表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で、ケジメつけます!  作者: 松戸京
第一章 地獄から異世界
12/76

極道との会話から始まる異世界生活 1

「……普通だ」


 何が普通なのかといえば……アパートの部屋だった。


 俺が今まで生活していたアパートとほぼ変わらない感じだ。


 トイレ風呂はなし。だが、キッチンはあり、簡単な食事ならできそう……というか、ガスや電気や水道が通っているのが驚きだった。


「……なんだかなぁ」


 よくわからないまま、俺は六畳間に寝転ぶ。


 ……そもそも、俺は明日から何をやらされるのか。


 ノエルや鍋島の話を総合すれば借金を返すために魔物を倒す、とのことらしいが……果たして、そんなことができるのか。


 俺は魔物なんてゲームでしか倒したこともない。それに魔物を倒した所で、一千万円の借金が返せるのか……


「はぁ……ったく。どうすりゃいいんだよ」


 俺はそう言いながら目を閉じた。今までもそうだったが……困ったらとりあえず眠ることだ。眠っても……大体いつも、状況は好転しなかったけれど。


 そんな風にしていたら、マジで眠ってしまった。起きたのは部屋の中がオレンジ色に染まった時間だった。


「う……あれ?」


 窓から差し込むオレンジ色の光……異世界でも夕焼けは元いた世界と変わらないようだった。


「はぁ……腹減ったな」


 俺はそう一人呟きながらまたしても寝転んだ。


 と、その時、ドアを叩く音が聞こえた。


 正直……ドアを不用意に開くのはやめておきたい。


 また怖いおっさんがドアの向こうに立っているかもしれないのだ。それは、異世界でも同じこと。


 俺はノックを無視した。しかし、二度目はノックと共に声が聞こえてきた。


「おい。いるんだろ?」


 ドスの利いた低く、渋い声……霧原だ。


 俺は仕方なく立ち上がり、ドアの方に向かっていった。そして、ドアを開く。


 そこには、確かに白スーツの角刈り極道が立っていた。


「……なんですか。霧原さん」


「飯、食べてないだろ。鍋島の親父さんから貰ってきた」


 そういって、霧原が俺に見せてきたのは紙袋一杯に詰まったカップ麺と……やかんだった。


「え……いいんですか?」


「良いも何も。今までの債務者にもそうしてきたそうだ」


「へ? 今までの債務者?」


「ああ。どうやら、お前が初めてじゃないようだ」


 そう言うと、霧原は当りをキョロキョロと見回した。


 そして、俺の方に顔を近づけてくる。


「……お前、ちょっと部屋の中に入れてくれ。話したいことがある」


 とても断れる剣幕ではなかった。俺は仕方なく霧原を部屋の中に入れることにした。


「えっと……なんですか。霧原さん。話したいことって」


 俺がそう言うと、辛辣そうな表情で、霧原は俺の事を見た。


「……どうやら、お前は一番悪い選択肢を選んだようだぜ」


「え? どういうことですか?」


 瞬間、嫌な予感が頭の中をよぎった。霧原は少し間を於いてから、話の先を続ける。


「お前が初めてではない……つまり、お前の前に債務者がいたわけだが、鍋島の親父さん曰く、ソイツらは別の世界に旅立ってしまったらしい」


「え? そ、それって……元の世界に戻ったってことですか?」


 俺がそう言うと、霧原は大きくため息をつく。


「違う……死後の世界に旅立ったんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ