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とあるラジオの心霊企画  作者: 銀闘狼
4/4

とあるラジオの心霊企画 終幕

最後です

 貴方は集中をし過ぎていたのか止まり掛けていた呼吸を再開して深く息を吸い、荒く息を吐く。乾いた喉を湿らせる為に唾を飲んだ音がやけに大きく聞こえる様な気がする。心臓の鼓動も早鐘を打つ様だ。


 豹変した沼田の最後の言葉と共に、水中で急速に発生した気泡が湧き上がる音とノイズが混ざり合い、耳障りな音をスピーカーから垂れ流し、其れを聞いた高松が焦った声で現場にいる二人の名を叫ぶ。


 そして、貴方は沼田が語る言葉の裏から聞こえていた音が水場を歩き、そして次第に沈んでいっていた事に漸く気付いた。


 『ザザザザザザザザザザ……』

 「阿久津ッ!!高梨ッ!!クソッ!!おい、明日香ッ!!此れはドッキリか何かか?だとしたらサッサとネタバラシして欲しいんだけどなぁ!?」

 「………いえ、此れは正真正銘向こうで実際に起きていますし、彼等は既に手遅れです」

 『♪♪〜♪〜♪♪♪〜♪〜♪♪〜♪〜』

 「聞こえますよねぇ?此の謌が。【沼謌様】の歌声が!


 貴方も【謌沼村】へ行きましょう。皆、歓迎してくれますよ」

 「クソッ!!……そう云えば、彼処にロケハンしたのは明日香、お前だったな。スタッフ達も既に仲間入りしているのか?」

 「えぇ。後は高松俊彰、貴方と………視聴している貴方、聞いていますよねぇ?貴方もですよ?


 序に一つ教えてあげるとすれば、此の女は【謌】の効きが少し悪く、今に至る迄にそんな物を残された事が少し想定外でしたね」

 「そうか……此の写真は其の時に撮られたモノだったのか……!」

 「ですが其れを知らず、気付かなければ、そんな何が写っているか良く分からない写真と云うだけの代物です。なので其れが出て来てからも放置していたのですよ」

 「成る程な……」

 「では、行きましょうか」


 其の言葉を最後に、ラジオからは激しく闘う様な物音と高松の怒鳴り声が聞こえてくる。其の間も謎の【謌】が流れ続けており、其れを聞いていると貴方の意識が朦朧として軽い目眩やフワフワとした感覚が襲って来る。


 明らかな放送事故にも拘らず止められずに流され続ける放送に危機感を覚えた貴方は、急いでラジオの電源を落とそうと手を伸ばす。


 貴方は其れに集中していたのだ。だから、背後で何かが滴る音(・・・・・・・・・)に気付けなかった(・・・・・・・・)


 「見付けましたよ(・・・・・・・)。(♪♪♪〜♪〜♪♪〜!!)」


 そんな言葉が音量を増した【謌】を伴って耳元から(・・・・)聞こえた。其れと同時に、貴方の身体からは完全に力が抜けて、意識は完全に闇へと落ちていった。


 薄れ行く意識の中で何とか振り返った貴方は、最後に緑青色の液体を滴らせて嗤う何者かの姿が見えた気がした……。

簡単な説明


 【沼謌様】は【ゾス・サイラ】で、自身を世話させる代わりに魔術を教えており、其れによって村は繁栄していた


 然し、時代が流れるにつれ村はて衰退して行き、1999年の夏に旱で沼が干上がり掛けて【ゾス・サイラ】が弱った隙に、旅人こと【ニャルラトホテプ】が現れて好き勝手した


 賀田は旅人を探索者的視点から怪しんでおり、色々探っていた


 そして、大晦日の式典で【クトゥガァ】の力を得た賀田が仲間と共に【ニャルラトホテプ】を襲撃し、仕留めるも【ニャルラトホテプ】は既に【謌沼村】を【ミレニアムタウン】化していた


 賀田は仲間と《消滅》の魔術で撤退し、【ニャルラトホテプ】は【シャンタク鳥】に乗って空に消えた


 村が大晦日の夜を繰り返す中、外では村の跡地をダム化した事で【ゾス・サイラ】が復活する。力を取り戻した【ゾス・サイラ】は村人を利用する事で新たな下僕を手に入れる事にした


 其れからロケハンに来た明日香が襲われて、下僕化する前に撮った写真を何とか放送局へと送り、力尽きた


 そして放送が始まった……

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