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魔王を倒したおっさん剣聖、故郷に戻ったらクソ嫁が寝取られていたので復讐します  作者: 遊野 優矢


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第11話:キルケの場合

「ラディウス! 貴様が黒幕だったのか!」


 2人の私兵をつれたガイが路地裏にやってきた。


「まさかリーズへの未練から攫おうとするなんてな!」


 ガイはにやけ顔で腕組みなんぞしている。


「ちがうぞ。リーズがこいつらに襲われてたから助けてやったんだ」

「はあ? そんな下手な言い訳が通ると思うかよ!」


 わかっちゃいたけど、そういう反応するよなあ。


「何をしてる! そいつを捕まえろ!」

「「はっ!」」


 ガイの指示で護衛の二人が襲いかかってきた。


 まともに相手をしても良いが面倒だ。

 オレはリーズを兵士の一人に放り投げる。


「うわっ!? お、重……」


 一人の兵士は剣を投げ捨て、リーズを抱きとめた。

 彼女の名誉のために一応言っておくが、決して太っているわけではない。

 良いものを食べているせいか、多少ふくよかではあるが。


 オレは路地の壁を数歩走りながら、高速で三度剣を振る。

 そのままガイ達を飛び越え、大通りの方へと進む。


「ま、待て!」


 追ってこようとした兵士の剣が根本からポッキリと折れた。


「バカ野郎! 武器の手入れはしておけと言っただろ! うちは良い武器をたくさん町におろしてるんだ! 買え!」

「え、ええ……? いや、こんな簡単に折れるはずは……」


 今度は兵士を罵倒したガイの服がパンツ一枚を残してバラバラになった。


「うわぁ! は!? な、なんだ!? 貴様何をした!」


 真空の刃で剣と服を斬ったのだが、そんなことを教えてやる義理はない。


「風邪ひくなよ」


 笑顔でそう言い残し、オレは路地裏を出た。




 リーズの誘拐騒動から無事に逃げ出したオレは、賑わう大通りをのんびりと歩いていた。

 認識阻害の魔法を使っているので、周囲の人間に気取られることはない。


 オレが戦うことでこの平和ができたというなら、それはとても嬉しいことだなんてしみじみしてしまう。


 さて、セレモニー会場に向かうか。

 衣装を用意してあるから早く来いと言われているのだ。



---- キルケ視点 ----


 セレモニー会場の控室はさながらパーティールームだった。

 これから謁見の間でラディウスが貴族になったり、あーしたちもご褒美をもらえたりするらしい。

 正直めんどくさいけど、ラディウスと一緒に褒めてもらえるのは悪くない。


 あーしはいつもの三角帽子を脱いで、紫色のドレスを着ている。

 着慣れてなくて恥ずかしいけど、正直ちょっとアガる。

 ラディウスは褒めてくれるかなー。


「魔王討伐お疲れ様でした。キルケ様のおかげでうちの領地も平和になりましたよ! がっはっは!」


 なんとかという貴族のおじさんが熱心に話しかけてくる。


 うざぁ……。

 どーせあーしに取り入って、美味しい思いをしようってだけでしょ。

 「魔王討伐をしたキルケ様と知り合いでしてな」とか言って!

 同じおじさんでも愛しのラディウスとは大違いだよね。


 一方、良くない感情を向けて来る人達もいる。口元は笑顔なんだけど、目が笑ってない。

 そういえば、魔王軍との戦争で儲けていた連中からラディウスは恨みをかっているってスティラが言ってた。

 あんまし興味ないけどね。


 ひまだなー。ラディウスまだかなー。


 ケーキをぱくついていると控室の入口が騒がしくなった。


「ステキ……控室でこれだけ豪華だなんて、夜のパーティーはどうなっちゃうのかしら!」

「おいおい、その前に王への謁見があることもわすれないでくれよ」


 あれってラディウスの元奥さんと新しい旦那じゃない?

 ほんとに招待されてたんだ。


「おお! あのリートネ村の取引を一手に引き受けていらっしゃるとは!」

「それは我々貴族の仲間入りをする日も近いかもしれませんな」


 なんだか貴族達にちやほやされている。

 ラディウスの故郷が発展できたのは、彼が旅の途中で助けた各国の王に支援をお願いしたからなのに。


「いやあ、そうなれるようがんばりますよ。あっはっは!」


 わかりやすく調子に乗ってるなあ。

 あのカップルを見てると、なんかイラっときちゃう。

 魔法の一発もぶっぱなしたくなるけど、ラディウスに迷惑がかかるからがまんがまんだよ。


「なにせあの剣聖とも知り合いですからね。ぜひみなさんとWin-Winになる関係を築いていきたいものですよ。あっはっは」


 ラディウスとの関係を商売に使う気?

 それにしては、ラディウスのことをバカにしてたみたいだけど、どういうことだろ?


「あらあら。そのお話、詳しく聞かせていただきたいわ」


 そこに現れたのは、胸元の大きくあいた白いドレスに身を包んだスティラだった。

 自慢のおっぱいを限界までひけらかす下品なドレスだ。

 大聖女が聞いてあきれるよね。

 あーしだってもう少し大人になったら、あれくらいになるんだから!



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