表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/64

混乱と計略

次の日、全校生徒が被害の少なかった大講堂に集められた。

そしてその前に立ってアリアはマイクを持って言う。

「昨日起きた不可解な爆発を受け、皆さんには我が校が管理する無人島へ行っていただきます。」

周りの生徒たちがざわつき始める。

学校に来れなくなるというのは薄々考えていたが…

そんなことを思っていると俺の横にいたアベルが、

「なんでそうなるんすか!」

と大声を張り上げる。

他の生徒も同調するように声を上げる。

それを見ながらも、慣れたように彼女は言う。

「昨日の爆発が学校への攻撃という可能性があるからです。

そして…それを行ったのがクラシス・リビルズであるかもしれないのです。」

再度、周りがざわつく。

あの組織がやった…

まぁ流石にそうなるだろうな。

「ですので、皆さんの安全を確保するためにここを離れてもらうということです。」

ざわついていた周囲は、それなら仕方ないという雰囲気に変わっていた。

「明日の朝9時に各自、荷物を持ってここに集合してください。」

俺たちは急いで寮に戻って荷物を整理しなくてはいけなくなった。



「とんでもないことになったな。」

アベルとリョウ、カルリアと歩きながらこれからのことを話していた。

「無人島ってどんなところなんでしょうか…」

カルリアが心配そうな顔で聞いてくる。

「学校が管理しているって言ってたから完全な無人島ではなさそうだけどね。」

顎に手を当てながらリョウが話す。

「まぁそうだろうな。

ただわざわざ島一つ持ってるってことは能力の訓練用に使うつもりだったってとこか?」

俺が島の使用用途を考えていると、

「面白そうでいいじゃねえか!

サバイバル生活!」

相変わらずハイテンションなやつだな…

背伸びをしているアベルを見る。

とはいえ、この世界で生きていくためにはこんな生活も必要だろう。

それこそ、戦争が始まってしまえば好きなものを好きな時に食べることすらできないんだからな。

それに、対戦形式での訓練があるのなら、前にカルリアに言った環境を生かした戦いというものの勉強にもなる。

そんなことを考えながら荷造りをし、眠っていたらすぐに次の日は訪れた。




講堂に集まり、そのまま港へと向かって行っていくつかの組に分かて船に乗る。

今回の移動は1学年だけでなく2学年も含まれているのだ。

必然的に人数は多くなる。

丸々2時間ほど揺られ、着いた無人島は想像より遥かに大きな島だった。

これを管理してるってやっぱりすげぇ学校だな…

改めて凄さを実感する。

船から降り、俺たち30人ほどは一ヶ所に固められる。

その前に立ち、1人の教師が言う。

「君たちにはこれから野宿して生きてもらう!」

周りを見ると多くのやつが不安そうな顔をし始める。

確かに急にそんなことを言われては驚くだろう。

だがまぁ、団体行動をしていいいのであればなんとでもなる。

「この島には一つだけ館がある。

数名の教師は常にそこにいる。

死にそうになった時、死人が出た時はそこへ来い。

次は一週間後の朝にここに集まるように。

それでは、諸君の健闘を祈っている。散会!」

こうして島での野宿生活が始まった。




「こういう場所で有利なのはやっぱり川の近くかな。」

冷静にリョウが言う。

「川なら魚が取れるからな!」

胸を張って言うアベルに、

「水が取れる方が大事ですよ!」

とカルリアが言い返す。

なんだかんだで特に変わったこともなく、いつもと同じ感じだ。

「じゃあ俺とアベルで寝床を作るか。

その間にリョウとカルリアで水を中心に食料を採ってくれ。

何やら魚をくいたそうな奴もいるからな。」

俺の言葉に対しアベルはフフンとドヤ顔をする。

……まぁいいか。

「じゃあ早速始めようか。」

リョウに言われ、それぞれの仕事をするために動き始めた。

手始めに手頃な木を刀で切り、それを蹴り上げて空中で板の形に薄く切っていく。

アベルに木を投げ飛ばしてもらい、切る。

それを繰り返しているうちに次々と木の板が作られていく。

「よし。こんなもんか。」

200枚ほどの木の板を作り上げる。

「お前、浮いてなかったか?」

不思議そうにアベルが聞いてくる。

おっと。

これはミスったな。

「切った木を足場にして、上に飛んでを繰り返してれば空中に止まり続けることができるってことだ。」

苦しい言い訳だが…?

「そう言うことか!

なかなかいいこと考えるじゃねぇか!」

単純なやつで助かったぜ…

そんなことを思いながら俺とアベルは出来上がった木の板を運んでいく。

それをその辺りに落ちていた蔦で固定し、4つの木屋を作り上げる。

大きさ的には人が寝転がるには十分すぎるほどだ。

1時間くらいでできたか…

幸いにも今は暖かいからな。

寒さに関してはそこまで考える必要はない。

それから一週間サバイバル生活が始まったわけだが…

釣竿を作り魚を釣り、海へ行き魚を捕り、森の中で木の実や果物を拾い、拠点から近い場所だけで完結させることができた。

力仕事は俺とアベル、細かい作業や食べれるものかの目利きをリョウとカルリア。

うまいこと分担することができたのが良かったな。

夜は火を起こし、雑談をしながら過ごすというなかなか悠々自適な生活を送っていたら、いつの間にか一週間は過ぎ去っていた。

この一週間は特に大変なこともなかった…が、問題はその次だった。




俺たちは朝早くから最初に言われた場所へと戻ってきていた。

前と同じ教師が来て言った。

「今日一日、この島全体を使って戦ってもらおうと思う。」

周囲の生徒の顔がすぐに緊迫感を持つ。

「この島全体ということは2学年の方もいそうですね…」

横に立つカルリアがヒソヒソと話し始める。

「ていうかこの学校って3学年まであるんだろ?

全く見たことないぞ?」

「この学校は3学年になったら他の国へいく人がほとんどなんです。」

「なるほどな…」

他の国へ行ってまで何をするのかはわからないが…

確かに面白そうなものである。

そんな話をしていたら教師が話し終わる。

「それでは5分後になったら花火を打ち上げる。

それを開始の合図とし、準備を整えるように!」

俺たちはそれぞれ別れ、森の方へと向かって駆けていく。

今回やることは相手を倒し、バッジを獲る。

たったそれだけの単純なルールだ。

しかし、DからSまであらゆる生徒がこの島にいるということは弱肉強食の状態になる…

もう一つの重要な要素は、整備されていない環境の中で、どれだけ自分のパフォーマンスをいつも通りできるかだ。

そして…2学年がここにいるということは、だ。

この島に来て以来、ずっと感じていた圧倒的な力。

その力を放っているやつと戦うこともできるというわけだ。

面白くなってきたな…

走る速度を早め、俺はその気配の方へ向けて駆けていく。

しばらく走り、1人の人影を見つける。

黒く長い髪の毛を後ろで結んでいる。

なんとも厳かな雰囲気を纏った少女だ。

いや、少女と言うよりは少し大人びているか…

そして、彼女は俺の方を見て口を開く。

「来ると思っていたよ。

ゼロクラス、シロくん。」

「あんたが、桜庭霞か?」

俺の問いに対し彼女は頷く。

「その通り。

私が2学年唯一のSクラス、桜庭霞。

別にSクラスなんて称号にそこまで嬉しさは感じてないんだけどね。」

そんなことを言いながら微笑みを浮かべる彼女に俺は言う。

「早速だが、戦いを挑んでもいいか?」

俺の問いに対し彼女はそのままの顔で答える。

「もちろん。

Sクラスを超えたあなたの力、見せてもらうわ。」

俺は刀を構え、彼女も刀を鞘から抜く。

やはり、彼女の武器も刀か。

そうして、最強との戦いが始まるのであった━━━━

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ