ギンジ・ザ・ギャンブラー その2
そう言うと、瞬時に場が引き締まった。
臨戦態勢に入った、という感じである。
「……これで、どうやって?」
ノエルの質問に、俺は懐からある物を取り出した。
それは……大きさ、色……様々な石だった。黒、白……丸い物、四角い物と色々ある。
「この石はそこらへんで拾ってきた石だからイカサマも何もできないけど、調べてみる?」
そういって、俺は石を一つノエルに手渡す。
ノエルは石をマジマジと見ていたがどこにもおかしな点は見つけられなかったようである。
「……いや。いい。イカサマ、ない」
「でしょ? それじゃあ、さっそく始めようか……これは漫画で読んだことがある賭けと似ているんだけど……ほら」
そういって、俺は一つ四角い白い石をコーヒーの中に鎮める。
コーヒーの表面はゆらゆらと揺れ、コップから零れそうになったが……しばらくすると収まった。
「ね? こうやって石を入れると、段々と水かさが増えていく……そして、最終的にはコップから溢れてしまうというわけ」
「……つまり、溢れると、負け?」
ノエルがそう聞いてきたので俺は頷く。
「はい。ノエルの分の石」
そういって俺はノエルに幾つかの石を渡す。
「入れる石は自由だよ。大きい石をいきなりいれてもいいし、小さい石で少しずつ増やしていってもいい。さぁ、ノエルの番だよ」
「その前に、聞きたい」
そういって、ノエルはその青い瞳でジッと俺の事を見る。
「え……何?」
「ギンジ、この戦いに、何、賭ける?」
むしろ、ようやくかと思わんばかりの質問が返ってきた。
無論、俺は準備していた答えをノエルに返す。
「ああ、それなんだけど……俺の借金」
「……へ? ギンジの……借金?」
ノエルはキョトンとしている。予想通りの反応……俺はニヤリと微笑んで、その先を云う。
「俺は俺自身の借金を賭ける……負ければ、借金を二倍にしてもらって構わない」




