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異世界で、ケジメつけます!  作者: 松戸京
第二章 異世界賭博放浪記
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ナベシマ・ザ・プレイヤー その6

 いよいよまずくなってきた。


 イカサマは見つからなかった……それなのに、今俺と鍋島の最終対決が始まろうとしている。


 俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。


 目の前にいるおっさんは……曲がりなりにもそのスジの方だ。


 どう考えても「やっぱりさっきのはナシで!」は通じない。


 つまり……ここで間違えればマジで先程の短刀……ドスで、指を切ることになる。


 ……いやいやいやいや。洒落にならないだろう。


 俺はここにきてようやく、事の重大さに気付いた。


 そして、明確に恐怖したのである。


「伊澤さん?」


 鍋島に呼ばれて俺は我に返る。


「え……な、なんですか?」


「コップ。選んでや」


 そう言われて、既に目の前にはコップが配置されているのに気づく。


 ……ダメだ。何もわからない。


 自分がイカサマされていることはわかっている……でも、その内容がわからないのだ。


 つまり、どうあがいても俺は負ける……その未来しか選択できないのである。


「う……うぅ……」


 俺は思わず唸ってしまった。そして、それと同時に目から一滴、涙が溢れていることに気づく。


「伊澤さん? 泣いてもアカンで」


 無情な言葉が鍋島から言い渡される……もうダメだ。


 俺は指を一本失う……仕方ないのだ。


 これは失っても仕方のない犠牲……俺はそう思い、泣きながらも、真ん中のコップを指差す。


「これで、ええんやな?」


 鍋島が嬉しそうにそう言う。俺はなんとか頷こうとした。


 その時だった。


「ぶごぉっ!?」


 俺は思わずわけのわからない叫び声をあげてしまった。


 何が起きたかわからなかった。


 いきなり、俺の頬に思いっきり鈍い衝撃が襲ったのだ。


 俺はそのまま椅子から転げ落ちる。そして、意味がわからにままに周囲を見渡す。


「何やってんだ! てめぇは!」


 ドスの利いた声が響く。


「え……あ……」


 呆然としながらも俺はようやく気付いた。


 目の前には、鬼の形相をした霧原が、俺を睨みつけながら立っていたのだった。

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