ゴブリン討伐
いつもありがとうございます。こちらをどうぞ
「ゴブリン討伐だね。よし、行こうか。」
「ヤマトさん!知り合いだったんですか?」
「ああ、そうだよ。紹介しておこうか、ここにいるのは私と一緒に召喚された勇者の仲間だよ。仲良くね。」
「ゆ、ゆうしゃあ?!そいつは失礼しやした!俺、てっきり初心者冒険者かと思っちまって...」
「僕たちは気にしてませんよ。善意で言ってくれたのはわかってますから。」
「ありがとうございませぇ勇者の皆様方!」
「ニュービーに優しくするのはいい傾向ね。女の子でも安心できるもの。」
「そ、そうっすね。ニシキさん。これからもがんばりまさぁ!」
「じゃあ私たちはもう行くよ。また歌でも歌おう。」
「「「いってらっしゃいませぇ!」」」
ギルドを出て町の外に向かいながら会話をする。
「ここら辺でゴブリンが多いのは私たちが召喚された祭壇の近くかな。」
「な、懐かしいですね。あそこからすべて始まったんですね。」
「あんまり時間がたってないけど昔のことに感じるなぁ。」
「感慨に浸るのもいいけど門から出たら祭壇まで転移するわよ。気を抜かないでね。」
「わ、私。生き物を殺めるのは始めてで。緊張してしまいます。」
「うちもだよー...」
「僕は戦いの昂揚感の方が強いかな。」
「まぁ、なにがあっても冷静を心がけよう。」
拓はあんなに戦闘狂だったのかなぁ...何て思いながら街の門番にギルドカードを見せて外にでて、人目につかない所へと向かう。
「じゃあ行くわよ。『転移』!」
感覚的に言うとエレベーターのような感じだろうか、フワッと浮いた後に重力を感じて着地する。着地した先は森の中だった。
「あ、あれ?ここどこですか?」
どうやら転移が少しずれてしまったらしい。
「おかしいわね。今まで転移でズレなんてなかったのに。あと、この辺なんだか魔法が使いにくいわ。」
「用心するに越したことはないね。魔法職は後衛、私が殿を勤めるよ。」
「なら僕が先頭になって歩こうか。」
「わかった。任せるね。皐ちゃんは周囲の警戒をお願いできるかな?」
「まっかせてー!」
私たちは完全装備で森を進む。
「やっぱりおかしいわ。マナが安定してないみたい。魔法使いは注意してね。と言っても命はなんとかなりそうね。源さん、皐ちゃん、気を付けてね。」
「はーい!」
「おう。まぁ魔法は使わん予定だがな。」
「いたぞ!ゴブリンだ!」
どうやら拓がゴブリンを見つけたらしい。目線の先にいるのは緑色の肌を持った体長120㎝ほどの汚い人型の魔物、ゴブリンだ。三体が無警戒に森のなかを歩いている。
「皐ちゃんが弓で牽制、源さんと拓が止め、それで仕留められなかったら最後の詰めで私が行くよ。」
「「「了解。」」」
皐ちゃんがゴブリンの内、先頭を歩いている奴の胴体を狙い矢を放つ。ゴブリンたちはいきなりの襲撃に右往左往して混乱している、その隙を逃さずに源さんが胴体を穿たれひときわ混乱しているゴブリンに鎚を叩きつける。仲間の一体が一瞬でミンチにされてしまった残りの二体は逃走しようとするが拓が残像を残すような速さで剣を舞うように切りつけて絶命させる。
「終わったね。お疲れ様。」
「おう。」
「次探そう!」
「少し待ってくれないか?大丈夫?皐ちゃん。」
「う、うん...生き物を殺すのは少し抵抗あるけど、やらなきゃだめなんだもんね...大丈夫だよ!」
「じゃあ次を探そうか。」
さらに森を進んでいくとゴブリンの集落らしきものが見つかったため皐ちゃんのオリジナルスキルの完全隠蔽を使って身を隠して様子をうかがう。
「ゴブリンの集落には捕らえられた女性がいることが多い。だから大規模な魔法は使えない。魔法が安定しない今の状態だとより危険だと思う。だから皐ちゃんと伽凛はここで隠れて待機、合図をしたら弓でゴブリンを倒していってほしい。もしゴブリンがそっちまできたら伽凛が多少荒くても良いから魔法で迎撃で。」
「はい!」
「わかったわ。」
「私たち近接戦組は派手に暴れてゴブリンの注意を引き付けよう。桃は誰かが危険になったらカバーを頼む。」
皆が了解の意を示したのでゴブリンの集落に突っ込み暴れる。幸いなことに強くてもゴブリン・レアかノーブルだったので鎧袖一触。次々とゴブリンを屠っていく。
ちらりと確認してみたが機動力の遅い源さんを桃が的確にカバーして拓は少し笑いながらゴブリンを次々と倒していた。10分ほど戦っただろうか。
辺りにゴブリンの気配はなく、静寂が訪れていた。しかし警戒を解かずに集落の建物を見て回っていく、するとそこでは二人の村娘風の女性が見つかったので急いで保護する。不幸中の幸いか彼女たちはついさっき拐われてきた様で意識もしっかりしており衣服の乱れもない。しかし念のため心と体を癒す魔法をかけながら話しかける。
「もう大丈夫だよ、怖かったね。でももうここには君たちを傷つける者はいないよ、安心するといい。」
二人は気が抜けたのか泣き出してしまった。
ありがとうございました