一狩り行って来い! 2
「いやぁ! 朝からすまんなぁ。ワシも可哀想やと思っとるんやで? こない朝から魔物狩りなんてなぁ……せやけど、お金、返してもらわんと、アカンねん。すまんなぁ」
ギルドハウスに着くなり、鍋島のインチキ関西弁が炸裂していた。
俺は辟易しながらも、問題である武器のことが気になっていた。
武器……魔物を狩るのに武器は必要だ。そして、どうにもこの鍋島は、元いた世界から武器を持ち込んでいるという。
「さて……まぁ、本題に入らせてもらうんやけど。とにかく、魔物を狩ってきてほしいねん。一匹でもええよ。昼までに持ってきたら、昼飯はワシが奢ったるで」
「……鍋島の親父さんが奢ってくれるのか?」
と、霧原がそう質問すると、鍋島は首を振る。
「ちゃうねん。ウチの嫁はんが作ってくれんねん」
「……よ、嫁!?」
驚きの声をあげたのは……俺だった。
「せやで。なんや、伊澤さん。ワシに嫁がおったらおかしいか?」
「え……い、いや、そうじゃないですけど……」
正直、おかしいと思ったが……ちょっと怖目に凄まれたのでそれ以上絡まないことにした。
「まぁ、とにかく、魔物を狩るには武器が必要やな。ほな、付いて来たってや」
そういって、鍋島はなぜかギルドハウスの出口の方に向かっていってしまった。ノエルもその後に続く。
「え……どこに行くんですか?」
「……武器庫ですよ」
ボソッとそういったのは、里見だった。
「武器庫って……そこに武器が?」
「ええ……一応、私は……今も持っていますけど」
そのジャージの下にどんな武器を持っているのかは疑問だったが……あまり深くは聞かないことにした。
そして、鍋島の後をついて、ギルドハウスを出て、その裏手に回る。そこには大きな建物があった。石造りで大きな建物……確かに倉庫のようだった。
鍋島は倉庫の扉にかかっている南京錠を外し、重そうな扉を開く。
「ほな。入ってや」
そう言って中に入っていく鍋島。ノエルもその後に続く。
戸惑いながらも、俺達3人も倉庫の中に入っていった。
倉庫の中は暗く、何も見えなかった。
「……鍋島の親父さん。武器はどこにあるんだ?」
霧島の渋い声が暗闇の中で響く。すると、鍋島のいやらしい笑いが聞こえてきた。
「ふふっ……まぁ、そう焦らんと。今見せたるさかい」
鍋島がそう言った直後、倉庫の中に灯りが灯る。
「……へ?」
思わず俺は間抜けな声をあげてしまった。
倉庫の中にあったのは……無数の銃火器だった。
映画でしか見たことがないような銃やロケット砲……そんなものが所狭しと倉庫の中に置かれているのである。
「ひっひっひ! どうや? さぁ、この中から好きな武器を選んでや」
それこそ、RPGの序盤の案内キャラのような口調で、鍋島は俺達に向かってそう言ったのだった。




