第10話 オークスター
壊れていく
光一はゴブリンを大量に殺してから目に見えて暗くなっていた。寝ても悪夢ばかり見て叫びながら飛び起きた。
何度も吐いた。
誰が光一に話かけても上の空、ブツブツと何か呟いてはふさぎこんでいた。
(・・・やらなきゃやられるんだ。そういう世界なんだ)
『シシシ、さあ戦おう!どんどん強くなるんだよ。強くなれば皆んなを守れるんだからね』
八咫烏の言葉を聞き、ふらりと立ち上がり村を出ようとする光一に
「おい、光一この前からおかしいぞ?」
カイトに呼び止められるが、光一は答えずにどんどん進んで行く。
「待て!光一!」
光一を無理矢理掴むカイト
「・・・村を守る。」
光一は何かに取り憑かれたように同じ言葉を繰り返す。
カイトは光一の目を見て絶句する。
目の光が無い。カイトを見ようともしていない。
虚空を見つめている。
「お前・・・」
光一の腹に1発入れて気絶させようとしたカイト。
その拳を急激なバックステップで距離を取って避け、折れた木刀をカイトに向けて構える。
「チッおい、光一武器が無いのに魔物狩か?せめて鉄製の短剣をやるからついてこい。」
答えない光一。光一を無理矢理引きずるカイト。
カイトは思った。
(光一の動きのキレや力が増している?Lv が上がっただけでこんな事があるのか?あるとしたらあの謎のスキルのせいか?いや、スキルだけであり得るのか?
ただ、強くなる反動が精神の崩壊?
だとしたら・・・チッ代償が高すぎるな)
カイトは思惑を巡らせながら、余った鉄製の短剣を光一に渡す。
「これを使え、折れた木刀じゃ直ぐに死ぬぞ」
カイトは光一を心配していた。精神の弱さが目立つ光一。村で巫女の世話をして多少前向きになれたかと思った矢先にこの状態だ。
いつまた無謀な事をしでかして死んでもおかしくない状態だと、カイトは考えていた。
光一は短剣を持つと、2、3度振り直ぐに村の外に出て行こうとする光一の背中に向けてカイトは言った。
「光一ちゃんと帰ってこいよ。」
光一は無言で歩いて行った。
『シシシ。今日はゴブリンより強い奴を狩るよ』
コルグ平原奥地
オークが群れをなしていた。光一にはまだ気づいていない。
「殺さないと・・・」
光一は駆け出した。短剣術を無意識に発動し、オークに斬りかかる。
突然の強襲にオーク達は戸惑っていたが、直ぐに光一を敵とみなし襲いかかってくる。
「プラウダー発動・・・」
黒い手が次々とオーク達を貫いていく。
オーク達のスキルを奪っていく。
オークの屍が増えていく、光一の身体は真っ赤に染まっていく。
その中で後方に座していた、黒い巨体が光一を睨む。
名前オークスター
Lv25
種族オーク
スキル
空間魔術Lv1
火魔術Lv3
剛力
剛腕
称号 オークの統率者
『ナゼ・・コロス?ドウホウガナニカシタカ』
オークスターは光一に語りかけた。
「・・村を守る・・・プラウダー・」
光一はプラウダーを発動させ、オークスターに向けて駆け出した。身体は疲労困憊、精神は疲弊している、それでも光一は走った。オークスターを殺すためだけに。
走りながらファイアーボールを連発する。
光一のファイアーボールがオークスターの右目にあたり右目を溶かしていく。
オークスターは悲痛な叫びをあげよろける。
ひたすらファイアーボールボールを発動し続けた。
オークスターはジリジリと後退していく。オークスターは直感したこいつは危険だ。
オークスターは火炎魔術で爆炎を上げ森の奥へ去って行く。
『コワレテイルモノヨ。ワレハヒクカナラズドウホウノアダハウツ!!』
名前 光一
Lv 16
年齢 11歳
種族 人間
スキル
鑑定眼Lv2
plunder[プランダー]Lv1
言語理解
短剣術Lv3
棒術Lv2
槍術Lv2
剣術Lv1
火属性魔術Lv2
空間魔術Lv 1
状態異常 封印中
称号 異界の旅人
加護 霊鳥の加護
装備品
村人の服 レア度コモン 村人の靴レア度コモン
鉄の剣 レア度アンコモン