表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者魔王の日常冒険譚  作者: ゆーひら
【大魔王復活編】
PR
34/122

30. ほんのささいな

この章から本編開始みたいな、そんな感じ。

「大魔王……サルタン……!!」


 レイドの頬を一筋の汗がつたう。

 前方の敵から感じられる気は、ジワリと滲みよるような黒い威圧感。間違いなく、彼がこれまで対峙してきた敵の中で圧倒的な強さを持っているだろうと、その肌で感じていた。が……


「なんか……思ってたよりマヌケな名前だな。サルタン……」

 レイドはつい、心の中で密かに思っていた事を口にしてしまう。そしてそれは当然、大魔王の耳にも入る。


「なんだと、貴様……!! このワシの名を『マヌケ』と申すか……!?」

「え? あ、いや……!」

 レイドが思わず口に手を当てる。しかしもう遅い。口は災いのもとだ。

「ぬううううん……!! キサマァァァ……!!」

 大魔王は椅子から立ち上がり、顔に怒りを混ぜてワナワナと震えだす。

 その気に当てられてか、城全体が地震でも来たかのように揺れ始める。城の床や、あちこちに建てられた堅固な柱さえ、一部が破片となってピシピシとこぼれ落ちる。一部の悪魔たちは大騒ぎだ。

「マズイ……!! このままじゃ城が壊れちまう……!!」

 レイドも城の崩壊を懸念しだすが、その前に自分の身の危険を感じないあたりが彼の強さを裏付けしているかのように思える。


「ぬうううううん!!」

 だがしかし、残念ながらこうなってしまってはもうおしまいだろう。城も魔界も全てがメチャクチャになってしまう。

 レイドの一言は、大魔王の逆鱗に触れ_____

「ぬうううう…………んーーー!! そうじゃろう! 我ながらマヌケな名をしておる!!」


_____てはいなかったようだ……。


「…………は?」


 レイドも思わずマヌケ面をする。大魔王の返答は、それ程理解しがたいものであった。


「ふははは! まこと、サルのような名でのう! じゃが大魔王! ワシは大魔王じゃ!」

 そこにはすでに、レイドが感じた威圧感も怒気も消え去っていた。


 そこでレイドはふと思い出す。3年前、大魔王と初めて相見えたときも、こんな雰囲気だったと。


「そうだよ、勇者! 僕のパパは大魔王なんだよー!」

 大魔王の肩からひょっこりとベゼルが顔を出す。おもちゃの剣を背中に携え、大魔王の腕をすべり台のようにして降りてきた。

「ベゼル……。お前、いつの間に……」

「えへへ。パパと勇者ごっこをしてたんだよ」

 ベゼルは剣をブンブン振り回す。一番初めの大魔王の高笑いは、ベゼルと勇者ごっこをしていたときに出たのだろう。

「そうか、勇者ごっこ……」

 ベゼルの楽しそうな姿を見て、レイドは複雑な気持ちになる。

 大魔王はベゼルの父親。再び倒したところで、ベゼルが悲しむのではないか_____いや、そもそも、この平和な魔界において、その王を倒す必要があるのか……?


「…………」


 レイドの頭の中で、何かが張り巡らされる。

 自分が思う疑惑の、パズルのピースが揃う感覚_____。



「ほう、(ぬし)が勇者か? 久しぶりじゃな」



 しかしそれは、大魔王の一言によって中断される。


 レイドは我に返り、大魔王を見据えた。

「……ああ、そうだ。覚えていたんだな、魔王」

 少しでも余裕を見せるため、笑う。が、何故か大魔王はそれに対し、

「ぬうううううん!!」

 突然咆哮を始めた。

「な、なんだ!? どうしたいきなり!!」

 レイドは驚きながらも戦闘態勢をとる。だがしかし、大魔王の怒りはとてつもなくしょうもないことであった。


「ワシは魔王ではない! 『大』魔王じゃあーーーー!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ