邂逅
その日は久しぶりの休みだった。
頭は相変わらず回らないが、久々の休みだ。外をうろつくのもいいだろう。
そう思って外出の準備をしていたら、またメールが届いた。
送信元は・・・昔の友人もとい悪友だった。
『IoH技術の販売を請け負っていると聞いた。ぜひ話が聞きたい』
相変わらず人の都合も考えずに思いつきで動くやつだ。
まあいい、どうせ暇なのだ。会って見るとしよう。
「よう」
待ち合わせの場所につくと相変わらず不摂生そうな顔が見えた。
家電に一から十まで世話を焼かれる人間で溢れかえっているというのになぜこんな不摂生そうな顔ができるんだろう・・・疑問だ。
「久しぶりだな、最近は何しているんだ」
「ちょっと前まではIoTのハッキングして脆弱性検査してたな、割といい値段で企業に売れたよ」
相変わらずだ。犯罪とスレスレのところで生活しているだけはある。
「そんなことして大丈夫なのか?」
「もちろん大丈夫さ、企業にとって嫌なのはバレていない脆弱性が世の中に広がることだからな、事前に見つけてあげる俺は優しさの塊だよ」
そんなくだらない話題を話しながら近くの喫茶店に座る。
注文を聞かれたのでとりあえずアイスコーヒーを注文。奴はなんだか呪文のような名前の飲み物を注文している。変なところでこだわるやつだ。
悪友は飲み物を待っている間に「でだ」と話を始めた。
「IoHの最新製品の開発販売をしている会社に努めている君にとってもいい話がある」
「はいはい何かな天才ハッカーさん」
「茶化すなよ、絶対にいい話だ。製品を横流しして、俺にハッキングさせてほしい」
ため息を付いて首をふる。
「なんでだよ絶対いい話だぜ、脆弱性はわかる、問題点もわかる、更に俺たちは先駆者として金も入る」
「お前が言うからにはそんな都合のいい話だけのはずがないだろ、どうせまた犯罪スレスレを行くんだろうが?」
「だからいいんじゃないか」
奴は届いた飲み物を飲みながら言った。
「最新技術なんてそうそうお目にかかれるもんじゃない、しかし世の中には危険がいっぱいだ、正規の手段でセキュリティホールを塞ごうとしてもいずれ限界が来る。そんなときこそ俺の出番ってわけよ」
「そんなにやりたいなら会社に直接話しを通せばいいだろう?」
「それは・・・まぁ色々と面倒でな・・・」
どうせ言っていない後ろめたいことでもあるんだろう。
「何にせよ下手な事すれば俺も首だ、あまり危ないことは・・・」
「じゃあさ、俺とお前でIoHを取り付けて調査するってのはどうだ?これならまだ犯罪には触れないだろ」
それは・・・
「まぁ確かに犯罪には触れないかもしれないが・・・」
「お前だってこの成果を持っていけば報酬がもらえるぞ!当然いつもの給料なんて目じゃないぐらいのが!」
ああ、面倒くさい。なんて思っていたのも最初のうちだけで、悪友のペースに乗せられていつの間にか了承してしまっていた。
なんてやつだ。
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