パーティーの後
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私が周りの貴族に対する牽制と純粋に気分が悪いため伯爵の嫡男に怒ろうとすると好意的な印象を持っていたシュベルハイト公爵が場を収めてくれたためこれ幸いと覇王の威圧を解き、怖がらせてしまった人たちのために心と体を癒す魔法をかけると会場は平穏を取り戻した。
一番恐がらせてしまったであろうアリーナ姫に謝り、結晶魔法で一輪の薔薇を作って渡す。
そのあとは敵意を向けていたのが嘘みたいにごまをすってくる貴族たちが増えたがあまり関わりたくないので椅子に戻り、アレックスと話しながらパーティーが終わるまで過ごした。やり過ぎだと小言を頂いたがアリーナ姫を守るためだ、しょうがないだろう。うんやり過ぎた。反省しながら部屋に戻る。
部屋にはサラが待機しており就寝の準備も済んでいるらしい、私は存外疲れていたらしく身を清めたあとサラにマッサージをしてもらうとものの5分足らずで眠りに落ちた。
翌朝、起こしてもらい部屋で朝食を取りながらサラと話す。
「少ししたらグラーダに戻ろうと思うんだ、だから少し寂しいけどサラとはもうあまり会えなくなるね。」
私がそういうとサラは手に持っていたお盆を落とし、フリーズしてしまった。
「サラ?どうしたの?」
「い、いえ...何でもありません。」
「そっか。」
「...あっあの!ヤマト様はグラーダでお屋敷を褒美として貰うんですよね?!よ、良ければ私を雇ってはもらえないでしょうか!広い屋敷だと掃除や管理も大変ですし私はお城の掃除や接客など色々できますので!」
「うーん、それは嬉しいけどアレックスに聞いてみないとわからないなぁ。お城の人間を勝手に引き抜くのはよくないと思うし。」
「ですよね...取り乱して失礼致しました。」
「いや、全然いいよ。むしろ嬉しいかな。じゃあその事についてアレックスに相談したいからアポとってくれるかな?」
「かしこまりました。」
残像の出るような早さで退出したサラを見て苦笑いしつつ、かなりの早さで戻ってきたサラを出迎える。
「はぁ...はぁ...。ご、午後からなら陛下も時間をとれるそうです。」
「そうか、ありがとう。」
竪琴を爪弾きながら時間を潰し、昼食をとってからアレックスと話しに会議室へ向かう。
「やぁ、こんにちはアレックス。」
「おう!ミコトか!どうした?!」
「いや、褒美の屋敷の管理に私の専属のメイドのサラを雇いたいんだけど、いいかな?」
「本人が望んでいるのか?!」
「うん。頼むよ。」
「なら構わん!何人でも持っていくがいい!」
「ははっ。そんなにはいらないかな。」
「それとミコトにオレから頼みがあるのだかな!」
「何でも言ってよ。」
「アリーナと婚約しないか!」
「...は?」
「アリーナと婚約しないか?!」
「いや、聞こえてるんだけど。どうしていきなり?」
「いやなに簡単な事だ!昨日パーティーでアリーナを助けただろう?そのときにアリーナがお前に惚れてしまったらしくてな!ガッハッハ!」
「そう言うことかぁ...でも姫まだ9歳だろ?早くないか?」
「ん?そんなことはないぞ?!私は6歳で正妻と婚約したからな!」
異世界すげぇ...というか王族がすごいのか?
「少し大きくなって、それでも気持ちが変わらなかったら婚約してもいいけどね。」
「わかった!そう伝えておこう!で、グラーダにはいつ帰るのだ?!」
「うーんなるべく早く戻るつもりだよ、最前線に勇者が一人もいなかったら召喚された意味がないからね。」
「うむ!その通りだな!」
「なら明日にでも帰ろうかな、あ、ラインハルトってヒュールーって観光名所ないの?」
「あるぞ!」
「え?どこ?行ってみたいんだけど。」
「ここだ!王城とはすなわち国一番の城!ここを観光名所と言わずにどこを言えばいいのだ!ガッハッハ!」
「時間を潰したいんだけどなぁ。」
「ならギルドにでも行けばどうだ!時間も潰せるし金儲けもできるぞ!」
「おっ。いい案、採用だね。じゃあいってきまーす。」
「夕食までには戻るのだぞ!」
お母さんのようなことを言うアレックスに別れを告げ城から出て冒険者ギルドへと向かう。ここのギルドはグラーダほどではないが賑わっており多くの人がおり、一階の酒場には酒を飲んでいる人も見受けられる。
二階の高位ランクの受け付けにいこうと階段に近付くと酔っぱらいが二人絡んできた。
「おいおいぼっちゃんそっから先は俺ら高位ランク専用だぜぇ?!」
「ゲハハ!ランクⅥになってから出直すんだなぁ!」
「私も一応高位ランクの冒険者なんだが...」
「嘘いっちゃぁいけねぇよぉ。こちとら30後半になって漸く高位ランクになったんだ!なめてるんじゃねぇぞぉ?!」
パレードを見たと思わしき人が二人組をどうにかしようとしてくれているが二人組は信じてないようだ。
「勇者だぁ?!そんなんここにいるわけねぇだろぉ?!」
「下級はだまってろ!ゲハハハ!!」
「これで高位ランクだってことは信じてくれるかな?」
私は懐から黒いギルドカードを出すと男は顔を青くした。
「ひっ...黒い、ガード...?」
「ゲハ...は、ははは。失礼しましたー!」
酔いがさっぱり覚めたであろう男たちを笑顔で見送りつつざわめく酒場を無視して二階に行き、依頼を探す。すると近くでオーガ・デュークが出没すると言う依頼がちょうどあったのでそれをもって受け付けに行き受付嬢に声をかける。
「すまない、この依頼を受けたいんだが。」
「はい、かしこまりました。カードの提出をお願い致します。」
私がガードを渡すと数瞬フリーズした受付嬢だが流石はプロ、すぐさま平気な顔をして手続きをしてくれた。その際にオーガ・デュークは群れを作ることが多いらしいので注意するように、そして拐われた女性がいるかもしれないので気を付けてと忠告もくれたのでいい人なのだろう。ありがたい。
手続きを済ませた私は絡まれないように気を付けながらギルドを出ていった。
冒険者ギルドで絡まれるテンプレって好きなんですよね。これからもたぶん出てくると思います。何番煎じだってくらいのネタですがお付き合いしていただけたら幸いです。