29. 大魔王サルタン復活!
「ふははははははは!」
城中に高らかな笑い声が響き渡る。
それは力強くも荒々しくあるが、どこか愉快な笑い声。
「この声は……間違いありません! 先代魔王様のお声です!」
リリが耳を軽く塞ぎながら言う。レイドの部屋にある、固定されてない小物や本棚の本が、声の振動でカタカタ震えていた。
「バカな! 魔王はオレが確かに倒した筈だ!」
レイドも一筋の汗を流し取り乱す。3年前、聖剣『ゼットカリバー』の一振りで魔王を打ち倒したあの感覚を、レイドはハッキリと覚えていた。
「くそっ!」
考えるよりも先に、レイドの体は動いていた。
「あっ! レイドさん、どこへ!?」
「決まってんだろ! 魔王が何で復活したのか知らねぇが、もう一度ぶっ倒す!」
そう言い捨て、レイドは声のする方へ走り出した。
「魔王め……! 今更復活しやがって、一体何するつもりだ……!?」
様々な憶測が漂いながらも、レイドはある一つのことを懸念していた。
「あの時使った『ゼットカリバー』は……今手元にないが……なんでもいい。やるだけやってやる!」
驚異的なスピードで廊下を駆け、玉座の間へと続く階段を上っていく。
そしてついに、玉座の間へと辿り着いた_____!
「……この先に魔王が……!」
レイドに立ち塞がる、最後の扉。おそるおそる手を触れ、少しずつ力を入れていくと、キィィ……と音を立てながら開いていく。
最後は力を込め、一気に扉を眼前から退ける。扉が激しく壁に打ち付けられる音とともに、レイドの目の前には3年前のあの時と同じ光景が広がった。
「やはり……性懲りも無く生きてやがったか! 魔王!」
「ふははは! いかにも、ワシは魔王! 『大魔王』サルタンであるぞ!!」
レイドが怒りを露わにする。玉座には、全長3メートルはあろう大男……魔王が、威圧を放ちながらついていた。




