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十七話 デートのお誘いナナ

 さて、今日は日曜日。俺は今、駅前で待ち合わせの相手を待っている。待合せの時間まであと30分はあるので、まだ余裕はあるだろう。


「おはようございます、ケースケさん。待たせちゃいましたか?」

 九先輩が30分前だというのに、やってきた。俺と同じで時間より早めに待っておくタイプなのだろう。休日のお出かけだけあって、先輩は私服だ。ベージュっぽいロングスカート、レースの配われた白いシャツにカーキ色のブルゾン……かな、上着を羽織っている。先輩に似合う落ち着いた感じの格好だ。


「いえ、俺も来たばかりです。先輩、私服似合っていますね」

「ありがとう。ケイスケさんも、その、カッコいいですね」

 素直に服装を褒めてみたのだが、先輩にそう返されてしまう。嬉しいが、照れる。俺の顔は少し赤くなっているだろう。先輩も、心なしか顔が赤い。


「あー、何そのいちゃいちゃ会話。うらやまし〜」

 後ろから声をかけられる。ナナもまだ時間には早いというのに到着したようだ。


「お、おはよう。ナナ。えっと、ナナも服、似合ってるよ。今のナナっぽい感じで」

 彼女はデニムのショートパンツに白黒ボーダーのダボッとしたドロップショルダーニット?みたいな服装で、派手すぎないがギャルっぽい感じの服装だ。5月も終わりで暖かくなってきているとはいえ、生足は冷えないのかなと心配にはなるが。


「えへへ。ありがと」

 少し顔を赤らめ照れながら答えるナナ。


 さて、どうして今日二人と待ち合わせすることになったかというと。端的に言うとナナからの誘いを俺が断れなかったからだ。先輩と先にデートの約束しておいて何をと思うかもしれないが、昨日バイト先でこんなやり取りがあったのだ。


〜回想〜


 土曜、俺はテスト明けで疲れが溜まっていたのだろう。朝寝坊してしまい、午前中からのバイトに遅刻しそうになったのだ。急いで家を出た俺は、携帯を家に忘れてナナからのメッセージは見ていなかった。

 バイトも終わりに近づいた昼過ぎ頃。今日も来店しコーヒーを飲んでいた先輩と、明日の遊園地デートについて話をしていた。そこへ、新しいお客さんが来店する。


「あ、ケースケいた。もーなんでメッセージ返してくれないのさー。あれ、シナリン先輩だ。どもー」

 ナナがやってきた。少し前にバイト先を教えたことがあったのだが、やって来たのは初めてだ。


「シナリン先輩、席一緒していい?」

「えぇ大丈夫ですよ」


「メッセージ?あぁごめん、今日スマホ家に忘れちゃって、昨日もすぐ寝ちゃって、夜からメッセージ見てなかった」

 ここでスマホを忘れ、メッセージの確認も昨日からしていなかったことを思い出す。


「ごめん。どんな用事だった?」

「えっと、お母さんから遊園地のチケット二人分貰ったから、一緒に行かないっ、ていうお誘いだったんだけど。これ期限明日までらしいんだよね」

 ……遊園地?ひらひらとナナがそれを見せてくる。偶然にも先輩に誘われた遊園地と同じ場所だ。実は先輩のチケットも明日が期日であった。なんだろう、近所のどこかで期日が迫ったチケットを配っていたのだろうか。


「日曜は暇って言ってたからさ〜。テストも終わったし一緒にどうかなって」

「……えーと」

 先輩と先に約束していたから断らなければいけない、のだが……。俺がメッセージを見ていなかったせいで、ナナは明日の予定がたてれなかったのだろうし、昨日のうちに断っておけば他の人を誘うことも出来ただろう。

 自分の落ち度が気になってしまいまい、断らなければいけないはずなのに、すぐに断ることができなかった。


「赤西さん。実は私も同じチケット持っていまして、ケイスケさんと明日そこに出かける予定だったの」

 俺が言い淀んでしまっていると、先輩が先に話をしてくれた。何故だか申し訳ない気持ちになる。


「えっ!マジで?同じチケットって凄い偶然。そかー、先に約束しちゃってたのかぁ……」

 凄くしょんぼりして悲しそうな顔をするナナ。そんな彼女に俺はつい、余計なことを言ってしまった。


「期限明日までなら、もったいないし、もう一人誘って先輩と俺と、四人で一緒に行かない?」

 うん。せっかく誘ってくれた先輩に失礼な話だと思う。だが、女の子に悲しい顔をされてしまうと、俺の性分では女の子の誘いを断る、と言う選択肢が選べなくなってしまっていた。先輩に対してもナナに対しても、誠実ではないこの提案は、良くないと頭ではわかっている。なのに、つい口に出してしまった。


「え、でも、先輩とデートの予定だったんしょ?流石に一緒するのは悪いかなって……」

 案の定、申し訳ないことに、俺の発言はナナにも気を使わせてしまう。


「……私は構いませんよ。ケイスケさんが良いというのなら、ナナさんも一緒に行きましょう?」

 ちょっと拗ねている気がするのはたぶん気のせいだろう。先輩が俺の話に賛同してくれる。


「えっ、いいんです?アタシは嬉しいですけど……」

「えぇ。みんなで遊んだほうが楽しいでしょうし。テスト明けの打ち上げみたいなものですしね」


 ……こんな感じで先輩と行く予定だった遊園地デートはナナを加えて3人で行くことになったのだ。ちなみに、もう一人の参加者は、各々で友人に声をかけてみたのだが、明日急に行こうと言われて誘いに乗ってくれる人が、残念ながらいなかった。

 こうして俺がちゃんと断れなかったせいで、俺の初デートは、先輩とナナ。女の子二人と男一人という構成になってしまったのだ。


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