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白焔の覇王  作者: もずく
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グラーダでの依頼

驚くことにブックマークしてくださった方が10人を越えました。ありがとうございます。こちらをどうぞ。

久々の再会の記念にいつもより豪華な夕食をとった私たちはそれぞれの決めた部屋に戻って休み、翌朝朝食をとった後にロビーで集まっていた。

 

 「じゃあ行こうか。今日の予定は冒険者ギルドにいってランクの更新と手頃な依頼があったら請け負うってことで。」

 

 「いってきまーす!」

 

 使用人たちに屋敷を任せて私たちは冒険者ギルドへと向かう。

 ギルドへの道中いつも歌っている公園を通ると子供に囲まれてしまった。

 

 「わーい!はおうさまだー!またお歌うたってー!」

 

 「おうたおうたー!」

 

 「おねえちゃんもうたってー!!」

 

 一瞬で私と伽凛は囲まれてしまったので困った風に拓たちを見ると彼らは笑いながら「先にいってるから遊んであげて。」と言ってくれたので子供たちの要望に答えることにする。

 伽凛から竪琴を受け取って軽くチューニングをしてから音を響かせる、奏でるはこの世界の誰もが知っている有名な勇者の冒険譚、私がメインで伽凛がハモを担当して歌い合う。その様子を子供たちや周りにいた大人も目をキラキラさせながら聴き入っていた。

 やっぱり歌は良いなぁ。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 一方分かれた後の拓たちはと言うと。

 

 「命たちは人気者だったねー。」

 

 「そ、そうですね。子供たちにも人気があって、す、凄いです!」

 

 「俺は少し心配だな。」

 

 「なんでー!源さん!」

 

 「誰にでも笑顔で心配かけないようにしてるんだろう。だから悩み事とかも相談できる人がいないんじゃないか?」

 

 「じゃあ僕たちがそのなんでも話せる仲間にならないとですね。」

 

 「そうだね...!皆で相談のってあげようね!」

 

 「いや、俺たちができるのはそんなにでしゃばることじゃない。抱え込めなくなったら相談してくるさ、それを待ってやろう。それが、仲間ってやつだろ。」

 

 「源さん...かっこいい!」

 

 「お、大人の男って感じがします!」

 

 「ま、まぁ伊達にお前らより長く生きてないからな。そんなことよりそろそろギルドにつくぞ。」

 

 「そうですね。少し楽しみです。」

 

 「わ、私は緊張します。」

 

 そんなことを話ながらギルドの扉を開くとギルドの一階の酒場で飲んでいた冒険者たちがチラリと扉の方を見る。

 目線の先にいるのは四人の男女、男の一人のほうはドワーフらしく大人に見えるが他の三人は明らかに10~15歳くらいの子供だ。もう一人の男は背は高いが体にはあまり筋肉は見られない。服の下には限界まで引き絞られた肉体があるのだが酒場で飲んでいる男たちには知る由もない。

 女の小さい方はエルフの子供、一部の層以外には女として見られないがもう一人の女は美形な龍人族、口許には柔和な笑みを浮かべて朗らかにグループの者たちと談笑している姿はとても魅力的だった。

 そんな彼らに向かって三人の強面な男たちが席を立って向かっていく。

 四人のうちの一人、拓は小声で「テンプレキター!」と言ってテンションをあげているがその他の三人はいきなりこちらに向かってきた強面の男三人組に緊張し、身を硬くする。

 

 「おい、あんたら。」

 

 「はい!なんですか?」

 

 いつになくテンションを上げ、少し好戦的な目線を拓が向けると声をかけた男が続ける。

 

 「まぁ若いうちはそれでもいいんだけどよ、用心しろよ。覇王様が来てからこのギルドじぁあ新人や女子供にに喧嘩売るやつはめっきりいなくなったが他のギルドでは叩きのめされんぞ。」

 

 「え?えぇ、そうですか。ご注意ありがとうございます。」

 

 拓は少し気を落としながら返事をする。

 

 「命...覇王さんは何をしたんですか?」

 

 「あれはすげぇおっかなかったなぁ...」

 

 男は感慨深げに語りだした。

 

 あれは命が伽凛と暮らし始めて少し経った頃、ギルドで酒を飲んでいる冒険者たちに頼まれ二人はギルドの酒場で歌っていた。

 そこにギルドの登録なのか依頼をするためなのかは不明だが一人の少女が入ってくる。すると当然荒くれ者の多い冒険者たちがその少女に絡みに向かう。

 

 「おい、嬢ちゃん。依頼か?」

 

 「いいえ、登録に来ました。」

 

 「やめとけやめとけ!そんなことより俺らの相手しろよ!こっちこい!」

 

 「いや!ちょっと!やめてください!」

 

 冒険者ならばこんな光景は見慣れているため、誰も彼女のことは助けない。依頼の主ならば助けたかもしれないが少女は冒険者登録に来たのだ。初心者の洗礼だろうと思っている冒険者すらいる。

 少女の悲鳴を聞いた命は近くの冒険者に助けに行くと言ったが冒険者たちは放っておけと言い出した。それが冒険者の普通だと。

 

 「こんなことが普通だと...?」

 

 次の瞬間、ギルド内の温度が急激に上昇した。だがギルド内の一部、命の周りにいた者たちは気温の上昇のためではなく冷や汗を流していた。自分にまとわりつく明確な死の恐怖。魔物との戦闘を生業としているものさえその明確な恐怖の前では声すら上げられなかった。

 その殺気とも思える威圧を直接向けられた男の三人組は尻餅をついて涙を流しながら命から離れるために後退っているが、命は一歩一歩男たちとの距離を詰めていく。

 

 「お前たち。覚悟は出来ているか。」

 

 命がそう問いかけると男たちは悲壮な表情を浮かべ目を閉じて命乞いにも似た謝罪をする。

 手の届く距離まで歩み寄るとおもむろに男の頭に手をかざす。誰もがその男の死を確信したとき。

 

 バチンッ!バチンッ!バチンッ!

 

 先程まで立ち込めていた威圧感が急になくなり、思い切り何かを叩いたような音が響き渡った。

 

 「今回はデコピンで許すけど、次はもっとキツイお仕置きするからね。」

 

 命はいたずらが成功した子供のような顔を浮かべてそう言うと、怖がってしまった少女をあやしに行った。

 

 「っとまぁ、こんなことがあってからギルド内で初心者や弱い奴らに手を出すと覇王様の怒りを買うってなってな。初心者を守ろうって不文律ができたわけよ。」

 

 「そんなことがあったんですか...」

 

 「あんときゃ俺も居たけどよ、まじでチビるかと思ったぜ。カハハ!ってことで初心者にはこの依頼なんかがおすすめだな!ほらよ!」

 

 「ありがとうございます。これ受けてみます。」

 

 ーーーーーーーー

 

 私たちがギルドにつくと拓たちはもう既にカードの更新を済ませて、受ける依頼も決めているようだったのでそれについていくことになった。

 

 「何を受けたの?」

 

 「ああ、他の冒険者に薦められてこれにしたよ。」

 

 「あーなるほど、初心者に見られちゃったのか。わかった。ゴブリン討伐だね。よし、行こうか。」

 

毎度どうもありがとうございます。

引き続き白焔の覇王をご贔屓に。

読んでくださっている方々に大きな感謝を。

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