夢の場所へ 3
それから、里見についていくこと、約十分。
村の外れに俺は連れてこられた。
そこには、古びた小屋が、不自然にポツンと立っている。
「……え。ここ?」
どう見ても小さすぎてキャバクラなんてあるわけ無いって感じの小屋である。
そもそも、人がいなさすぎる……一体どういうことか。
「はい……付いてきて下さい」
そういって、里見は小屋の扉を開ける。扉の中には……やはり何もなかった。
「何もない……ですね」
しかし、里見は俺の言葉には返答せず、そのまま小屋の中央にある……何か蓋のようなものを指差す。
「この下ですね」
そういって、里見は、蓋のようなものの取っ手を掴む。すると、その先には……
「……階段」
どうやら、蓋のようなものは、地下室への入り口だったようである。蓋の先には、階段が伸びていた。
「どうぞ」
そういって、どこから取り出してきたのか、いつのまにか松明を持っている里見。
俺は言われるままに里見のあとを付いて階段を降りていく。
暗い階段で、松明がなければ歩くこともままならないレベル……俺は不安になってきた。
「え……この先にほんとに……その……」
「はい。お店がありますよ」
里見はいつもと違って自信満々にそういう。そこまで言われると俺も何も言えないので、黙って後をついていった。
しばらく階段を降りると、その先に光が見えてきた。そして、階段を降りきると……
「え……」
俺と里見の前には……扉が現れた。その扉の横には……
「どうも」
グラサンに黒服……どう見てもそのスジの方が立っている。
「エレナです。こちらは同伴の伊澤さん」
里見がそう言うと、強面の黒服は小さく頷き、扉を開く。
「ようこそ。キャバクラ『ブラック・ドリーム』へ」
そういって、黒服が開けた扉の先にあったのは……
まばゆいネオンの光と、天井からぶら下がったシャンデリア……そして、それぞれ客を接待するための机……
「……キャバクラだ」
まさに、ドラマや漫画だけでしか見たことのない光景が、俺の前に広がっていたのだった。




