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世界の為に,歌を紡ごう  作者: Ruri
◆◆ 第1章 『始まり』
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第1話 『銀髪青眼の少女』 Part 2



「なぁに? この騒ぎ…」


「何でも爆弾が仕掛けられていたんじゃないかって噂だろ?」



 裏路地からの爆風と衝撃音を聞いた事により, 通りかかっていた人達の手によって警察が呼ばれ, 現場には警察が集まっていた. 黄色いテープによって道は塞がれて, 野次馬たちは其れを見つめながら色々と話し合っている.


 警察の見解では裏路地に爆弾が仕掛けられていて, 其れが爆発したのではないかという考え. 偶々怪我をした人もいなくて良かったのだが……何が原因で爆発したのかも不明である.


 ーーそんな中で野次馬たちの中で, 一際異例な雰囲気を放つ数人が集まっていた. 彼等のその姿は野次馬たちに馴染んでいるものの, 何処と無く雰囲気が異なっている様に思える.



「いたか?」


「いえ……全く見つかりません」



 彼等は探していた. 自分達の上司が求めている存在を-----. 先程見つけて追い詰めたのは良いのだが, 自分達による爆風に巻き込まれて行方知れず.

 上司からは決して傷付けるなとも言われていたが, もし抵抗するならば, 気絶させてでも連れてこいと言われた. そして爆風で気絶させて連れて行こうと思ったのだが……その姿は何処にも無かった.



「一刻も早く見つけ出し, 元の世界に帰らなくては…」


「我々が現実世界に干渉し続ける事はあまり良くないからな…」


「ああ……取り敢えず彼女を早く見つけるぞ」



 ーーそして彼らの姿は風が吹いたと思いきや, その場から瞬く間に消え去った.






 ******




「取り敢えず連れてきたんだが…」


「起きないね…」



 裏路地から吹き飛ばされる形で現れた銀髪の女の子を,俺の家まで連れてきてベッドに寝かせたのは良いのだが…飛鳥の言う通り, 全く起きない.

 でも胸は上下して動いているし, 口から寝息の様なものが聞こえるから生きている事は確かだ. よほど疲れていたのか…?



「ねえ秋人. この子どうするの?」


「どうするって言われても,なぁ……」


「あのね…」



 ぶっちゃけこの子を寝かせる事しか考えていなかったから, 此れからの事なんて何も考えていない.

 そんな俺の考えを読み取った飛鳥は頭に手を乗せて,呆れた様に溜息をついた.



「責任感が有るのは良い事だけど…無責任な事は辞めた方がいいわよ. この子, 絶対にこの辺の子じゃないし, 何か変な事情とか抱えてそうじゃない」


「んだよ. お前が俺の家に連れて行けばいいとか言ったじゃないか」


「そ,それはそうだけど…」



 自分から此処に連れて行こうとか言ったくせに,急に手のひらを返した様な言葉を口にする飛鳥を, 俺は訝しげな表情を浮かばせながら見つめる.

 対する飛鳥はまるで居心地の悪さを感じ取ったのか, 言葉を濁らせながら,ちらちらと此方を見る.



「兎に角! この子が元気になるまで此処で面倒を見る. 飛鳥が何を言っても無意味だからな」


「〜〜〜ッ!! わかったわよ! もう好きにしなさい! でも私も好きにしてもらうから!」


「……はい?」


「だから!私もこの子が元気になるまで家に帰らない!」



 ーーどうしてそうなるんだ…?

 元気になるまで面倒を見ると言い出した俺だが, それに負けずと言い返す飛鳥. 彼女が元気になるまで真逆の家に帰らないと言う発言までしてくれた.


 ーーこれ…学校の奴等に同じ家にいる事がバレたら煩いんじゃ……?

 暫くは家から出るのを辞めようかな.とも学校での俺の立場が危うくなる事を恐れて, そう思ってしまうのは仕方ない.


 ちらりとベッドに眠る女の子の方へと視線を向ける. それにしても-----...



「綺麗な子だよな…」


「!!」



 思わずポツリと言葉が口から出てしまった. 腰よりも長い銀髪に, 雪の様に白い肌, そして気を失う前に見えた,宝石の様な綺麗な青色の瞳….

 人工的に生み出された人形の様な美貌. 何故か白い装束に, 水色の袴を履いているけれど.



「……私にはそんな事を言わないのに」


「なんか言った?」


「何でもない!」



 何故か飛鳥は不機嫌だった. 俺が何か言ったのだろうかと問い掛けると, 眉間に皺を寄せて,いかにも怒っています,と言わんばかりに不機嫌そうに返した.

 こりゃあ,あんまり突っ込んだ事は聞かない方がいいな,うん. 長年の幼馴染の付き合いって奴だな.



「うっ……」


「あ! 動いた!」


「!」



 俺たちの声がうるさかったのか, 女の子の瞼がピクリと反応した. もしかしたら起きるかもしれないと, 俺と飛鳥はベッドの近くまで駆け寄る.


 そして彼女の瞼はゆっくりと開かれる. 宝石の様に綺麗な青色の瞳は, 周囲を見渡している.



「ここは……」


「大丈夫?」


「!」



 小さく声を発した彼女に俺は話し掛けるが, 突然と話し掛けられた事で彼女はビクッと体を震わせて,慌てた様子で上半身を起こして, ベッドの隅っこの方に移動する.



「そ, そんなに警戒しないで! 俺たちは何もしないから!」


「……」


「そ, そうよ! 私達は貴女を保護しただけで…」



 明らかに警戒した様な目を此方に向けて, 険しい表情を浮かばせる彼女に, 俺と飛鳥は慌てて敵ではない事を告げる.

 すると彼女も俺たちの姿を上から下までじっくりと見て, 何かを判断したのか, 彼女の表情から険しさが少しずつ消えていく.



「……助けてくれてありがとう.」


「ううん. あ, 俺は神崎 秋人.」


「私は不知火 飛鳥よ, よろしくね」



 俺達が助けてくれたのだと判断した彼女は, 助けてくれた事に感謝の言葉を口にする.

 取り敢えず自己紹介からして,ゆっくりと話し合おうと判断した俺は自らの名前を名乗る. 飛鳥も名乗った事で, 次は彼女の番だ.



「ーー私は………ユキ. ユキって言うの」





銀髪の少女の名前が判明しました.

何故, 真名ではない名前を名乗ったのかは本編にて後々判明します.

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