表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落女神はモブにも縋る  作者: シロライオン
6/22

この木なんの木

最後まで読んで頂きありがとうございます。


可能であれば下にある☆☆☆☆☆から作品の評価を頂けると幸いです。


ブックマークもして頂けると本当に嬉しいです。


何卒宜しくお願い致します。

ボス部屋の扉に入ると中は大きな空洞だった。

その中央に6mぐらいの大きな木が生えている。

その木は目が2つあり口もある。不気味なその顔は笑っているようで恐ろしい。


「トレントなのか?」


俺が魔物図鑑で見たトレントはもっと小さいはずだ。

大きくても3mで口はなかった。倍はあるぞこれ。


「頑張ってくださーい」


ソフィア先生は呑気に手を振っている。

いや。これマジでやばくないないか?いざとなったら助けれるの先生?


俺がそんな事を考えているとバチッ!と音が聞こえた。

クトラは音と同時にトレントに切りかかる。しかし今まで見たクトラの速さじゃない。

俺が目で追える程のスピードに落ちている。やはり本調子ではないようだ。

それでも速いクトラはトレントの枝を何本も切り落としていた。


俺も負けじとトレントに切りかかる。


ズサッ!ズサッ!


枝が鞭のようにしなって攻撃してくる。

何度も当たりかけたが落ち着いて対処すれば問題なさそうだ。

しかし防戦一方で、枝の数が多く本体に近づけない。



戦闘が始まって1分ぐらい経ってだろうか。何か違和感を感じた。


ズサッ!ズサッ!


何度も切り落としているのに一向に枝の数が減らないのだ。

まさか切った部分が生えてるのか?

俺がそんな事を考えているうちにクトラはトレントの正面まで迫っていた。


バチッ!といつもの音が鳴るとクトラの身体は引っ張られるように浮いた。

それはまるでクトラの身体が磁石に吸い寄せられるような。そんな感じだ。

クトラは体制を変えてトレントに切りかかった。


シュッ!


トレントの顔に傷がついた。

しかし浅い。


「ん!」


落下するクトラ目掛けてトレントは大きな口でブレスを吐き出した。

クトラの小さな体は瞬く間に吹き飛んだ。


「危ない!」


俺は全力でクトラを受け止めに走った。

バチッ!と音が聞こえるとクトラが吹き飛ばされる速度が減速。

何とか受け止める事に成功したが、勢いは止まらず俺の背中はドンッ!と鈍い音と共に壁に激突した。


「ハァハァ。大丈夫か?」


クトラを見るとぐったりしていた。

頬の擦り傷からは血が出ている。

俺はアドレナリンが出ているからなのか痛みはあまりない。


「棄権しますかー?」


遠くでソフィア先生の声が聞こえる。正直このままでは勝ち目はない。

俺が棄権します!と声を出そうと思った刹那クトラが目を覚ました。


「ん。三男」


「気づいたか?もう無理だ。棄権しよう」


「ダメ。まだやれる」


そう言ったクトラの目はいつもの気だるそうな目ではなく覚悟を持った目だった。

あんなに嫌そうだったのが嘘みたいだ。さすがにクトラもここまで来たら諦めたくないのだろう。


「・・・クトラ。プリンがあったらスゲー1発かませるか?」


「ん。時間かかるけど全力出せる」


俺はクトラに作ったプリンが余ったので自分用に少し隠し持っていたのだ。


「俺に考えがある」


俺はクトラにプリンを食べさせながら作戦を伝えると、着ていた楔帷子を脱ぎ捨てた。


ヒュ!ヒュ!とトレントの枝がしなる。


「こっちだ!デカブツ!!」


先ほどの戦闘で攻撃パターンを呼んだ俺は猛攻をかいくぐりながら本体まで走った。

何発か喰らったが我慢だ。


顔付近に辿り着くと魔力を込めた神器の剣をトレントの目に目掛けてブン投げた。


「光れぇ!」


眩い光を放ちながら剣はトレント目に向かって一直線。

トレントは目を枝で覆い被せた。やはり視力はあるようだ。


ズサッ!


剣はトレントに突き刺さったが浅い。

しかし本命はこれじゃない。


「クトラ!今だ!」


バチバチッ!


「たぁー!」


トレントの側面に隠れて力を溜めていたクトラは、身体を浮かせながら全体重を乗せた一点集中突き。

バリバリ!

轟音と共に紫色の光を放ちながらトレントの側面を突き抜けて大穴を開けた。


「グウゥ!!」


奇妙な断末魔を上げながらトレントは灰になっていった。



「ハァハァ。クトラ!大丈夫か!?」


クトラがいない?


「エラン君!上です!」


ハッと上を見上げるとクトラは絶賛落下中。


「マジかよ!」


俺は急いでクトラをスライディングキャッチ。

ドンッ!っとそのまま、また壁にぶつかった。


「ナイスキャッチです」


グッとソフィア先生が親指を立てた。


「ん。ありがと」


白髪の美少女の笑顔を初めて見た瞬間に俺は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ