転移
閲覧をしていただき誠にありがとうございます。
初投稿故に至らぬ点が多いと思いますが飽きるまで読んでいただけたら幸いです。
極彩色、始めの印象だ。
赤と思えば赤に見え、青と思えば青に見える、一瞬とて同じ色にならない極彩色のなか私は浮遊感に苛まれていた。
「浮遊感?なんだここ...」
昨日はバイトが休みで一日中家にいたはずだ。ご飯を作り食べてお風呂にはいって寝て...そこから何があった...?
思い出せない、だって寝てたんだもの、しょうがないよね!
「...現実逃避をするな、落ち着いて状況を確かめろ!」
と言っても状況は変わらない。途方にくれていると下に引かれている感覚を感じた。
その感覚からすぐあと景色が変わった、彩度が一気に失われていきそれにしたがって引かれている感覚も強くなってくる。なんとなく思ったことはただひとつ。
「え?私死んだの?」
そんなことを考えていると地面を踏む感覚があった。どうやら私は目を閉じていたらしい。
目を開けるとそこにはローブを着た獣耳のじいさんがいた。
「お?神様ってやつか?変わった趣味してんな...」
その神っぽいじいさんは口を開いた。
「いいえ、勇者様。私は神様ではありません、あなた様を召喚させていただきました獣国の代表魔導師です。」
「あ、どうも、大和命です...」
すると私の立っている正七角形の台座の回りに光のたまが浮かび上がり人の形をとった。
その人の形は光を失い姿を表したのは煌めくような長い銀髪に深紅の瞳をもった透けるような肌を持ち、鋭い眼差しの女性だった。
それを皮切りに次々と光が生まれ人の形をとっていく。
次に現れたのは金の瞳にエメラルドようなの髪が輝くように錯覚してしまうほど美しい、長い耳をした猫目でショートカットな少女だった。
その次は黒髪黒目の一見冷たそうな印象を受ける美青年、次は黒の髪に青い目をし、髪と同じ色の龍のような翼のはえたこれまた優しそうなおっとり系な美少女、最後に現れたのは巌のような顔つきの茶髪の背の低い髭を蓄えた人だった。
「これで全員ですかな...それでは説明などは城でいたしましょう。こちらに来てくだされ」
そう六人のローブを着た魔法使いっぽい人に言われるままついていき、促されるまま馬車に乗った。
豪華な馬車には光っていた人たちが一緒にのせられ、魔導師と名乗っていた老人たちは気を利かせてか別の馬車に乗った。
「まずは自己紹介からかな、私の名前は大和命、19才です。」
そう言うとおどろかれ、口々に外国人かとおもったやらもっと若く見えるやら天使かとおもったと言われる。
そして背中に違和感を覚えて見てみるとなんと翼が生えていた。その翼は白から先にかけて金にグラデーションになっており自分で言うのもなんだがとても綺麗だった。
「これは異世界転移ってやつかもしれないな...」
そう言い出したのは黒髪黒目のイケメンだ。
「悪い、僕の名前は神崎拓、18才だ。みんなのその姿を見ていたらそう思えてしまった。俺の考えを言う前に自己紹介を続けてくれ。」
「あたしの名前は錦 伽凛。22才よ」
と、銀髪赤目の美女
「わ、私の名前は辰野 桃です!17才です!」
と翼の生えたおっとり美少女
「うちの名前は米田皐月!14だよ!」
と耳の長いショートカットの少女
「俺は金剛 源。24だ。」
と言ったのは巌のような顔つきの背の低い人だった。
最後の年齢に皆一様に驚き目を見開いている。
「やっぱり皆日本人か」
静寂を切ったのは拓だった。
「たぶん皆人間じゃなくなってると思う。命君は獣人か天使、皐月ちゃんはエルフ、辰野さんは龍人、源さんはドワーフ、錦さんは魔族だと思う。僕は鏡がないからわからないんだが、皆にはどう見えているのかな?」
「私は拓はにんげんにみえるかな、めちゃくちゃイケメンな日本人に見えるよ。」
「命、本当に僕がめちゃくちゃイケメンにみえるのか...?」
「うん、そうだけど?」
「やっぱりか...たぶん僕たちは転移の時に別の体を与えられたんだと思う。前の僕はお世辞にもめちゃくちゃイケメンな男ではなかったからね。」
「で、だ。これがラノベみたいな異世界転移だとするとこのあと王様やら偉い人やらにあってなにかを頼まれると思うんだ。最悪奴隷みたいな扱いを受けるかもしれない、だから皆で集まって自由を勝ち取りたいと思う。」
「具体的にはどうするの?」
「向こうの出方次第だけどきっと冒険者ギルドみたいなのがあると思うから冒険者になろう。奴隷みたいな扱いになりそうなら逃げよう。」
「「「わかった」」」
そう作戦会議や談笑をしてる間に打ち解けてきて、丁度目的地についたようで大きな城の前で馬車が止まった。
出迎えてくれた使用人は俺たちをまず個室で休ませてくれるようで、案内をしてくれた。
個室は一人一部屋あり、豪華な感じだ。待遇はいいのかな?
気を抜いて辺りを見回してみると姿見があり、そこには天使が写っていた。いや、天使のような自分が写っていた。
さらさらの金髪は耳を隠すほどの長さに整えられ、目鼻立ちはくっきりしており、目がどこか優しそうな雰囲気を醸し出している。目の色は夕日のような金と赤が混じりあった色をしている。陶器のような白い肌と相まってまるで美術品のようでとても自分の顔だと思えなかった。そして服装はお風呂にはいるローマ人のようなトーガをきていることで絵の中から天使が飛び出てきたようだ。
「これはすごいな...ナルシストになりそうだ。まぁ召喚者は皆美形だったから一人だけ不細工とかじゃなくてよかったなぁ。」
と独り言をいっているとドアがノックされた。
「勇者様、謁見の準備が整いましたので、こちらへどうぞ。」
メイドに案内されるまま俺は拓たちと合流し、謁見の間に向かうのだった
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