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7/13

しーち。

アクセス数4600越えありがとうございます!(’-’*)♪

昨日でいきなり増えて戸惑ってます。

やっぱり毎日更新は無理かなぁと思ってます。

「あれ。和泉と彰弘」



彰ちゃんと二人で食堂に向かっていると、あまりにも珍しい組み合わせなので周りの人がガン見してきていたたまれなかった。


そんで高等部の食堂に来て蓮のもとに行くと、蓮からも珍しい組み合わせだな。という目線が向けられる。


蓮が座っているところは生徒会限定の席で、他の生徒が座っているところより一段上がっている。

まあ何というか、生徒会は成績運動家柄容姿全部揃った人の集まりだからそういう優遇とかは当たり前にある。

中等部でもこの席があるけど、私は座らない。

一応中等部生徒会の会長だから、役員にどうぞどうぞと勧められるけど、丁寧にお断りする。

目立つのやだ。


今は他の役員は座っておらず、蓮だけそこに座ってるから、何か王様的な感じになってる……ていうか王子様なんだけど、久世先輩の腹黒さが織り交ざってるから王様でもいいかなと思う。


「和泉。座れば?」

「え、大丈夫ですかね」

「和泉も役員でしょ」

「まあ中等部のですけど」

「あれ、高等部上がったら強制的に高等部生徒会の役員だよ?」



ま じ で か


いやいやいやいや、できれば断りたいのだけど!!!

てか蓮、作中で和泉は生徒会入ってたから私が嫌がるのわかってるくせに、何でそうやって……!!

いじめか、いじめなのか!?

くっそ、まじで腹黒かよ!



「和泉。並ぶぞ」

「あっ、はい」



私が嫌な顔をしてたことなんかガン無視で、彰ちゃんが私の手を引く。

もしかすると彰ちゃんもグルで先生にまで話通して私が断れないように仕向けてるんじゃないかと思われる。

まあ私、自分で言うのもあれだけどできる子だもんね、頑張ってきたからね。

とは言っても、昔からそれこそ前世から優秀だった蓮とか、蓮には及ばなくてもずっと何事も2位キープの彰ちゃんには敵わないってわかるんだけど。



「……は?」



パシッと手首を掴まれたかと思えば、その絶対零度の低い声に振り向く。

声の主はおそらく蓮だろうけど、どこに機嫌を損なう箇所があったのか……え、すっげえ怖い。


顔が笑ってない。

いくら腹黒王子様だからって笑わないと腹黒じゃなくてただの魔王だからなっていうさ、手がすっごく痛いんだが話してくれぬか!



「ちょっと待って、彰弘。話がある」

「彰ちゃんに話なら手を離してくれませんかね!?」

「…………は、“彰ちゃん”?」



ヒッ!!

声がまた下がったぁぁぁ!


掴まれた手首がギリギリと音を立てるから、必死に抵抗して離れようとするけど、それを更に強い力で阻止される。

何、彰弘のところ行きたいの? とか意味不明なんだが何言ってんのこいつ!!!


何何何何!!

彰ちゃんとか呼んだから怒ってんの!?

小野瀬家の令嬢がそういうことするな的な!?

でも自分で蓮って呼べって言ったし、あ、婚約者だから蓮はいいのか?

むしろ婚約者が他の男と仲良くしたら自分の立場がなくなるとかげすいこと考えてんのか、こえーな魔王!!

いやもうわけわからんけど、彰ちゃんはうちの取引先だから仲良くしても損はないし、一応蓮の親友じゃん!?

だから大丈夫だと思うよっていうか、いい加減手ぇ離せ!?



「そういう話じゃないから。何でそうなったか説明して?」

「えっ? と、ですね。蓮と会いたいなぁって高等部の校舎行ったら彰ちゃんと会って、話してたら流れでそうなったっていうか……」



いや別に会いたくはなかったけどね。

蓮のせいで午前中やったら疲労したからねこっちは。

まあ“ビッチヒロイン対策ー”とか説明できるわけないし、大体察してくれるだろうと思われる。



「……ふぅん……許す」



パッと離された手首を見ると、少しだけ赤くなっていた。

くっそ、そのうち赤み引くかな?


それはそうと、心なしか蓮の顔が赤いような気がするんだけど、気のせいかな?

となりの彰ちゃんが“ちょろ”と呟いたのが聞こえてきたんだけど、蓮のどこがちょろいの!?



「はっ、昼休みが終わってしまう!」



無駄なタイムロス!!


ダッシュで食堂の列に並ぶと、ざっと先に並んでいた人が左右に避けて道ができる。

めっちゃ驚いたんだけど、まあ小野瀬 和泉はカースト的に最上位だったね、たまに忘れるよね、前世は庶民中の庶民だったからね。

えっ、やめてくださいよー。と見るからに狼狽えることもできないから、すこし柔らかい微笑みを作る。



「やめてくださいませ、先輩方。順番をのかすほど横暴で軽い脳みそは持っていませんわ」



首を傾げて、そう見えますの? と暗に伝えれば、真っ青な顔をしてすばやく列が元に戻った。


席に座ってステーキ食べてたはずの蓮のはははっという笑い声がここまで聞こえたんだが、何だあれ。

少し遅れてきた彰ちゃんが私の後ろに並ぶけど、手で口元を押さえて肩を震わせているからきっと笑ってる。

おい、ばればれだぞ? あ?



「手、平気か?」

「あっ、はい。それにしても蓮、さっき何で怒ってたんでしょうね?」



手首をぶらぶらしながら彰ちゃんに問うと、バカを見るように蔑んだ目で見られた。

え。


「しばらく見ないうちにバカになったな、和泉」

「失礼ですよ」

「……というか、麻痺したのか」



なるほど。と言いたげに頷いてるけど、私全くわからない。

まあいいか、と前を向く。

順番が来たから蓮と一緒のステーキを注文した。



そこから彰ちゃんの「俺が持ってやる」「いや大丈夫です」「貸せ」「遠慮」「は?」という攻防があって、やっと席につくと蓮は食べ終わっていた。

ヒロイン対策の話したかったんだけど、彰ちゃんいるから無理だよなぁ。


というか生徒会限定の特別席って、全校生徒の憧れの人が座るからすっごい注目の的なんだよね。

こんなところで前世がどうたらなんか話せるかよ!


何故か腕を引かれ蓮のとなりに座らせられたけど、まあいいかと空腹に負けて考えるのを放棄した。

まあ、せっかく出向いたし放課後にでも約束取り付けておくか。



「蓮。放課後いいですか?」

「あー、いいよ。生徒会おいで」

「……まじかよ……」

「あは、和泉、本音出てるよ」

「…………二人がいいんですが」

「うん、わかってる。会長専用の部屋あるから話せるよ。俺以外入れないし」

「ソレ職権濫用イイマスネ」



思わず遠い目になる。

この人が時期会長とかやめて。

学園の未来が心配です。



「……そんなに仲良かったか?」



目の前に座ってた彰ちゃんが居心地悪そうに聞いてくる。

ですよね、そうなりますよねー。

前まで完璧に避けてたからね、朝無理矢理迎えに来られるのはのけると。



「前からですよ」



まあ、細かく言うと前世からなんだけどね。

そんなこと言ったら頭おかしいとかいう次元の問題じゃないから言わないけどさ。

となりで、だね。と蓮が頷いてる。



「和泉はツンデレだから」

「あっれ、それ違う気がするなぁ」

「口調崩れてきた、嬉しい」

「だっ、黙りません……?」



この人おかしい。

彰ちゃんも同感のようで、引きつった苦笑いが視界の端で見えた。


つか、食べたならさっさっと戻ればいいのに。

まあここで蓮が戻ったら彰ちゃんと一緒に完全アウェイの中での昼食になるけども。



「和泉って食べてるところ可愛いよね」



そう、王子様スマイルで私を見つめる蓮。

どこかで黄色い悲鳴と数人が倒れる音がしたけど、無視だ。

私漫画で蓮の王子様スマイル見慣れてるけど、心臓に悪いからやめてほしい。


てか食べてるところ可愛いっていうか、蓮は和泉推しだったから何しても可愛いでしょ、間違ってるよ。


つーかそれ、腹黒王子様的に言うなら、“よく食べるな豚が”じゃん!?

そりゃ、作中の和泉よりは思いかもしれないけど、そこまででもないっていうか、さ。



「……ひどいです」

「え、何で?」

「蓮が豚って言った」

「被害妄想甚だしい上に口調が子ども」



くくくっと笑う蓮を睨んで、ステーキに集中する。

マナーとか厳しくされてきたから、意識しなくても令嬢の鑑くらいの立ち振舞いはできる。



「ほんと変わらないね、お前は」



そっと私の髪を撫で付ける蓮が、久世先輩と被る。

いや久世先輩なんだけど、どこか今世では違うところがあったから、何か。




何か、やっぱり、大切なことを忘れてるなって、思う。





そのあと何故か蓮は教室に戻らず私の食べている姿を眺めだしたから、私は気にしないようにもぐもぐとステーキを頬張りながら彰ちゃんと話して、その日の昼休みは終わった。





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