Vs勇者
投稿が遅くなって申し訳ありません。言い訳はあとがきに書きますのでとりあえずどうぞ。
そのあとも試合を見るのをそっちのけで桃を励まし、いい人ができると応援し続けなんとか桃が立ち直ったので話を続ける。
「うん、桃の咆哮はすごかったね。近くに居たら一撃で勝負が終わってしまったかも知れなかったよ。」
「いえ、あ、あれはたまたまで...」
「だとしても凄いと思うよ。防御力もずば抜けているしそれに加えて全範囲攻撃とは、あれをやられていたら僕が負けていたかもしれない。」
「あ、ありがとうございますぅ。」
「さて、残す試合も拓だけだね。」
「僕も命と戦うのが凄く楽しみだよ。腕がなるね。」
「私はできれば戦うのはごめんだけどねぇ。」
「ふ、二人とも頑張ってくださいね!」
「拓様、応援していますわっ!」
「ミコトッ!ベティも応援するぞ!勝つのだ!」
「次の試合はヤマト君とカンザキ君だね。二人とも準備を頼むよ。」
私と拓はステージに上がって剣を構える。
改めて拓を窺い見る。手には一対の双剣、左手に持つそれを正眼ーつまり普通の剣道の構えだーに構え、右手の剣は上段、頭の上に掲げている。その構えには一分の隙もなくある種の美しさがあった。
「試合開始!」
その声が聞こえたと同時に威圧を最大限にかけるが拓は全く動揺した素振りを見せずに逆に口角を上げている。
「これが威圧か...!燃えるよ、命!」
「全く動じないとは...流石は勇者か...」
「行くぞっ!」
拓は縮地を使い一気に間合いを詰める、ベティのそれとは格段にキレが違い見切る事ができなかったが振り下ろされる右の剣を自分の剣の鎬でそらして、左手で攻撃を繰り出そうとしてくる拓から一度距離を取る。
今度はこちらから攻め込もうと翼で推進力を得て突進し、そのままの勢いで剣を振り下ろす!が、拓は両手の剣で私の一振りをそらすと回転するように切りつけてきた。勢いで完全に体制を崩した私はギリギリで避けるが左の翼が半ばまで斬られてしまった。
「ぐぅっ!」
咄嗟に白焔を周囲にばら蒔いて拓の追撃から逃れる。聖魔法で傷を癒しながら思考する、今の攻防でわかった、拓とは剣で戦ってはいけない。拓のスタイルは正に攻防一体、正統派の剣筋でトリッキーな動きが無い分、動きに無駄がなく防御したと思った瞬間には次の攻撃が待っている。ステータス的に差はほぼ無いか、素早さでは勝っているはずだがその無駄の無い動きの前にはステータスの差は無いものと考えていいだろう。
このまま拓の領分、剣で戦うのは敗けしかビジョンが見えてこないので戦闘の方針をシフトチェンジ。私は私の領分で戦うとしよう。私の戦闘スタイルは多対一でこそ本領を発揮するが一対一でも通用してくれるだろう。
思考を切り替える。この勝負の肝はどちらの領分で戦うかだ。ならば私の領分を押し付けさせてもらおう!
空に飛翔し詠唱のいらない簡単な魔法を無数に放ちながら隙を作り出し、短く詠唱をする。
『水晶の剣たちよ我が望みに答え顕現せよ!』
<結晶牢獄>
拓の周りに百近い水晶でできた剣が出現し拓目掛けて突き刺さると思いきや
「僕も必殺技とか考えてみたんだよねっ!!」
<破邪剣舞>!!!
拓は舞うように回転しながら剣を振るい、幾十もの剣線が閃き水晶の剣を残らずに砕いてしまった。
隙を突いたと思った攻撃が外れ、思考が途切れる。
<光弾>!!
いくつかの光の銃弾が上空の私目掛けて向かってくるのを反射的にかわし、お返しにと焔の弾を打ち出す。
そのうちの一発が拓の脇腹に命中し血を流させる。
『我の前には何人も立ち塞がることは出来はしない
我の横には何人も並び立つことは許さん
ひれ伏せ、頭を垂れろ
我が眼前に在る全てを焼き滅ぼさん』
<白キ王ノ波動>
拓が痛みに怯んでいる隙に詠唱の長い魔法を唱える。全方位に超高熱の焔を幾重にも飛ばす仲間がいるときには使えない魔法だ。
津波のように押し寄せる私の魔法が拓に届こうとしたその瞬間。
『神崎 拓の名に於いて命ず!盟約に従い僕の前に顕現せよ!!』
<聖剣召喚・バルムンク>!!!
シュバァァァァァァァァァ!!!!!
拓の手に一振りの剣が現れ、近づく魔法の波を凪ぎ払うように振るう。
「なっ!魔法を斬った?!?!」
私の魔法は拓が一払いした剣を避けるように広がるだけだった。
「くっ!<焔弾・二百式>!!」
「甘いっ!!」
私の二百の魔法も避けられたり切られたりで一向に勝負が決まる気配はない。
切り札を出すしかないか...
『我が身に宿すは鳳
生と死、再生と焔を司りし気高き神
闇射つ輝きが浮き世に満ちる
壊れ、爛れ、打ち捨てられた全てに慈悲を
我望は破壊に在らず
慈しみの焔よ
始まりの焔よ
この身に宿れ』
<白焔之衣>
私の心臓から白い焔が沸き上がり、身体全体を包み込み、弾ける。
色素が全て抜けたような無垢な白に身体が造り換えられる。
今の私を絵に描くならとても簡単だろう、なにせ肌も髪も鎧さえも全て白なのだから。
姿が変わった私に動揺した拓が様子見に魔法を幾つか放ってくるが私は動かずにその身で受ける、しかしそこには傷ひとつ付かず逆に私からあふれでる白い輝きを増加させる。
私のとっておきの魔法。白焔之衣。自らの身を焔にすることにより物理攻撃を無効化、魔法による攻撃は一定の威力まで吸収し、ステータスを上げるという壊れ性能の魔法だ。
ただ反動としてこの魔法を使ったあとは全く動けなくなるのだが。
読んでいただきありがとうございます。前からブックマークしてくださっていた方々、今回なんか暇だから読んでみようかなー?っと思って読んでくださった方、誠にありがとうございます。
前の投稿の際にキャンプに行きましてそこから忘れたり、筆が止まったり、忘れたり、他の小説を書いたり、バイトしたりしているうちにこんなに時間がたってしまいました。
誠に申し訳ありません。
楽しみに待ってくださっていた方がいたのならその期待を裏切るようなことをしてしまい、謝ることしかできません。
今後、このようなことがないように努めます。たぶん、ありません、きっと、メイビー。