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0.創世神話

 

 遥か太古の昔、この世界は冷気を吐き出す巨大な穴と、穴から出た霜を食べる化け物しかいませんでした。

 穴から漏れる冷気はとても冷たく、闇すらも凍る程でしたが、化け物はそれを防ぐ魔法が使えたので1日2回、その魔法を使って自らを守っていました。


 ある日、化け物は辺りに出来た霜の粒を数える事に夢中になり、うっかり魔法を使うのを忘れてしまいました。

 そうなっては大変です。

 気づけば手足は凍り、体は芯から冷え、危うく化け物は死んでしまうところでした。

 そうならなかったのは寸でのところで魔法を唱え直し、体を暖める事ができたからです。


 しかし、それでも凍った右腕までを治すことはできずに根元から折れてしまいます。

 化け物は折れてしまった右腕を嘆き、どうにか自分にくっつけられないかと試行錯誤しましたが、どうにもならず、ついには諦めてしまいます。


 それからどれほどの時間が経ったのでしょう。

 やがて折れた腕の表面が溶け、中から化け物と同じく四肢のある、しかし顔は毛むくじゃらではないものが出てきたのです。


 これに驚いたのは化け物でした。

 まさか折れた自分の腕からこんな綺麗なものが出てくるなんて。


 化け物はこれと同じものが作れないかと自分の体のあらゆる所を折りました。

 右足、左足、歯、髭、そして最後には頭を折り、化け物は息絶えます。

 それらもまた長い年月をかけ、徐々に形を変えていきました。


 右足からは男が。

 左足からは女が。

 歯は小石や岩へ。

 髭は草木へ。

 そして頭は脳みそを星へと変え、頭蓋骨は空になりました。

 その空を太陽へと姿を変えた右目が半日走り、残りの半日を月へと変わった左目が静かに眠らせます。

 冷気を吐き出す大穴は化け物の体で蓋をされ、冷えていた空気は徐々に太陽に温められ、過ごしやすくなっていきました。


 こうして化け物の体を地面として、全く新しい世界ができあがったのです。

 化け物の右腕から生まれた綺麗な物は神となり、この新しい世界の管理を始めました。


 足から生み出された男と女は子供を作り、やがてその子供たちがまた子供を作り、そうして世界は瞬く間に男と女の子供が溢れていきました。

 彼らは自らを人間と呼びました。


 それと同じく、時折化け物の体の隙間をくぐり抜けて大穴から這い出してくる者達もまた、世界へと散らばっていきました。

 これらは魔物と呼ばれ、誕生以来人間との間で終わらない戦いを繰り広げる運命になったのです。


 そうして、今のこの世界はできました。

この世界の神話的な何かです

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