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答え合わせと勝負

まさか本当にこんな状態とはね…

巨大な島…カストフの中を歩きながら私は思う。

街で手に入れた情報では、

“希少な生物が多く存在している”

“国王軍の訓練で利用される”

“稀に狩りに使われる”

くらいのものだった。

それだけ貴重な場所なのだから、当然立ち入りも制限されていると思っていた。

実際、制限されていると言えば言えるのだが…

これは制限と言えるのだろうか?

制限以前に、そもそもこの島に行く手立てがないというのだ。

2週間聞き込みをして、ずっと行き方がわからないと言われ続けた理由はそれだった。

もしかしたら完全に放置されているのでは?

という予想を立てて覚悟を決めたら、結局空を飛んでここにくるのが最短ルートだったし…

無駄な時間を過ごしたなんて思いもあったりするけれど、時間は有り余っているのだ。

急ぐなら、あの時にシロくんに行き方を聞いておけばよかっただけだし、いい暇つぶしになったと考えたらそれで終わりなのだ。

それはさておき、先ほどからずっと歩いているけども、一向に彼が言っていた施設とやらが見つからない。

確かに、王都がある陸から1番近いところを歩いて来ているのだからそんな近くにはないだろうとも思うんだけど…

彼が嘘をつくメリットなんてないし、実際にその施設があると考えていいだろう。

それにしても遠いなぁ…

そう思った時、あの力を感じる。

なるほど…彼のいう探知能力っていうのは本当にすごいみたいね…

そして、私はその人が来るのを待ちながらも森の中へと進んでいくのであった。







約30分前━━━━━━

俺はアルテの王都の上空から街を見下ろしていた。

そこで、彼女…桜庭霞の力を感じ取った。

この街の光と言うのはなかなかに明るいものだなんて思いながら、俺はその感じ取った力のもとに向けて再び飛び始めた。

この方角的に彼女がいるのはカストフだろう。

もうすでに例の施設を見つけていてもおかしくないだろうとは思っていた。

しかし結構時間がかかっていると言う事は、何か他にもやりたいことか、やらなければならないことがあったのだろう。

そんなことを思いながら空を飛び続け、数十分が経過した今、俺は彼女のすぐ近くまで来ていた。

彼女は今も移動しているが、ゆっくりしか進んでいない。

十分間に合うだろう。

そして俺は彼女の姿を視界に捉える。

生い茂った木々の間にまっすぐと島の奥に向けて歩いていく1人の少女の姿がある。

正直、まだ完全には俺の考えがまとまったわけではないが、何度もあちこち行くよりも、一回で同時並行の方が都合がいい。

どちらかと言うと、今回用事があるのはルービヒの方だったりもするからな…

そんなことを思いつつ、俺は彼女のすぐ後ろに降り立って声をかける。

「探し物はまだまだ先だぞ?」

「あら、久しぶりに会ったのに挨拶の言葉はないのかしら?」

前を歩く彼女は振り返って言う。

「久しぶりって言っても、たかだか1か月程度だろ?

久しぶりでもなんでもねぇよ。」

「確かに、そこまで久しぶりというわけじゃか…

それで?私のところに来たということは、前の話の答えが見つかったのかしら?」

満足げな笑みを浮かべながら、彼女は俺に問いかける。

「答えが見つかったというよりは、答えにつながるピースを掴んだ感じだな。」

「なるほどねぇ。

それじゃあ早速、そのピースとやらを聞いてもいいかしら?」

いつもと同じ笑顔で、彼女は俺の目を見る。

「あぁ、そうだな。」

そして、俺は話し始める。

「まず、あんたが言っていた見逃しているものってのは、この学校が存在する理由ってことでいいんだよな?」

そう言った瞬間、彼女は皿のような目をして無慈悲にその言葉を放つ。

「いえ、違うけど?」

「……………は?」

俺の口からその言葉が漏れたのを聞き逃さず、彼女は吹き出して笑い転ける。

イラッ。

ただその感情だけが頭の中を駆け回りながら、愛も変わらず大爆笑しているそいつに殴りかかる。

するっとその攻撃を回避し、はぁはぁ言いながら彼女は呼吸を落ち着かせている。

「何がそんな面白いんだ!」

なぜか感じる恥ずかしさとイライラが混ざり合い、俺は怒鳴る。

「いや、だって、なんか、ぶふっ。」

目の前にいる女は、また声をあげて笑い始める。

くっそイライラする…

震える体を落ち着かせ、切れそうになっている堪忍袋の緒をなんとか繋げとめ、数十秒が経過してようやく彼女は笑いを止める。

「あぁ面白かった。

あんな真剣な顔で、しかも自信満々に違うこと言われたら流石に笑っちゃうわよ。」

一切の悪気がなさそうに言う彼女に握りしめた拳を見せながら

「次笑ったら本気で戦争と洒落込むぞ。」と脅しをかける。

「はいはい、ごめんごめん。」

ケロリとした顔で彼女は返してくる。

「まぁ、あなたが言っていることも間違ってはいないわ。

あの学校の存在理由も、私が言いたかったことの中に入っていたりするし、真の答えに行き着く手前?って感じかしらね。」

だったらそこまで笑う意味なかったじゃねぇか…

内心でそんなことを考えながら、俺は再び彼女が言っていたことが何か考え始める。

真の答えに行き着く手前、か…

前の話だとこの後、この世界で問題になるみたいなこと言ってたよな…

うーむ。

重箱の隅をつつくように記憶を探ってみるが、やはりそれらしい答えは出てこない。

「ねぇちょっと。

答えをあなたが考えつくまで私はここに居ないといけないの?」と、彼女は俺の顔を覗き込みながら言う。

確かに、ここで時間を使いすぎていたら夜中までに合宿所までに帰れない可能性があるからな。

「はぁ、それはまたの機会にするか。」

ここで悩んでいたところでどれだけ時間がかかるかわからない。

答えを教えてくれればいいだけなのにな…

ただ、答えを自分から聞きに行くのは負けた感じがして嫌なのだ。

そんなことを思いつつも、俺は暇になって土をいじっている彼女に声をかける。

「で、俺は前に言っていた施設に行くが、あんたはどうする?」

「あら、だったら私もついていこうかしらね。」

なんて笑顔で答える彼女を見て、勝手に負けた気がするとか思ってんのは俺だけか…と改めて思うのであった。

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