パーティー開始
読んでいただきありがとうございます
戦闘シーンがなくて少し寂しいですがこちらをどうぞ
城に戻るとそのまま謁見の間へと通された。兵士でできた道を歩き椅子に座っているアレックスの前に立つ。周りの兵士たちは一週間前の戦闘に参加していたらしく跪けやらなんやら言わずにただ畏敬の念のこもった眼差しで緊張しながら私を見ている。
「ミコト!よくやったな!鳥人族の兵がお前の力を熱く報告してくれたぞ!」
「いえ、アレックス様。私は成すべきことを為したまでです。」
「お前が敬語だと違和感がすごいな!そして一人で魔物どもを壊滅させるなんて素晴らしい働きだ!褒美は望むものを与えよう!莫大な富か?爵位か?」
「いえ、褒美はギルドの方から貰っていますから今望むものはありません。」
「そうだったな!Ⅹランクと言えば上級貴族に匹敵する地位だ!そして金と家だったか?うーむ、ならば大金貨100枚と家を豪華にすること、これを褒美にするか!」
「ありがとうございます。」
「しかしそれだとちと弱いな!よし!ラインハルト獣国国王の名の元に円環金龍勲章を与えよう!」
その言葉に謁見の間にいた兵士たちはどよめいた。私はその円環金龍勲章とやらがどれだけすごいのかよくわからなかったので平然を装って頭を下げる。
「ありがたき幸せ。」
そして謁見の間をあとにした私はアレックスと個人的な会話をするために会議室へ向かう。そこで待っている間出された紅茶を飲むと口と鼻に芳醇な香りが広がり心を落ち着かせてくれる。茶請けのクッキーを一口食べると柔らかな甘味と味全体を引き締める僅かな苦味が口のなかで踊りあい絶妙なバランスの美味しさを醸し出している。うん、このお菓子もって帰ろう。あ、今住んでいるの城だった。
メイドさんにクッキーを後で私の部屋にも届けてくれるように頼んでいるとアレックスが部屋に入ってきた。
「入るぞ!」
「いや、もう入っているよね。」
「ガッハッハッ!そんな細かいことは気にするな!それより円環金龍勲章のことが気になるんじゃないのか?」
「あぁ、気になるね。」
「円環龍と言うのはこの世界で輪廻転生を司るといわれる神龍のことでな!信仰の対象になっているのだ!まぁ誰も見たことがないのだがな!」
「なるほど...神のようなものか。」
「そうだ!その名を冠する勲章とはつまり最上級の勲章だ!分かりやすく言えばミコトに喧嘩を売るならばラインハルト獣国が相手になるぞ、ということだ!」
「それはすごいな。そんなものを渡してしまって大丈夫なのか?」
「たぶん大丈夫だ!使いを出したから今頃文官たちが死に物狂いで調節しておるはずだ!ガッハッハッ!」
「大丈夫じゃないじゃないか...」
「まぁそんな勲章を与えるにあたって国内でパーティーを開くことになるだろう!パレードも途中で終わってしまったしな!よし!明日から獣国に行くぞ!」
「早いなぁ。まぁいいよ、明日の4の鐘でいいかな?」
「ああ!構わん!」
翌日の午前に例の公園に行き吟遊詩人仲間やのど自慢たちに今日出発することを話すとすぐに12時近くになってしまったため、城に戻るとそこにはアレックスが待っていたのでそのまま馬車に乗り街をでる。唯一の持ち物である竪琴は持ってきた。それから一週間の旅の間アレックスに演奏を聞かせたり共に歌ったりしながら過ごした。アレックスは整った渋い顔と同じようにバリトンボイスの渋い声を出していた。会話をしながら馬車は進む。
「ミコトよ!お前は歌がうまいなぁ!」
「ありがとう、アレックスも良い声しているじゃないか。」
「ガッハッハッ!王族は貴族の教養もないとバカにされてしまうからな!」
「大変なんだなぁ王様も。」
「まぁ民のための働きができるというのも嬉しきことよ!」
「尊敬するよ、偉大な友人を持ったと。」
「ガッハッハッ!照れるではないか!友よ!」
そんな男の友情を育む話をしながら馬車は進み、一週間後にはラインハルト獣国の王都にある王城へ到着した。
そこには使用人たちがずらっと並び壮観だったが二度目ということもありあまり驚かなかった。すると使用人の列からサラが出てきて私を案内してくれる。
「お帰りなさいませ、ミコト様。部屋の維持は完璧に済ませております。」
「あぁ、サラありがとう。」
「いえ、これもメイドの務めですから。」
サラの猫耳がピクピクしているので嬉しそうだ。
部屋につき紅茶を飲みながらパーティーの予定を聞くと元々パーティーはパレードの後に予定されていたらしく、明日に開かれるという。服装は召喚武具の軍服で良いようだ。なんでもアリーナ様が婚約者探しをするために自身がメイドに変装して参加するらしい、教えても大丈夫なのかと聞いたらアレックスがミコトにアリーナ様をさりげなくフォローするようにと指示を出したらしい。そして今日もサラにマッサージをしてもらってから眠りについた。久々のサラのマッサージはやはり極上ですぐに眠ってしまった。
翌朝、朝食をのんびりととりパーティーまでゆっくりしてからパーティーに挑む。入場は今回の主役なためにアレックスと共に入場するらしい。すこし緊張してしまうがその緊張もサラのマッサージによって霧散した。そしてパーティー会場とは別の部屋でアレックスと合流して待機して開始を待つと数々の貴族が入場し、準備が整ったらしい。
さぁ、パーティーの時間だ。
いかがでしょうか
ご満足いただけたら幸いです。