特級クラス
オルン教官に連れられて学園のなかを歩く。この学園とても広く、前の世界の大学を彷彿させる。
訓練場から歩き10分程たつと大きなレンガ造りの建物が見えてきてその前に到着するとオルン教官は立ち止まり手を広げて笑みを浮かべた。
「さて諸君、ここが君たちの校舎だ。歓迎するよ。では、教室へと向かおう。」
くるりと踵を返し校舎の中を進む、私たちの教室は三階にあり、ドアの上には特級とかかれていた。机と椅子は重厚感溢れる高級品で一つ一つの席の間が広くとられており集中できそうな造りだ。
私たちは教官の指示にしたがい着席する。
「では、改めて初めまして諸君。僕が君たち特級クラスの担任を務めるオルン=ゴルゴールだ。フェイマス王国のゴルゴール子爵の三男だが、貴族だからといって固くならずに気軽にオルン先生と呼んでくれるかな?まぁこのクラスにはほとんど貴族しかいないようなものだがね。よろしく頼むよ。では皆にはまず自己紹介をしてもらおう、主席からいこうかね。」
私は席を立って皆の方を向き挨拶する。
「初めましての人もそうではない人も改めてよろしくお願いします。私はミコト=ヤマトと言います獣人です。平民なので気軽にミコトと呼んでくださいね。趣味は音楽、竪琴を弾きます。これからともに勉学に励む仲間と早く仲良くなりたいので声をかけてくれるとうれしいです。」
「じゃあ次は僕かな?初めまして、次席のタク=カンザキです。命と一緒に勇者をやっています。趣味は戦うこと。暇なときは冒険者をやっています。よろしく頼みます。」
「では次はベティが!名前はベアトリス=ツェラリンベルと言う。第三席だ。ベティと読んでくれて構わない!龍国の公爵家の長女だ!趣味は鍛練!仲良くやろう!」
ベアトリスさんはベリーショートの金髪で龍族特有の瞳孔が縦に割れた青い目をしている元気の良さそうな女の子だ。
「私はエリザベス=フェイマスと申します。フェイマス王国の第二王女で、拓様の婚約者をさせていただいておりますわ。趣味はお裁縫と花嫁修行です。皆様、よろしくお願いいたしますわ。」
エリザベスさんはエルグランド国王陛下と同じ金髪碧眼の美人だ。拓のことを熱のこもった目で見ているのでそうとう好きなのだろう。
「な、なら私のば、番ですね。モモ=タツノと言います。よ、よろしくお願いします...!」
そのあとも自己紹介は順調に続き、きちんと最後の一人まで記憶した。男子が七人に女子が八人のバランスが取れたクラスで皆どこかの国の高位の貴族の子供だった。やはり幼い頃から英才教育を受けているのが大きいのだろうか。
「皆、お互いの名前などはわかったかね?では今日はこれで終了だよ。明日は詳しいガイダンスや親睦を深める模擬試合をしたりするから楽しみにするようにね。では、解散。」
初日がおわったので私たちはエリザベスを含めて四人で教室を出る。
「私のことはエリーと呼んでいただいて構いませんわ。」
「わ、わかったよ。エ、エリーちゃん!」
「じゃあ私もエリーと呼ばせてもらうね。」
「よろしくお願いいたしますわ、モモ様、ヤマト様。」
「私たちのことは様付けしないくていいよ。」
「そうですか?ではお言葉に甘えて...」
そんなことを話しつつ教室の前を歩いていると怒鳴り声が聞こえた。
「なんでボクが二級で平民のお前なんかが一級なんだっ!退学してしまえ!そうすればボクが一級になれるんだっ!」
「なんですか貴方は。行きなり怒鳴り出して。それでも貴族ですか。」
「ええいうるさいうるさいうるさい!さっさと居なくなれ!お前の家族なんてボクにかかれば簡単に潰せるんだぞっ!」
なるほど、彼の言い分はわかった。そしてあまりいい貴族ではないのもわかった。
「お取り込み中失礼するよ。君の言い分だと私たちも学校をやめなけらばならなくなるね。」
「えっ?あ、勇者様?!そ、そんなことはありません!」
「だって私たちはその子と変わらない平民でしょう?」
「いえ!勇者様は特別ですから。」
「いい加減にしたらどうかな?彼女はなにも悪くないじゃないか。それなのに他を率いなければならない貴族がその態度だとだいぶ問題だと私は思うんだけどね。」
「しかし...」
「しかしもなにもないよ。罪は償える、早く謝ると良い。」
「くっ...わかりました。すまなかったな。」
貴族の彼は足早に去っていってしまった。
「大丈夫だったかい?」
「はい。助けていただいてありがとうございました。」
「今後も何かあったら頼ってきて欲しいかな。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
頭を下げて帰っていった少女を見送ってから私たちは一緒に帰る。エリーは寮生なので途中で分かれたが何事もなく帰宅することができた。
ミラクルニキのフレンドがどっと増えて驚きました。フレンド登録してくださったかたありがとうございます。最近気分で新しい小説を書いているのですがそのせいか筆の進みが遅くなってしまい申し訳ありません。
引き続き白焔の覇王をご贔屓にどうぞ。




