一狩り行って来い! 4
さすがの霧原も、鍋島が持ってきた日本刀を見て言葉が出ないようだった。
「……親父さん。俺の武器は……これですか」
「せや。かっこええやないか。異世界で大暴れする日本刀を使う極道……サマになると思うで」
……いやいや。どう考えても馬鹿にしているとしか思えない。どこの世界にメインウェポンが日本刀の極道がいるというのだ。
しかし、霧原も格上である鍋島には逆らえないのか、渋々とその日本刀を受け取らざるを得ないようだった。
「よっしゃ! それじゃあ、さっそく魔物狩りに……おお。忘れとった。伊澤さん。これ、着替えてや」
そう言われて俺は鍋島からジャージを受け取った。本当にタダのジャージ……里見と同じデザインの色違いのジャージだった。
「……ね? 言ったとおりでしょ?」
里見は不気味に微笑みながらそう言った。どうやら俺の装備は
武器:トカレフ(拳銃)
防具:ジャージ(市販)
……よく言えばシンプル。悪く言えば……完全にヤクザの鉄砲玉である。
これからカチコミにでも行くのかと言わんばかりに、特攻染みた装備であった。
「さて! では、気を取り直して……魔物狩り、頑張ってや!」
鍋島はそう言って倉庫の外に出て行ってしまった。
残された俺達3人だけが呆然とそこに立っている。
「はーい! では、私、案内します! 行きましょう!」
しばらくしてノエルが、調子はずれに元気な声でそう言った。
……そういえば、ノエルも魔物狩りに参加してくれるのだろうか。
この世界の住民は魔法が使える……というか、ノエルが魔法を使うところは見ることが出来た。
つまり、ノエルが参加してくれれば、かなりの戦力になるということである。
「あ! ちなみに、私は案内役。魔物狩り、参加、しません」
……淡い期待はそのカタコトの日本語と共に簡単に打ち砕かれた。
結局、俺、極道、幸薄そうな女の3人で魔物狩りをやらされることになってしまったのであった。




