王都への道 2
「それで……王都とやらには、どうしても行かなきゃならねぇのか?」
ノエルに話をした後で、俺は霧原にも同様の話をした。
「そ、そうなんですよ……そこで、霧原さんにも是非お力を貸してほしいなぁ、って……」
俺はとりあえず笑顔でそう言う。しかし、霧原は相変わらずの仏頂面だった。
「……信用できそうなのか? 鍋島の親父の部下は」
「え……あ、ああ……佐崎さんか。ま、まぁ……悪そうな人ではなかったけど……」
「……お前、鍋島の親父さんだって、悪い人には見えないだろ?」
霧原は呆れてそう言う。確かに……鍋島も見た目には気のいいおっちゃんだ。
しかし、俺はともすると、腕の一本を、あのイカサマ賭け事で失っていたかもしれない……そう考えると人を見た目で判断することが愚かなことであることは十分理解できる。
「けど……チャンスなんですよ! これは」
俺は強めの口調でそう言った。霧原は怪訝そうな顔で俺を見ている。
「だって……1億ペスカですよ? 魔物狩りやってたんじゃ、いつまで経ってもそんな大金手に入らない……だったら、このチャンスに賭けてみないと」
俺がそう言うと霧原は少し考え込むように腕を組む。そして、それから小さく頷いた。
「……わかった。俺もついていくぜ」
「あ……ありがとうございます。これで安心ですよ……」
実際霧原がいないと、そういう何が出てくるかわからない所は不安だ……霧原がいれば我がチームの戦闘力もゼロではなくなるからである。
「……ただし、いいか。賭け事は禁止だ。絶対にやるなよ」
「え……あ、あはは……やりませんよ、もう」
「いいな。約束しろよ」
霧原はドスの聞いた声で俺に念を押した。賭け事なんて……俺だって、やらなくていいならやりたくないのである。
とにかく、俺がしたいのは、一人でも多くの女の子を騙す……ではなく、交渉してこの村に連れてくることである。
連れてきた後のことは……俺の知ることではない。まぁ、佐崎さんがなんとかしてくれるのだろう。
「……もしかすると、これで元の世界に戻れるかも」
俺はそんなことを考えながら、霧原の部屋を後にしたのだった。




