妄想
次の日起きると朝食の準備状況などの音声が流れる。
聞き流しながら起き上がっていると一見のメールとのこと。
なんだろうと思い表示することを指示すると画面に写ったのはこんな文面だった。
『あなたはIoH技術の先駆者になりたくはありませんか?
私達■■■■社はあなたに新しい体験を提供できることをお約束します。
言葉によるコミュニケーションの不一致を解消し、さらなる利便性をその手に』
そんな文言とともに申し込みのボタンが表示されている。
うちの会社でも取り扱っているIoHインタフェースの宣伝だ。
こんなものを取り付けたとしてえられるメリットはどの程度なのだろう。
自社で販売している機器だから表立って批判はしていないが、まぁ人の表層心理を使ったコミュニケーションなんて大したものではない。
言葉を利用しないなんて妄言も説明に偽りありだ。
人の表層に現れるのは結局言葉であって言葉とそうかわりはない。
セーフティがかかっているのだから当たり前なのだろうが言葉になる前の内容などはこのインターフェースからは届かない、結局人は孤独のままだ。
(せめてセーフティがなければ孤独を忘れられるのだろうか?)
ちょっとだけかすめた言葉を頭を振って忘れる。
今どきのセーフティなど人1人の力で敗れるものではない。
特に人につなぐセーフティなどそこらの家電とは比べ物にならないぐらいのセキュリティだろう。
しかし表面だけではなく、深層心理まで交わった人間はどうなるのだろうか?
・自分と他人との境目が分からなくなり廃人になる?
・深層心理など他人とは分かち合えないものとしてただのノイズになる?
どれもゾッとする内容ではある。
しかしもしかしたら深層心理をお互いに確認することでこの孤独から離れられるかもしれない。
そう思うと妄想は広がっていった。
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