十九話 気持ちの想察 先輩とナナ
夜、風呂を済ませ布団の中。今日一日中遊んでいたせいか足が棒のようだ。心地よい疲労感で瞼が重くなり始めている頭で、今日の二人のことを考える。
九紫南先輩。現副生徒会長で、ミス海波と呼ばれるほどの容姿を持つ。現在は一緒に生徒会長選挙に向け活動を共ににしている。正直彼女の人気は高く、選挙は余裕で勝利することがほぼ確定しているようなものだ。聞いた話では運動も勉強もバッチリで、まさに文武両道、容姿端麗な人だ。
当然のように凄くモテる。ファンクラブがいるくらいなので相当だろう。しかしながら、前に先輩から雑談で聞いた話だが、今のところ、お付き合いしている人は居ないらしい。なんでも今までは学業に集中したかったから色恋には……とか言っていた。
そんな彼女が、今日は自分から腕を組んできたり、やたらとスキンシップが多めだった。好きじゃない相手にそんな事をする人ではないと思う。
でも、先輩が俺のことを好きになるなんて、有り得るのだろうか。先輩とはまだ出会って2ヶ月立ってないくらい。俺は特別容姿がいいわけでもない。勉強はそこそこできるが、先輩と比べてしまえば大したことはない。
そんな俺を好きになるようなイベントがあっただろうか。記憶を辿ってみる。あるとすれば、ナンパされてるのを助けたこと?でも、あれはあまり格好のいい終わり方ではなかったし、何よりその程度で惚れるほど、先輩はチョロい人ではないだろう。
とはいえ、あの後からバイト先によく来てくれるようになり、よく話すようになったし、先輩の仕事を手伝うようにもなった。やはりあれが起因ではあるのだろう。
俺は先輩を好きなのだろうか。あんな美人で優しく、凄い人だ。彼女になってくれたら、嬉しいと思う。だが、それって彼女を好きだからなのだろうか。ただ凄い人を侍らしたい虚栄心だったりしないだろうか。よく、わからない。
赤西七。中学の頃からの付き合いで、人となりはよく知っているつもりだ。中学の頃は、とても優しく、引っ込み思案な女の子だった印象が強かった。大きな胸のせいで、ストーカーや痴漢被害によくあっていたせいか、出会った頃は軽度な男性恐怖症だった。少なくとも今は、俺には腕を組んだり旨を押し当てたりと、平気になっているように思える。
まるで会わなくなっていた中学3年生の頃、何かあったのだろうか。一水先生に相談に乗ってもらって強い女を目指し、何故か高校からギャル化したようだが、一体何があったのか。昔は俺と話すときも、顔を真っ赤にしてうまく話せなかったりしたものだが、今はそんな素振りはないように思う。ただ、俺以外のクラスの男子とは話しているところを見たことがなく、変わらず男性が苦手なのか、判断がつかない。
中学2年間の付き合いがあったので、彼女と話もできなかった他の男子よりかは、仲が良かったとは思う。だが、俺のことを好きなのかと自惚れる程ではない。
俺はナナが好きなのだろうか。正直なところ、嫌いじゃない。むしろ好きな方だ。昔から彼女は思いやりのある優しい子で、話していると、気が楽になる感じだった。
今の彼女も根っこは変わっていない。全然関係ないのに、クラスの仕事や生徒会の仕事まで積極的に手伝ってくれる、とてもいい子だ。昔は地味な子だったが、明るくなったことでさらに話しやすくなったし、単純に可愛い。
だが、この気持ちは、彼女が苦手だった男たちと変わらない感情なのではないのだろうか。
胸の大きさだって、できるだけ見ないようにはしているが、どうしても目が引かれてしまうことはある。男にとって、あれはすごく魅力的なものなのだ。俺が彼女に感じる気持ちは、性欲から来てしまっているものだったりするのだろうか。やはり、今の俺にはわからない。
俺はそれから、二人の事、今日のデートのこと、これからのこと等思いに沈んでいると、そのまま意識は薄れていき、いつしか深い眠りへと沈んでいった。
女の子二人分の視点でデートシーンも書いたのだけれども、本筋からそれるのでボツに。
時間できたら閑話として仕上げてあげようかと思います。




