夢の場所へ 2
「え……お店って……マジなの?」
俺は思わず戸惑っていた。
アパートに戻ってから、俺は里見が言っていたことを反芻する。
お店……夜……お話……
「これはもしかしなくても……」
いわゆる、そういうお店……なんじゃないだろうか。
まぁ、流石にエッチなお店ではないだろうが……里見がそんなところで働いているのかということ自体意外である。
アパートに戻って里見は部屋に戻る時に、お店に一緒に行こう、部屋に呼びに行くから待っていてくれと言っていた。
つまり……これから同伴でそのお店とやらまで行くというのである。
「大丈夫なのかよ……俺」
無論、そういう店に入ったこともない。その初体験がこんなわけのわからない異世界で、となってしまう……俺はなんだか複雑な気分だった。
と、そんなことを考えていたその時だった。
コンコン、とドアを叩く音が聞こえてくる。
「あ……今、行きます」
俺は慌てて扉を開けに行く。扉を開けると、そこには……
「あ……お待たせしました」
扉の向こうにいたのは……美人だった。
胸の大きく開いたドレスを来て、薄めの化粧をしている……これが里見だっていうのか?
「え、えっと……里見さん?」
思わず俺がそう訊ねると、里見は小さく頷く。
「あ……その……付いてきて下さい」
里見はそう言って歩きだす。俺もそれに続く。
あの格好っていわゆる……そういう……
「……っていうか、こんな異世界に……キャバクラなんてあるのか?」
流石に信じられず、俺は思わずそう疑問を漏らすことしか出来ないのであった。