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2 転生直後




そこは、森だった。

うん…森だ。正直びびる。住んでいたのは寂れた田舎町とはいえ森などなかった…!

あったとしてもはいる根性などない…!

つい条件反射で扉の中に戻ろうとしたけど、後ろの手は滑った…なんてことだ!半開きにして外をうかがえば良かった!

まだ、日が出てるからいいものの…!


とりあえずそこら辺に座ろう、よっこらしょ。



結局どういう状況なんだ?ここは森、人はいない、魔獣…?とかがいたにしても一般人の私に気配察知的なあれはない。

気配察知?

そういえばナイア様からスキルをもらったのではなかったか?

チートスキル。


どうしたらよいのだろう。

とりあえず…



「ステータスオープン。」




…やはりな。そこにいたか貴様。白い文字が浮かんでいる。

こういう小説を網羅した私に死角なぞない!しかし…どれどれ?


ティルフィア (7)女


HP25/30

MP4/15


スキル

「スキル作成」

ー「ステータス閲覧」



なるほど。わからん。

この…7っていうのは、なんだ?もしかしてもしかしなくても、年齢か?

私が…小1?

うそだろ!!!???


でもたしかに手は小さいし、肌は白くぷにもちっとしているかんじがする。お手入れなしでこれか、裏山掘り下げたい。

気のせいかな?

これ、確認した方がよくね?


「とりあえず…あらゆる攻撃を防ぐ″絶対防御″と、定番の″鑑定“…あとは元々欲しかった“光合成“かな?」


安全を確保してから確認しよう。

むむむむむむ…こう、なかからオーラ的なあれを迸らせる。わけがなかった。

正直分からん、魔力とか。お?これが魔力か?とかならん。絶対勘の良い奴だけだ、わかるのは。


まあ、うん。なんかできてるだろ。


「ステータスオープン。」


ティルフィア(7)女


HP40/41

MP20/25


スキル

「スキル作成」

ー「ステータス閲覧」

ー「絶対防御」

ー「鑑定」

ー「光合成」


うむ。できてた。絶対防御…常時発動なのかな?

目をこらしていると説明が出てきた。


「絶対防御」

常時展開する。自分の意志で閉じることもできる。魔力、物理攻撃ともによほどの技量差でないかぎり、この外殻を破ることはできない。


すこし待て。

よほどの技量差?え?曖昧すぎない?死ぬ気がする。うん。

だってそもそも当方、学生だもん。運動神経極貧の学生だもん。…だったもんか、なんだこの口調、吐きそうだ…



まあ、とにかく歩くか。

まだ夜が来る感じではない…どちらかというと、午後?何時くらいだろう…日時計で時間計るとかそんなサバイバルなことができるはずもない。


そよそよ葉の揺れる古木に暖かな日だまり。

ねむってしまいそうだ…それこそ、私の名前、前の名前の眠莉みたいに。




家族はどうしているだろうか。

私には姉と、弟と、妹がいた。姉を抜かせば、サ〇エさんのような年齢差の姉弟だったと思う。そこそこに仲は良かっただろう。

急いで大学への電車に向かう姉に、高校のブレザーを着る私。弟は真新しい詰め襟に袖を通し、幼稚園に通う妹は呑気に寝ていた。

それが、いつもの光景。

ナイア様によれば、家族は私のことを我が国の第三王子殿下と、隣国の王弟である大公閣下に連れられ諸国漫遊の旅に出たと思っているらしい。


…確かにそんな話はした気がする。乙ゲーの悪役令嬢とかになるなら、結婚相手はこういう人が良いよね、と。


だが…だが…!我等が日の本には第三王子なぞ存在しないし、一般庶民の前に顔など出さないだろうし、隣国とは何処だ…!少なくとも近くの国に大公だとか候爵だとか、そういう身分制度を使用している国はない…!


うん。そう思うと頬に伝って落ち続けるこの木からの雫もなんだか流れが緩やかになってくる気がした。



彼らの中で私は思い出に生き、私の中で彼らは思い出に生きる。それでいいじゃないか。

別に私という存在が消えたわけではない。少し怒りっぽい母様と、私に甘いが自分にも甘いダディとの血が心の臓の奥の奥に流れている。

私が、忘れなければいい話なのだから。



すっかり止まった雫を拭い、マイナスイオンを取り込み続ける。もう涙も出ない。大丈夫だ。

ビバ、マイナスイオン。あ、でも虫は嫌だから“絶対防御”を表面3㎝くらいにしとこうかな。


「…?」

なんか浮いた。なるほど、これが銅鑼絵紋の世界か。なんか気持ち悪いので足下は0.5㎝くらいにした。うん、落ち着く。


とまあとりとめもなく歩き続け…川を見つけた。


川だ!水が飲める!

思いっきり飲み干す。どうやらのどが渇いていたらしい。あとから思えば危険だ。…と…


「……?美少女、ロリ…?」


重複するくらいには、混乱した。

なるほど7歳と言われればそうかもしれないと思うレベルの小さい体。

なぜ気づかなかったのか、キューティクルの光る青みがかった銀糸が胸あたりまである。

そしてこちらを驚いた様子で見つめる濃紺の、瞳孔の周りだけ髪と同じ銀色。


…………ロリコンの気持ちが、分かる気がした。



いや!!!!分かってはいけない!煩悩という邪知奸佞の王をぶちのめさねばなるまい!うっかり自分へ欲情してしまうくらいのかわいさだった!いやしないけど!



…これが、この世界の標準なのだろうか?ぶっちゃけ、美形獣人をもふりたい。


脈絡がなかった。さて、かわいいなわたし。



そこから2時間ほど、色んなポーズや顔を試して遊んでいた。




「はっ!」

私の可愛さに見惚れ、気づいたのはがちで眠くなってきたおそらく三時頃だ。

間違いあるまい。私の睡眠時計は正確なのである。


うーーん、どうしようか。普通ならここで行き倒れてイケメンに拾ってもらえるのだが。

そんなのが通りそうな感じではぶっちゃけない。危険な感じはしないけれど、安全な感じもしない…というか。

農村へ降りる?不審者をすぐ入れるような村なら逆に危険だろう。

正直言うと余り私の躰という感じはしないのだが、たぶんかわいい?と思う…美醜逆転とかではない限りは…

王都?とかならギルド的なやつがあるとおもうのだが…子供の歩きではだめだ。


うーん。

もうなるようになれ。今日は森で過ごして、チートスキルで遊ぼう。うん。


「ステータスオープン。」


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