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白焔の覇王  作者: もずく
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旅路

毎度ありがとうございます。最近頭痛に悩まされております超困ってます。では今回もよろしくお願いします。

城の門から出た馬車はゴロゴロと進むが存外に揺れは少ない、魔導具の一種だろうか。

 アレックスは護衛に騎士団を派遣しようとしてくれたがいつまでたっても騎士に守ってもらっていては私が成長できないと思い丁重にお断りした、サラは私が死ぬ事態になれば周りの人も死は免れないでしょうと言って私の意見に賛同してくれた。

 町の中を走っていると窓の外から子供が手を振ってくれたのでそれに返事をしたり、少し馬車を止めて美味しそうな出店でご飯を食べたりした。

 そうこうしているうちに馬車は王都ヒュールーを離れ街道沿いにグラーダへの道を進む。

 やることがないので竪琴を出してサラと一緒にこの世界の歌を歌ったり、元の世界の歌を歌い聞かせたりしているうちにその日の夜営地に到着したため馬車を止めて御者の騎士さんを労い夕食を作る。

 異様に手際のいいサラの気迫に押されろくに手伝いができなかったのを反省し、明日からはきちんと手伝おうと心に決めた。

 魔物や野党への注意は騎士さん、マイクさんとサラと私で交代して行うことになった。マイクさんとサラは二人して

 

 「「勇者様は休んでいてください。」」

 

 と言うのだが私の良心が死ぬので無理を言って警戒に当たらせてもらった。

 夜襲もなく順調に旅路は続き、出発から3日の昼ほどにヒュールーとグラーダの中間にある村へと到着ができた。

 そこまでの道のりでわかったのはサラはメイドの仕事はもちろんのこと夜営に御者に歌にと何でもできるスーパーメイドだったと言うことだ。メイド道の極みを見た気がした。

 村では熱烈な歓迎を受け一泊しかしなかったのだがその夜にお祭りのようなことまでしてもらい、そのお礼に病人やお年寄りに治癒の魔法を使ったところ村長からの評価がうなぎ登りになってしまい嫁を妾に貰ってくれないかと相談されたが流石に断った。というかここはヒュールーとグラーダの中間なのでアレックスとかもよく通るだろうに...

 そんなこんなで村から出発し、旅をはじめてから5日目の夜、魔物の襲撃があった。

 丁度私の夜警のときだったのでゴブリンの5体ほどには灰も残さずに消えてもらった。

 大きな動きがあったのは翌日の昼間、20人ほどの身なりの汚い輩が馬車の周りに立ちふさがっていた。魔物に教われて命からがら逃げ出した人たちかと思ったが、私の思い過ごしだったようだ。

 

 「デヘヘヘヘ。いい馬車じゃねぇかぁ。さぞかし金目のものを積んでいるんだろうなぁ!」

 

 私の良心を返してほしいものだ。魔物のせいで村を離れた人の成り果てなのかと想像すると少し申し訳なくなるが致し方ない。いづれ通らねばならぬ道、人殺し。私たちは人を守るために勇者として召喚されたと言うのにその目的を果たすためにはこの人たちを倒し、グラーダに赴かねばならないという矛盾が私の心を揺り動かす。しかも私は元の世界で普通の大学生、いくら勇者だからだと言って簡単に吹っ切れるものではないがやらなければ私たちがやられるのがこの世界だ。

 私は馬車からおりて頭領とおぼしき男の方を向き話しかける。

 

 「抵抗しないならば命はとらない。罪を償えばまた生きて行けるはずだ。」

 

 「デヘヘヘヘへ!!いい顔してるじゃねぇかぁ奴隷にしたら高く売れそうだぜぇ!」

 

 「悲しいよ、私たちがもっと早く来ていれば君たちも平和に生活できていたかもしれないというのに。」

 

 「なに頭のおかしいこと言ってやがる!野郎共!やっちまえぇ!だが顔に傷はつけるなよ!」

 

 「私も罪を背負おう。せめて安らかに。」

 

 『罪を背負いし憐れな子羊よ

 すべての母にしてすべてを無に帰す安らかなる焔よ

 我が前に立ち塞がる者の罪を浄化したまえ』

 

 <聖母の焔>

 

 蝋燭の炎が最後に一際燃え上がるように、私に襲いかかろうとしていた野盗23人は身を焼かれる痛みすら感じない内に炎に呑まれ、灰になった。

 

 その様子を見て、手が震える、呼吸が乱れ、強烈な嘔吐感に苛まれ、足元はおぼつかなくなり立っているのもやっとになってしまう。今鏡を見たら幽鬼のような自分が見えることだろう。罪を背負うと言ってこの様かと自分を叱咤する。血が滲むほど手を握りしめて自らの拳を見つめる。魔法を使ったのは怖かったからだ。この手で、自身の剣で人を殺めるのが。だから魔法を使った。逃げたのだ。

 

 その時、私の手を誰かが握りしめた。その誰かは次には私の両頬に手をあて、顔を上げさせる。そこにはサラの姿があった。

 

 「ミコト様、私たちを救っていただき、ありがとうございました。私たちは貴方に救われたのです。どうか、そんな顔なさらないでください。」

 

 そうか、私は命を救えたのか...未だに心の奥には後悔と恐怖の氷が横たわっているがその言葉に少し、救われた気がした。

 

 「ありがとう、サラ。」

 

 そのあと私たちは馬車へと戻り無言のまま馬車を走らせた。サラは震える手をいつまでも握りしめてくれていた。

 そしていつの間にか泥のように眠っていた私は夜になって漸く目を覚まし、自らの行いを悔いながら月夜に覚悟を決めた。

 

 「もう、迷わない。」

 

 誰に告げるでもなく放たれた言葉は夜の帳に溶けていき、心の氷も覚悟の炎によって溶かされていった。

 そしてそのまま何事もなく旅は続き、グラーダが見え始めた。

頭痛すぎて筆が進みません...

少し投稿に間が空いてしまうかもしれません。ブックマーク登録してくださった方申し訳ありません。どうか暖かい目で見てやってください。

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