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その八

そして、事件から二週間が経過した。

秀雄たちの調査は行き詰っていた。

秀雄の同僚や知人に話を聞いても、秀雄が恨まれるようなことは一向に出てこなかった。

真面目で優しい人。

皆口をそろえて秀雄のことをそう言った。

やはりホテルの部屋へと一緒に行った、あの男性が犯人ではないのか。

そんなことを考えるようになった時である。


美紀がいつものようにパソコンに向かい、株価の変化に一喜一憂しているとき、テレビのニュースから驚くべき名前が流れてきた。


『先日、都内のホテルの一室で、会社員牧田篤志さん(四十)が殺害された事件で、警視庁は篤志さんの妻牧田美恵子(三十五)を殺人の容疑で逮捕しました』


美恵子さんが逮捕された?

美紀は耳を疑った。

そして、すぐに秀雄の所へ向かったのであった。


事務所に着くと、秀雄は書類に目を通しているところだった。


「おや、今日は早いねえ。どうかしたのかい?」


「塚本さん、ニュース見ていないんですか? あの事件で美奈子さんが捕まったんですよ」


「美奈子さんが捕まった?」


美紀はニュースの内容をかいつまんで秀雄に説明した。

秀雄は最初驚いた様子だったが、すぐに内容を理解したらしい。

うんうんと納得した様子になった。


その後の警視庁での取り調べと美紀たちの調査で、あの日の美奈子の行動が明らかになった。


あの日、美奈子も美紀に気付かれないように篤志を尾行していたのだった。

そして、男性が一人エレベーターから降りてきて、美紀がその男性を追いかけたのを確認すると、篤志の携帯に電話をかけた。

篤志は最初、ホテルにいることを否定したが、そのホテルに美奈子がいることを知ると、大人しく部屋番号を教えた。

そして、美奈子は篤志の部屋に行き、篤志に詰め寄ったのだ。


篤志が浮気をしていて、しかも相手が男性であることを知った美奈子は逆上し、持っていた果物ナイフで篤志を刺してしまったとのことだった。


秀雄が徐に言った。


「人間の嫉妬心というのは、本当に怖いねえ」


美紀も大きく頷いた。

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