かない、身体の感覚すらない。ただ真っ白な場所にいるのは漠然とだがわかる。
不思議と気持ちは落ち着いてるな。
鈴木さんは助かったのかな?
自分が死んだのだとしたら鈴木さんもだめだったのかな?
他の人達はどうなったんだろ?
自分だけが死んだのか?
周りに誰かがいる感じがしないし、だとしたら自分は相当ついてないんだな。
「はい!神様ですよー!」
宝くじも当たった事ないし、人には騙されるし、今まで運が良かった事なんて無いか…。
周りからされる評価は常にお人好しだもんな。
今まで善行なんてしてないし、地獄行きなのかなあ。
それとも無になって消えるのかな?
「あのー」
何で今こんな思考ができるのだろう、順番待ちだろうか?
消すなり地獄なり早くして欲しいな。
延々と思考を繰り返し深みにはまっていく、これが罰なんだろうか…。
「もしもーし!」
さっきから何か聞こえるような気がするけど、そもそも死んでるだろうし、聞こえるはずがないよな。
「あれ?」
こんな真っ白な場所に人がいるはずがない。ついに俺の頭がいかれてもう一つの人格を生み出したのか。
ははは、末期だな…。
「いい加減話聞いてよ、鬱鬱とした思考垂れ流ししてないで」
??
何かが話かけてきた?俺の黒歴史である厨二病時代の別人格か?
「そんな変な人格じゃない!そもそも人と同列に扱うな!神様だって言ってんでしょ!」
神様?そんな設定作ったかな?いやあの頃の俺ならありえる。
「魂だけじゃ会話にならないね、肉体をあげよう、君の年齢は享年40歳かあ。
適当に若返らすね、直ぐ死んだらつまらないし、体力もないおじさん送ってもねー微妙でしょ?」
俺の事言ってるのかな?
んーわからん。
40にしては体力あるはずなんだけどなあ…。
「とりあえずまずは信じて貰うために君に肉体をあげよう」
笑いながら神様は肉体を構成していく
「あっ一つ言っておくけど若返らせるけど、イケメンにするとかしないからね、そんなイージーモードにしてもつまらないからね。あくまでも君の姿を若返らすだけだから」
おや?肉体をくれる?なんだ?どういう意味だ?
「え?え?」
自分の身体を見る、小さい、触ってみる
「あれ?俺?さっき?あれ?」
「声が?若返らす?」
「何が?どうなって?」
困惑してぐるぐると思考を巡らすが理解が追いつかない。
当たりをキョロキョロ見回すと、目の前には少年?青年?
が1人佇んでいた。
「やあ、厨二病の光一君初めまして神様だよ」
自称神様は苦笑いしながら話しかけてくる。
「か、神様?」
嘘だこんな小さい神様なんて、俺が知ってる神様に子供の姿の神様なんていたか?
「失礼な奴だな、消しちゃうよ?」
えっ考えを読まれ「読めるよ、ダダ漏れだよ。あんまり失礼だと消し飛ばすからね。」
迂闊かな事を考えると消されるらしい…。怖すぎる。
光一の足が恐怖でガクガク震えだした。
「怯えなくていいんだけど、そろそろ説明してもいいかな?」
「はっはい、お願いできますでしょうか?」
光一はひたすら媚びを売る方向に決めた。
「とりあえず君は死んで、魂を回収されて、今僕の前にいる、話をする為に肉体を与えてあげた。ここまではいいかな?」
「はい、大丈夫です。その身体をくれて?ありがとうございます…若干小さい気がするんですがそれは聞いてもよろしいですか?」
「40過ぎたおっさんじゃ体力も無いし、寿命で力尽きるの早いでしょ?だから若返らせたんだよ、僕の溢れ出る優しさによりね」
と神様は髪を弄りながら言う。
「あっはい。わかりました…。あの元の世界に返してくださるんですか?」
「えっ?やだなあそんなつまんない事しないよ?君にはわかりやすく言えばゲームの様なファンタジーな世界に行って貰うよ?」
元の世界に帰れないと言う事実をさらっと言われてしまった。
「えっ何で?他にもっと適任の方がいるはずじゃ…」
「君を送ったら絶対に面白くなるから君に決めた、君に拒否権はない。」
神様はニヤリと笑いながら言った。
「あの、一つ良いでしょうか私戦えませんよ?ただの介護士ですし、せいぜい逃げ回るくらいしか…」
「そこはまあ、頑張ってよ?せっかく魔法や魔物がいる世界に行くんだし?ゲームとか漫画みたいに気合いでさ?」
「でっですが、喧嘩もした事ないんですよ?」
「やらなきゃやられるだけ、死んで次は無いから消滅するだけだよ?気楽に気楽にさ」
笑いながらどんどん残酷な事を言ってくる。
「人間死にたく無い時は何とかするもんなんだよ、だから大丈夫ー!」
ピースサインをしてくる神様。
「直ぐ死んだらつまらないから、君には初回特典をあげよーじゃないか」
「1.言語理解、これないと君向こうの世界で詰んじゃうしね、読み書きできない喋れない君が向こうに行ったら行ったで面白いけどね」
「これだけでいい?」
笑いながら訪ねてくる神様
「えっ?いや、あの話せるだけじゃ直ぐ死んじゃうと思うのですが…」