パーティー
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「国王陛下並びに勇者ミコト=ヤマト様のおなーりー」
その声とともに扉が開きアレックスと一緒に入場する。その際に覇王の風格を発動させることを忘れない。
扉の先にはたくさんの貴族がいて、跪いて待機している、それを横目に私とアレックスは真ん中にある一段高くなっているところにある椅子に座る。アレックスの椅子の側には第一王妃であるエリザベート様、皇太子のラクルス、第二王子マックスがいた。豪華な椅子に座るとアレックスが声をかける。
「面をあげよ。」
その言葉に反応した貴族たちは立ち上がっていく。立ち上がる速度が違い組体操の波のような現象になった理由は爵位が高い人から順に顔をあげていったからだろう。
貴族たちは顔をあげるとさまざまな顔をする、驚く者、疑惑の念を浮かべる者、力量を測ろうとする者、邪な考えが顔に出ている者、大半が何でこんな若造がという顔をしている。
「紹介しよう、ここいにいるのは各国が召喚し、それに答えてくださった異界からの勇者。ミコト=ヤマト殿だ!」
「はじめまして、ミコト=ヤマトと言います。よろしくお願いします。」
「ヤマト殿は先の幾万の魔物の大進行を一人で壊滅させ、その偉業からランクⅩになった!此度はそれを祝ってパーティーをするのだ!」
その言葉に皆一様に驚いた顔をする。
「そしてヤマト殿には円環金龍勲章を与えたいと思う!」
貴族たちがざわめきだす。それほどに珍しいことなのだろう。
「勲章を持て!」
その言葉に反応したそばにいた執事がスッと一辺が10cmほどの正方形の豪華な箱をアレックスに手渡す。
アレックスはそれを私に渡してくる。
「ヤマト殿の功績を称え勲章を授与する!しかし!ヤマト殿たち勇者殿方は国に与することをよく思わん!なので爵位は与えないがヤマト殿には我が国がついていると言うことを覚えておいてほしい!」
「ありがとうございます。陛下。」
私は膝をついて勲章を受け取り蓋をあげて中身をとりだす。それは東洋の龍のように長い体を持ち、口で自らの尻尾を咥えた金色の勲章で、魔力を流すと左胸の辺りにくっつき私の名前が浮かんだ。
そのあとの盛大な拍手とともにパーティーは始まった。
上級貴族たちがアレックスに挨拶したあと私の方にも流れてくる。
一部を除き、皆一様にニコニコして丁寧に挨拶してくれるのでこちらもなるべく失礼の無いように心がけながらさばいていく。
20人と挨拶しただろうか、疲れたなぁと思ったらさりげなく執事が白のスパークリングワインを持ってきてくれたので喉と脳みそを潤し挨拶を続ける。アレックスたちは平気な顔してずっと挨拶しているので流石王族だと感心した。
下級貴族になると厭らしい顔をして娘を妾にどうだと聞いてくる者や敵意を持っている者も出てきたがスルーを決め込んで適当に流していく。
するとやっと挨拶が終わりダンスの時間になったため、ゆったりとした音楽が流れ始め各々がパートナーとダンスに興じ始めた。
「ヤマト殿は踊らないのか?!」
「私はああいったダンスはあまり知らないのでね。」
「なら他のダンスなら知っているのか?!異世界のダンスは気になるな!」
「じゃあすこし踊ってみようか。」
「そうしてくるといい!おい!音楽を変えろ!」
「テンポの速い曲がいいですね。」
「テンポの速い曲だ!皆の者!今からヤマト殿が異世界のダンスを披露してくれるそうだ!場所を空けてもらえるか!」
アレックスの言葉にススッと人が掃けていきフロアの中心にスペースができたためそこに向かい、音楽を流してもらう。音楽はヨーロッパの民謡のような激しい曲で私の気分も上がる。
そこで私はブレイクダンスを踊った。
この世界のダンスにはブレイクダンスのようなものはないのか皆とても驚いているのがクルクル回りながらでもわかる。ハローバックやラビットなど基礎の技でも驚いてくれるのはなかなか楽しかった。バグ宙やウィンドミルなどをすると大いに盛り上がった。
ダンスを終える頃には皆夢中になっており、終わったあとに大きな拍手が起きた。一礼をしてもといた椅子に戻るとアレックスが興奮したようすで話しかけてくる。
「ミコト!すごいな!浮いているみたいだったぞ!」
「陛下、口調が素に戻ってますよ。」
「お、おお。すまなんだ!いやしかし見事だったな!」
「ありがとうございます。すこし疲れたのでテラスで夜風に当たってきますね。」
「うむ。行ってくるが良い!」
声をかけてくる貴族たちや熱い視線を送ってくるご令嬢たち、嫉妬の視線を向けてくるご子息たちをやり過ごしてメイドからスパークリングワインをもらいテラスへやってきた。そこには躍り疲れた人や意中の人と甘いときを過ごす若者がちらほらいたが、静かで涼しい風が吹き抜けて心地よかった。
ワインを飲みながら涼んでいるとテラスの窓際の室内でメイドが貴族に言い寄られているみたいだった。よく見てみるとそのメイドはアリーナ姫で、言い寄っているのは私に敵意を向けてきた伯爵の息子だったため、止めに入りにいく。
「こんばんは、あまり女性に無理に言い寄るのは貴族としてどうかと思うけどね。」
「っ!これはこれは勇者様、ご機嫌麗しゅう。しかしこれは勇者様には関係のない話、侍女なんてものは平民か下級貴族の出のもの。上級貴族たる伯爵の嫡男に目をかけられて嬉しくない筈がないのです、パーティーに戻られてはいががですか?」
「そうですよ勇者様、こちらにおわすお方はバルカッタ伯爵家の次期当主様ですよ、嫌がる筈がありません。」
「そうは言われてもこの人は私の専属でね、気に入っているんだ。」
そう言いつつアリーナ姫の肩を抱き寄せるとバルカッタ伯爵の息子が怒りだした。
「僕は伯爵家の嫡男だぞ!寄越せといったら寄越すのだ!やれ勇者だのなんだのもてはやされて調子に乗るんじゃないぞ!」
少し気分が悪いな。
テンプレ過ぎましたかね?
少しでも面白いと思ってくださったのなら光栄です。引き続き白焔の覇王をよろしくお願い致します。