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転生戦記  作者: 昆布
2/5

第2話 生き返った

慣れていないので大目に見てやってください。



 どうもこんにちは、畑中です。

 どうやら取引先が見つかったみたい!少し乱暴な方だけど、今後重要になるビジネスパートナーなんだ。

 だからといって弱音を吐いてはならない、反抗してはならない。それが社会というものだ。

 しかし、俺はやってしまいました。…………そう

「取引先を真っ二つにしてしまいました」

 ______________________

 今まで、雲がありすぎてそれがデフォルトの空だと思っていた。

 しかしそれは、違うようだ。

 この世界にも太陽というものは存在していた。

 雲一つないのでよく見える。


「綺麗な空だ…………」


 太陽が俺の体を温めた。

 この地面はなんて暖かいんだ…………。

 俺は手を大の字にして、倒れていた。

 日向ぼっこっていうのはこんなにも素晴らしいものだったのか。

 太陽なんて働いていた頃はブラインド越しでしか見たことなかったが、こんなにも疲れを癒すものだったとは。


「あったけぇ…………!」


 俺は太陽の温もりを体全身で感じていた。

 そしてそれに合わせるように優しく包み込む雪。

 今まで雪は体力を奪う天敵であったが、今は違う。

 フッカフカのベットだ。ショッピングモールとかでお試しで寝れる上級貴族用のベット感覚だ。

 体も太陽に照らされて低体温症の範囲外の温かさだ。

 え、なに?服の中に雪が入るって?

 そんなこと関係ない。それすらも愛おしいのが雪なんだ。わかるか?

 背中に冷たい雪があっても、この太陽の前ならやがて蒸発するんだ。気持ち悪いっていう感触は一切ない。


「やっと休憩できる。なんて平和なんだ」

 俺を救う太陽!

 俺を支える雪!

 あふれように出る俺の血液!

 そして、焦げて真っ二つになったゴリラ!

 ッて全然平和じゃねぇ!!!!

 俺死んじまうよ!


「なんだよこれ!」


 俺は腹を手で押さえつけ、痛み耐えながらも立ち上がった。そして反対向きのバナナのように割れているゴリラに近づいた。

 俺の魔法によって、頭からへその部分までの体は完全にお別れしてしまったようだ。

 生きてるだろうか?

 俺はそいつの体をじっくり見た。

 まあ…………さすがに死んでますよね?

 異世界に来て初めて魔物を倒したんだ。ちゃんと確認しないと不安だ。

 実は生きてました!って感じで不意をつかれたら大変だからな。

 だけど今回はそんな展開はないだろう。

 断面には臓器がスパッ!っと切れているし、大量の汚ねぇ血が周りに飛び散っている。

 これで生きているのなら俺はゴリラ不信になる。

 ッてそんことは重要じゃない!もっと意識しないといけない大事な事があるだろ!


「…………そうだ魔法が使えたんだ!」


 俺はそう思い出して、自分の右腕を見た。

 そうだった!

 魔法が使えたんだぞ!魔法が!

 こんなこと、全ての人間が望んでいることだろう。

 昨日までマウスを使っていたあの右手から、魔法だせるようになったんだ!

 俺今、めっちゃ異世界ファンタジーを感じているよ。

 正直この年になっても、魔法に対する中二病心は忘れられない。

 いつも頭の中では、空を飛んで闇魔法をバッ!ってね、放っているよ、上司に。

 まあ、俺の使った魔法はダークな感じではなく神秘的?な方だ。

 これは完全なる俺のイメージによるものだよね。

 この真っ白の銀世界はやっぱり、雪や氷が似合う。

 そこに氷だけじゃ物足りないから雷を追加して、できたのが氷雷だ。

 なろう系の本を読んだ買いがあったよ。まじで。

 そういう系の本を読んでいたからイメージできた。

 さらに体で魔力?的な力も感じた。

 多分これが魔法の動力なんだろう。

 さっき魔法を使っていて気付いた。

 異世界らしくなってきたじゃないか!

 この調子で他の魔法も…………、


「ブフォッ!…………ック」


 まずい!

 ついに俺の体が限界を迎えたようだ。

 さっきまでは考え事で痛みを忘れさせるように頑張ったが、もうそうゆう次元の痛みではなくなっている。

 そりゃそうだ。さっきから血がずっと出ていたんだ。たとえ俺の体が異世界Verの体だとしてもこの苦痛には耐えられない。

 どうやらここまでのようだ。

 終わったな。

 俺は死を覚悟した。

 い…意識がなくなっていく…………。

 ______________________

「お~い、死んでますか?生きてますか?」


 俺は死んだのだろうか?

 目の前が真っ黒だ。

 おじいちゃんに殺された時は、こんな感じではなかった。


「大丈夫そ?」


 一日に二回も死ぬなんてついていないな。

 ギネス世界記録認定されるだろう。


「お~い!聞こえますか?」


 でも最後に魔法を使えてよかったよ。

 悔いはないと言えば嘘になるけど、異世界に転生したんだ。

 誰よりも異例な人生だ。


「ちょっとぉ。返事してください」


 正直あのまま働いていても意味んかったもんな。

 そうゆう意味では、あのおじさんに感謝しているよ。


「ここ寒みいんだから置いてくよ?」


 というか?ここは天国なのか?

 視覚情報がないから一切わからない。


「返事できないなら、返事できませんってちゃんと言ってください」


 だけど、さっきから幻聴が聞こえる。

 これは神様の声なのか?にしてはちょっとしゃべり方がウザイ。


「お~い、ほ…………」

「うるせーーーーー!」

「あ、起きた」

「俺が今綺麗に死のうとしてんだ…………え?」

「ん?どうしたんだ?」

「俺生きてる…………?」

「生きてるよ?」


 目を開くとまたもや真っ白の世界だった。

 どうなってるだ?死んだんじゃなかったのか?

 俺はさっき腹を突き刺された痛みに限界がきたんじゃなかのか?

 俺は腹を触った。


「………穴がなくなってる⁉」

「それ私が直したから。感謝してね」

「さっきから女性の声の幻聴が聴こえる!」

「おい失礼だな。生きてるよおい隣をみろよ!」

「隣?」


 俺はその幻聴の通り、首を横に振った。


「え?」


 首振った先には黄色の長髪の女性がいた。


「私の名前はレーラだ。お前は救ったものだ。心に刻んでおくように!」


 その人は灰色のローブを着ており裾がほつれ、ところどころ焦げていたものだった。

 しかし彼女自身は気にしていなかった。


「失礼なこと言ってすいません。あなた助けてくれたんですか?」

「あぁそうだ!この恩は絶対に返すように」


 ほんとうにこの人に救われたのか?

 俺は他に人がいないか探すために立って全方向を確認した。

 いない!この人しかいない!


「えっと…………、助けてくれてありがとうございます」


 とりあえず感謝の言葉は伝えた。

 というか命救ってもらったんだ。

 感謝はしているに決まってる。


「お礼が言えるガキなのか⁉お前は⁉」


 するとその女性は、驚いた表情をした。

 そんなに俺はガキにみえるだろうか?

 俺の感覚的に、転生されたこの体は、高校生くらいだと思うのだが。

 高校生くらいになればお礼なんて言えるだろう。それともこの世界の子供たちはお礼が出来ない文化があるのか?


「…………はい。レーラさんはどうしてこんなところにいるんですか?」

「敬語も…………使える…だと⁉どうなってるんだ。お前!ガキじゃないだろ!」


 どうしてわかるんだよ!

 なんていう推理なんだ!敬語なんて誰だって使えるだろ。

 もしかしてこの異世界めっちゃレベルが低いのか?

 敬語が使えないほどに。


「おねぇさん、君には感動したよ。名前はなんていうんだい?」

「畑中って言います」


 なんというか凄い大雑把な人だな。

 てゆうか俺の質問無視されてる…………。


「ハタナカ?変わった名前だな。嫌いだ!」


 はいはい結構ですよ。

 まあこの世界では変ですよね。漢字なんて。


「そうだな。私があんたの名前を考えあげよう!」


 それはなんでだよ!

 それは違うだろ。


「それはちょ…………」

「じゃあお前は今日からアルトと名乗るんだ!わかったか?」


 えぇ…………。

 俺の21年間を否定された気分だ。

 仕方ない、レーラさんには命を救ってもらったんだ。

 名前が改名されようとかまわない。


「…………はいわかりました。それでレーラさんはどうしてこんなところにいるんですか?」

「私はここら辺に住んでいるんだ。そしたら大きな雷が降ったからね。急いで外に出ると死にかけ君を見つけたんだ」


 この人こんなところに住んでんのか⁉

 シベリア送りにでもあったのだろうか?

 こんなとこに住むなど罰ゲームでしかない。


「お前こそこんなところにいるんだ?こんなところガキひとりで行ける場所ではない」


 おっと、この質問には困った。

 ちゃんと話すべきか、てきとーに誤魔化すべきか。

 でも誤魔化しても意味がない気がする。

 しかもバレた時怖いからな。

 俺は正直に前いた世界のことからすべて話した。


「…………ふむふむ。何を言うとるん?」


 やっぱそうなりますよね。

 転生は異例なのだ。

 初対面の人に話して伝わるものじゃない。


「まあいいわ。つまりこの世界のことを何も知らないんだな。お前もこのままじゃ何もできないだろ。私の家について来て」


「はいありがとうございます!」


 意外とこの人がやさしいのか?

 やってることはおかしいが、やってること優しい。

 ん?

 まあいいか。

 俺はそうしてレーラさんについていくことにした。


 _____________________

 レーラさんは、家に着くまでに三つこの世界についてを聞いた。

 まず一つ、冒険者についてだ。

 冒険者とは魔物を討伐したり、ダンジョン制覇したりする者達だそうだ。

 昔はレーラさんも冒険者だったそうだ。

 そして冒険者にはランクがつけられている。

 下から、E、D、C、B、A、S、特級。

 これは、魔物やダンジョンにも同様につけられているらしい。

 ちなみにレーラさんが言うには特級以外は全て雑魚らしい。

 レーラさんは特級の冒険者なのだろうか?

 なんて傲慢な発言なんだ。

 次に2つ目、魔法についてだ。

 レーラさんの主観では、剣ではなく魔法の時代なのだそうだ。

 魔法は大きく分けて二つに分けられているらしい。

 それは、自由形と稽古型だ。

 自由形は自分で新たな魔法を考え、自分で進化するらしい。

 そして稽古型はもともとある魔法を覚え、進化するそうだ。

 そして最後に3つ目、この世界は…………


「弱肉強食だ。気を引き締めていけ」


 だそうだ。

 この3つを覚えればほぼ情報は網羅しているそうだ。

 まあ正直この世界の1割もわかっていないだろう。

 俺は戦闘狂になるつもりはないし。

 だから、商業とか町のこととかも教えてくれ!


「着いたよ!ここが私のマイホーム」


 そんなこんなで、レーラさんの家にたどり着くことができた。

 1キロくらい歩いたのか。

 でも疲れは感じていない。

 レーラさんが治療してくれたおかげで、体力が満タンになっていたからだろう。

 だがしかしレーラさんの家は、家と呼べるものではなかった。


「…………これはかまくら?」

「ん?元居た国ではそういうのか?」

「はい。でも元居た国ではこれは家とは言わないです…………」


 この人はどうやってこんな場所で住んでいるんだ!

 死ぬだろ普通!

 俺だって1日くらいなら耐えれるだろうが、ここに住み続けるとなると話は別だ。


「いやぁ~。でも中は充実してるよ?」


 内側がよくても外側がダメでしょ。

 レーラさんはダメなんか?っていう顔してるけど当たり前だと私は思いますけどね。

 それでも入って入って!とアピールしてくるので、俺は仕方なく入った。


「わかりました。でも俺は明日になったら死んでますよ?」

「わかったよ、じゃあ結界張るから。…はい、張ったよ」


 おお!結界とかもあんのか!

 確かにかまくらの中はあったかい気がする!


「こんなの私にかかれば余裕だよ!」

「流石です!」


 これは本当にすごいので、はやし立てておく。

 魔法の使い道はほんとに広いな。


「…そういえばどうしてこんなところに住んでるんですか?」


 さっき聞いた時は理由まで教えてくれなかった。

 レーラさんはもともと、冒険者をやっていたんだ。

 口調ぶりからは、自分が特級らしい感じだった。

 なら結界を出す魔法も使えて納得だ。

 でも、それならこんな暮らしは趣味じゃない限りしないだろう。


「…………実は、私ね国追放されたんだよね」

「え?」





































読んでいただきたいありがとうございます。



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