表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

その五

美紀が事務所のドアを開けると、机に座っていた秀雄が声を掛けてきた。


「おお、美紀君、おかえり。首尾はどうだい?」


「ただ今戻りました。首尾は上々なんですが…」


「何か浮かない顔だねえ。上手くいっている時はもっとはきはきしているのに」


「それが、ちょっと…」


美紀は今見て来たことを秀雄に報告した。

秀雄も一瞬驚いた顔つきになったが、すぐにいつもの顔に戻った。


「浮気相手が男だったなんてねえ。奥さんも可哀相に」


「やはり奥さんには有りのままを報告するのでしょうか?」


「そうするしかないだろうねえ。嘘の報告をするわけにはいかないしね」


秀雄が煙草に火を点けながら言った。

すぐに狭い部屋中に煙草の煙が満たされる。

美紀はいつものように、換気扇を回した。


「一応、調査期間としては二週間もらっているから、もうしばらく様子を見よう。美紀君、明日も尾行を頼むよ」


「それはいいんですが…。はあ、気が重いなあ」


美紀が顔を覆いながら言った。

秀雄が美紀の傍に近づいた。


「まあ、人間いろんな人がいるからね。慣れることだよ」


「それはそうなんですが」


美紀は、依頼人の事を考えていた。

浮気をしているだけでもショックのはずなのに、しかも相手が男性だと知ったら…。

美紀は憂鬱な気分になってきた。


「今日はもう上がっていいよ。ご苦労さん。明日もよろしくね」


「はい、ではまた明日」


美紀は秀雄に会釈すると、重い足取りで事務所を後にした。

明日の尾行は気が重いなあ。

そんなことを考えながら、美紀は帰宅の途に就いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ