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異世界で、ケジメつけます!  作者: 松戸京
第一章 地獄から異世界
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仁義と任侠の異世界 4

「すまんなぁ、伊澤さん。ワシ、ちょっと霧原ちゃんに用事があったんや」


「……俺に、用事?」


 霧原は怪訝そうに鍋島のことを見る。


 しかし、鍋島は相変わらずのニヤニヤ笑顔で霧原を見返す。


「大したことやあらへん。ただ、霧原ちゃんに久しぶりに会ったから、お話したかっただけやで」


 ……なんというか、俺が霧原の立場だったら、絶対にこの鍋島という男は信用出来ない。


 2人っきりでお話なんてできればしたくない。


「……そうですか。だったら、お付き合いします」


「嬉しいなぁ! 霧原ちゃん、さすが『鬼の霧原』と呼ばれている男やで」


「……え? 『鬼の霧原』?」


 思わず俺は霧原の事を見てしまった。霧原は相変わらずの鋭い視線で俺を睨む。


「……渾名みたいなものだ。気にするな」


 ……いやいや。それは渾名ではなく、二つ名とかそういうものではないだろうか。


 それにしても『鬼の霧原』……初対面で俺が抱いた印象は間違っていなかったようである。


「それじゃ、霧原ちゃんは連れて行くで。伊澤さん、今日は初日やから、ゆっくり休んでや」


「え……ええ。分かりました」


 そういって、鍋島と霧原は連れ立って行ってしまった。残されたのは、俺とノエルだけである。


「……さて、私も、そろそろ、帰ります」


「あ……そ、そう……」


 そして、ノエルは俺の方にニッコリと笑顔を向けてきた。


 金髪碧眼美少女の笑顔……普通なら可愛いとだけ思うのだが、ノエルの笑顔はどこか少し怖かった。


「ギンジ。明日から、頑張ってくださいね!」


「あ……そ、そうだ。そもそも、明日から何するわけ? 俺、鍋島さんから何も教えられてないんだけど……」


 俺がそう言っても、ノエルはニコニコしているだけである。


「明日になれば、わかります。今日はゆっくり休んで」


「え、えぇ……って、っていうかさ。俺、腹減ったんだけど、飯とかどこで食えば――」


 俺が聞いてもノエルは答えず、そのままアパートの方ヘ向かっていってしまう。


「え……ちょ、ちょっと! ノエル!」


 俺が引きとめようとする前に、ノエルは101号室に入ってしまった


「ノエル! あ、あれ……鍵!?」


 既に鍵を閉めてしまったらしく、いくら扉のノブをがちゃがちゃ回しても、ノエルが出てくる様子はなかった。


「……なんだよ。金髪碧眼美少女は……俺にやさしくないのかよ」


 いくら異世界転移したといっても……借金を返すために送り込まれたのだ。


 いわば、異世界への流刑のようなものである。


 可愛い美少女も俺にやさしくないのは、当然なのかもしれない。


「……仕方ない。部屋、戻るか」


 俺はなすすべもなく、アパートの201号室に戻ることにしたのだった。

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