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第九話 クエストの開始地点はここですか?

第九話 クエストの開始地点はここですか?


      〜アルディアの森〜



ベアさまに教えられたとおり、わたしたちご主人さま一向は水棲型ベヒーモスがいると言われる場所へとやって来た。


ご主人さまは、クエストを受注するなりすぐに出発するぞとわたしたちに伝えた。


なんでも、アイツらはわたしたちより早く手柄をとりたいと躍起になっているから、直ぐに行動を起こすと踏んでのご判断だった。


とりあえず、珍しいほど回復薬ポーションを買い込み(いつもはご主人さまはいらないですけど)ダンジョンの攻略を開始する。


この、アルディアの森といわれる場所は、森というとおり木々が密集しており、ライトマッシュルームと呼ばれるここの名物の光るキノコが幻想的に森を彩っている。


こんなに鬱蒼うっそうと森が生い茂っている森。

水源も豊富にあるのは容易に想像できる。


刻は日が沈み夜に差し掛かってきている。


よりライトマッシュルームたちが月光に反応して森を照らし始める。


夜の森でも、ここアルディアの森は雰囲気がおとぎ話の森のように可愛らしく油断しやすい。


「オフィーリア、おまえはこの森に来るのはじめてだったな?」


ライトマッシュルームを入れたランタン(普通の光より森にある光なので獣たちを刺激しない)を揺らしながらご主人さまはわたしに問いかける。


「はい、初めてです、ご主人さま!」


「油断はするな、今は気配はないが隙を見せればピクシーたちがやってくる」


ご主人さまのお言葉にわたしは身を引き締める。


小妖精ピクシー身体は20cmほどの大きさで、ヒトの見た目に近い虫のような羽を背中につけている。

昼はただイタズラ好きな子供みたいなモノ。


だけど、夜になると豹変する。


森に迷い込んだピクシー避けの魔除け《アミュレット》がない冒険者たちに幻覚をかけ、破滅へといざなう。


精神こころの隙に入り込むたちの悪い妖精たちだ。


おまけに価値観が違うと話が全く通じない!


ブルルっとしっぽを伝って何かの視線に気付く。


まさか、ピクシーに目をつけられたのかと思い、わたしは後ろを振り返る。


目をこらすも草木がすぐそこにあるだけ。


気のせいかと、わたしはホッと胸を撫で下ろす。


「きゅー」


胸を撫で下ろしたのも束の間、何かの声がわたしのネコミミがキャッチした。


急いで耳を猫のように動かし辺りの音を聞き分ける。


「オフィーリア、どうかしたかー?」


ジークさまが、突然足を止めたわたしに声をかける。


「ジークさま、何か声が聞こえます……」


「む、マジか」


ご主人さまはすぐに地面にライトマッシュルームが入ったランタンをかざし何かを観察し始める。


「ふむ、誰かがここを通った。 しかもまだ真新しいな」


誰かが踏んでへし折った枝を拾い上げると、ご主人さまは人が通り荒らした森の変化を見極める。


それは小さな探し物を探すように細かい作業だった。


「足跡は……素人の足跡が4人と獣。 その痕跡は誰かが意図的に消しているな」


そう言うとご主人さまは後ろを見つめ鋭く射抜く。


「なんだ、何かいたか? ったく、おまえらは俺にもわかるように説明してくれ」


感知には疎いジークさまは、両方からあっちが気になるとシグナルを送られてどっちにつけばいいのか困惑している。


「キュー……キュー……」


「また、声が聞こえます!」


その声は小さく、誰かの助けを求めている声に聞こえた。


わたしは目を瞑り耳に集中する。


「あそこ!!」


「おい! オフィーリア勝手に進むな!」


ジークさまの声よりはやく、わたしは声がする方へ走り出す。


「まったく、変なところおまえに似たんじゃねぇのか? あの子」


「……ふむ、教えたわけではないんだが」


わたしは草木をかき分けて進む。



「聞こえますかー! 助けに来ましたー!!」


わたしは声を張り上げる。


どうか、間に合うようにと願いながら。


「キュー!!」


わたしの言葉に答えるようにそれは返事をした。


声を辿ると、わたしは地面の違和感に気付いた。


ポタポタと血が続いている。


怪我をしている。


そう確信づいてわたしは血の跡に続いた。


木々をかき分けわたしは、


ミツケタ。


わたしを呼んでいた、その正体を。


そこに倒れていたのは、トラバサミに脚を挟まれ、額から血を流している小さい獣がいた。


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