古巣
里帰りしません。
生命線へのひと太刀を
すんでのところで躱せたら
尻尾の一本でもくれてやろう
痛み分けと呼ぶには割りに合わないけれど
そっちも手ぶらじゃ帰れまいに
鬼の首 掲げた悪童の凱旋を
故郷は錦を広げて
待ち受けていることだろうがね
落胆の敷居を跨がされても捨てきれぬ古巣に
ひとは心の幾許かを残すもの
それが幸か不幸か 吉か凶かはまた別として
救命艇への追撃を
どうにか思いとどまれたら
感謝の一礼でも欲しいもんだ
病み上がりを攻めるは性に合わないけれど
こっちも手ぶらじゃ帰れないぜ
鬼の首 抱えた愚兄らの帰還さえ
故郷は諸手をさしのべ
喜びで迎えるものだしね
中腰で鴨居をくぐり抜ければ近づける古巣で
ひとは想いの幾許かに逢えるもの
それが情か非常か 愛か嫌悪もさぁ知らないが




