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プロローグ

初投稿 サイトの使い方がいまひとつ理解できていないので、しばらくはちょこちょこ修正をいれながら更新していきます。

 人に優しく誠実に。さらに女の子は壊れ物を扱うように優しく大切にしなさい。そんな若干古臭い思想の母親の元に育てられた俺、風見鶏介は、とくに反発する理由もなかったのでこの教えを家訓として守り、優しく誠実に生きてきたつもりだ。

 そんな俺は今年から高校一年生になり、もう三学期も終わりが近づいてきているというところで、おそらく人生で一番困った事態に遭遇している。困った事態について語る前に、少し俺のことを語らせてほしい。


 モテたことがない。


 顔が悪いとか、性格が悪いとか、コミュ障だとかという理由では、たぶんない。

イケメン、と言うわけでわないが、容姿はまぁ、できるだけ清潔にしているし、少し童顔なことがコンプレックスではあるが、顔面は中の上くらいだと思う。服のセンスもよく相談を持ちかけられるくらいには、悪くない。運動も得意で身体も鍛えており、中学生にしては筋肉質なガッチリした体型で、身長も低くはなく、170はある。勉強も学期はじめの実力テストで学年5位とそれなりに出来るほうだと自負している。親の教えを守り、優しく誠実に人と接してきたためか、人に頼られることも多く、親友、みたいな相手はいないが、ぼっちな訳ではないし、陰キャだとかいう感じでもないはずだ。

・・・が、人に優しくするというのは存外難しいもので、俺はいわゆる「八方美人」になってしまっていたのだと思う。中学卒業の頃、好きだった子に思いきって告白した時に言われた言葉がこれだ。

 

「風見くんはすごくいい人で、嫌いじゃないです。でも…いろんな女の子に優しくしすぎてて、なんか男として信用できなくで、彼氏としては無理かなって」


 ショックである。春休み中、涙に濡れた枕で眠ることになった。俺としては誠心誠意相手のことを思って行動しているつもりだったのだか、誰にでも優しくするというのは残念なことに男としては駄目なことであったらしい。

 そんな感じで俺は嫌われてはいないが、本気でモテたことがないのだ。バレンタインにかなりの数のチョコを貰ったが全部義理だったことからも、その事実が裏付けられている。さて、こんな感じの俺な訳だが、そろそろ今困ってきることについて話そうと思う。


 高校生になり、俺はモテた。

 

嬉しいことだ。

モテたことのない、初めて告白した初恋の相手にお断りされた直後に、


「私は無理だけど、今度良い子紹介してあげるよ!私は無理だけと!」


とか言われてしまった俺からしたら、モテたことを困ったと表現することは、まぁ贅沢な悩みだと思う。というか、無理なの理解したよ。そんな強調して言わなくても大丈夫だよ。最初の返事の時点でも無理って言われて、正しく意味を受け止めた結果、心抉られてブロークンだよ。追い討ちだよ。


「風見くん、進学先、海波高校だったよね?サッカー部のキャプテン、すごいイケメンって評判なんだけど、知り合いだったりする?紹介してくれない?」


 これは入学後しばらくし、告白した彼女から来たメッセージだ。・・・知り合いだったよ?ちゃんと紹介したよ?なんかうまく行ってるみたいと風の噂が流れてきているよ?頼まれると断れない性分が辛いことだと初めて感じたよ。

 ・・・すまない、彼女のこと思い出すと雪崩のように余計なことを思い出してしまう。とにかく、俺は高校に上がり、もう恋はいいかなって思っていた矢先、何故かモテ始めたのだ。だが、モテた結果、俺の八方美人な性格は、今、この時、よろしくない状況を作り出してしまっていた。

 

 目の前には4人の女性がいる。

 

「ケイスケさん、告白の返事、聞かせてくれるっていうから来たのに。彼女たちもいるのはどういうことかしら」

美しい副生徒会長。長いサラサラの黒髪姫カットが美しい、(イチノク) 紫南(シナ)先輩が落ち着いた口調で語りかける。

 

「ケー君、私にも、告白、返事する」

童顔なぱっつんセミロングな少女、幼馴染の三東(ミトウ) (ミドリ)が舌足らずな言葉で問いかけてくる。

 

「ケイスケちゃんってばモテるのね。でも告白してくれた子達を集めて、全員にまとめて返事するのは、あまり良くないことだと思うわよ?」

幼い子をしかるように、優しい口調で長い黒髪を後ろで束ねたスーツ姿の美しい女性、北白(キタシロ) 一水(カズミ)先生…訂正。元先生が言う。彼女は先日教師を首になっている。

・・・ちなみに俺がこの場所、この時間に全員を呼んだ訳ではない。全員に別の場所、時間を伝えて呼び出したつもりだ。

 

「まぁケイスケが私たちを別個で呼んだの知ったから、今日みんなで一緒に来たんだけどね」

そう明るい声でギャルギャルしい格好をした金髪ヘアーのクラスメイト、赤西(アカニシ) (ナナ)は告げる。・・・彼女たちの間で情報共有してたってこと?俺悪くなくない?なんでさっき俺しかられた感じになってたん?

 

「まぁ冗談は置いておきまして。ケイスケさん。さぁ」

 

冗談なのか、わかり辛い。さて、何となく伝わったと思うが、これが今俺の16年の人生の中で一番と言って良いほどに困ったイベントの内容である。

俺は・・・

 

「「「「誰を選ぶの」」」」

 

4人の告白を同時に受けて誰かを撰ばなければいけないという状況にいる。

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