表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で、ケジメつけます!  作者: 松戸京
第三章 異世界運び屋稼業
76/76

アブナイ町 1

 それからしばらく軽トラに揺られる……いい加減そろそろ飽きてきた。


「……そろそろ、着かないのかな」


 俺がそう言うと、助手席の方の窓からノエルが顔を出す。


「もうすぐ着く。準備、して」


 それだけ言ってノエルは再び頭を引っ込めた。ということは……そろそろ王都っぽいものが見えてきても良いはずである。


 俺は荷台の上に立ち上がり、キョロキョロとあたりを見回す。


「あ」


 俺は思わず声をもらしてしまった。見ると、軽トラが進む方向に、いかにもな西洋風の城塞が見えている。その周りには小さな家……どうやら、あれが王都らしい。


「お、おお……ようやく異世界っぽいものに出会えた……」


「……魔法とやらは、異世界っぽくないのか?」


 霧原がそう言うが……その魔法がイカサマに使われているようでは、異世界ファンタジー感は台無しである。


 とにかく、ようやく俺も異世界転移者らしい体験ができる……そう期待して俺は荷台の上でワクワクしていた。


 そして、それから十分程経った頃。


「……これが、王都」


「そう。正確には、王都の隣町」


 ノエルが訂正を入れる。確かにそのとおりで、王都に行くと思ったトラックは、大きくカーブし、そのまま王都の隣の町に入った。


「え……えっと……この街は?」


 俺はそう効きながらも今一度目の前に広がる町を見る。


 一軒西洋風の町並みなのだが……どうにもおかしい。


 異世界のはずなのに、至る所に俺が知っている文字や看板……おまけにケバケバしたネオンまで光っている。


 それこそ、まるで俺が元いた世界の妖しげな繁華街……そんな様相を呈しているのである。


「この町、名前、ない。呼び方色々」


「え……色々って……例えば?」


「立ち入り禁止地区、無法地帯、ゴミ溜め……色々。ナベシマさんはそんな感じで、呼ぶ」


 ノエルは無表情でそう言うが……なるほど、鍋島の言っている意味はなんとなくわかる。


 そして、鍋島が俺の遠出を許可した理由も、この街がどう呼ばれているかで理解できた。


「え……ど、どうします? 伊澤さん」


 軽トラから既に全員が降りてきていた。決定権は……どうやら俺にあるようである。


「……とりあえず、本店とやらに行くぞ」


 俺はそういって、とりあえず、妖しげな町に入っていったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ