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異世界で、ケジメつけます!  作者: 松戸京
第三章 異世界運び屋稼業
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完全なる注文 1

「はぁ……」


 イカサマ対決から約一週間。


 俺はギルドの片隅で大きくため息をついていた。


「ギンジ! お昼終わり!」


 ノエルが怒り気味にそう言ってきた。俺は立ち上がる。


 結局……あれから俺は魔物狩りに駆りだされている。


 無論、相変わらずメインの戦力は霧原である。


 俺はもっぱら囮……里見は相変わらず見ているだけ。ノエルも……同じようなものである。


「……はぁ。めんどくさいなぁ」


 俺がそう言うとノエルが青い瞳で俺を睨む。


「ギンジ……真面目にやる気、ある?」


 ……ない。あるわけがない。


 毎日金になっているのかいいないのか……いや、なっていない。


 一日百円のためだけに命をかけて危険な目に合うのは……割に合わなすぎる。


 もし命を賭けるならもっと大きい見返しが欲しい。そう思うのは当たり前である。


「なんや。調子悪そうやな」


 と、そこへ聞こえてきた声。俺は苦い顔で振り返る。


「……鍋島さん」


 見ると鍋島はニンマリと微笑んで俺を見ている。


「なんや。つまらなそうやな……どうや? また賭け事でもせんか?」


 と、鍋島はニヤニヤしながらそう言う。俺はチラリとノエルを見る。


「……ナベシマさん。ギンジ、賭け事、禁止」


 ノエルはふくれっ面でそう言った。それを聞いて、鍋島はなぜか嬉しそうに微笑んだ。


「アヒャヒャ……なるほどのぉ。まるで女房から賭け事禁止令が出ている旦那みたいやな。伊澤さん」


 鍋島はそういった後で、そのメガネの奥の瞳で俺を見る。


「せやけど……つまらんやろ? 今の仕事」


「へ? え、えっと……まぁ……」


 俺がそう言うと、ノエルはムッとした顔で俺を見る。


「ええんや。その通りやろ。危険な目にあって一日百円じゃ割に合わんわ。せやから……ワシが仕事……やなくて、クエストを紹介しとるわ」


「……へ? クエスト、ですか?」


 そう言うと鍋島は大きく頷いた。


「せや。報酬は……1億ペスカでどうや?」


「1億……えぇ!? ひゃ、百万円ですか!?」


 さすがに俺も思わず驚いてしまった。鍋島はニンマリと微笑む。


「そうや。この前の賭け事のお詫びと思ってくれてええで。どうする?」


 俺の心は既に決まっていた。


 もちろん、引き受ける、と。

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