王子様はストーカーorz
ぱっちり二重の可愛らしいお顔、茶髪のふわふわパーマ、
165cmという絶妙な身長、そして、その全てをこれでもかと
言わんばかりにバッチリ当てはめてくるお洒落な服装・・・・
彼のことを皆は「王子」と呼ぶ。
私もそんな彼を思う一人・・・・ではなく、むしろ苦手なタイプ。
そして、私は彼の取り巻きに嫌われている。
彼女でもなんでもないんやけど・・・・
「あーいちゃーん!」
「ちょっ!目立つから大きい声で呼ばんといて」
「おはよう!」
「・・・・おはよう。今日一限B棟やろ?こっち来る必要ないやん」
「それは朝一でとりあえず藍ちゃんに会いたくて」
「じゃあ、もう会ったから解散」
「えー、せめて後5分!」
「2分」
「ケチ」
「これでも猶予あげてますー。遅刻したら今日のパフェなしな」
「なっ!・・・今すぐ走ります。また昼休み連絡するから!」
せっかくの大学生活。
自分のペースで、なるべく目立たないように生きて行こうと思った
私を邪魔する王子の名前は竹下奏。
昔からの知り合いでも何でもなく、大学に入ってから出会った。
入学の時点で、かなりの有名人だったらしい彼を知らなかった
私は、たまたま横に座って自己紹介がてら話しかけてきた
奏に普通に自己紹介だけで返した、という普通のことが
とても新鮮で、自分に全く媚びない、興味のない人物と
いうのに、彼が興味を持ってしまったらしく(嘘でも
はしゃいでおけば良かったorz)
私の周りをウロチョロされて、早1年・・・・
奏が離れると、やっかみを食らいながら、適度にイジメ
られながら生きております。
あぁ・・・・平凡な日々がほしい。
まぁ、でも何やかんや1年一緒に居ると、話す内容や行動、
趣味なども合うというか、別にそこらへんの女子や男子と
変わらんっていうことも分かったりして。
(まぁ、私に興味を持つのは悪趣味やと思うけど)
私の奏に対する態度も変わってきてるのも事実であるわけで。
時は流れて昼休み・・・・
校内の決まった場所でいつも私たちはお弁当を食べる。
離れのようなところにあるから奏も一目を気にせず食事出来る。
ちょっと課題が残ってるから先に行っといてと言われ、
行くと、珍しく先客が。
奏に連絡して離れようとした時、
「ちょっと。金谷藍さん」
「え?あ、」
この人は確か奏のファンクラブ会長さん。
「何でしょう?別に私移動しますんでそのまま居て
もらって大丈夫ですよ」
「違うわよ。せっかく奏くんが居ないんだから、改めて
あなたに忠告しようと思ってね。これ以上ちょこまか
するようなら、この学校に居れないようにするわよ」
「あー考えときます。ちょっと私用がありますので」
再び連絡しようとスマホを取り出すと、その手を
はたかれた。
スマホが落ちる。ちょっと角に傷がついたのが分かる。
せっかく奏が買ってくれたケースやのに。
会長の顔を見ると、優越感に浸っている。
・・・・はい、むかつく。
「なに?あなたが悪いのよ?壊れても弁償しませんよ」
「さっきの話ですけど。会長さんとこお金持ちやから
私一人くらい消すのも容易いんですよね。
でも、まぁ、この学校に居れなくなったところで
奏との関係は壊れませんけどね」
「なっ!じゃあ、この日本に居れないようにするわよ」
「まぁ、そこまでいくと出来るもんならどうぞって
思いますけど。もういいですか?昼休み無駄に
なるんで」
「生意気なことっ!」
そう言って振り下ろされた手を横から誰かが止める。
「何してんの?」
「奏」
「あ、あの。べ、つに」
「じゃあこの手は何やったん?握手のつもり?それは
それは、とても高圧的な握手をなさるんですねー」
顔が赤いのは奏に触られたからか、そんな大好きな
奏に直接イビっているところを見られた恥ずかしさか。
「そんなことより藍ちゃん、怪我ない?」
「う、うん。大丈夫。奏が止めてくれたから。
それよりごめん。せっかくのケース」
「そんなんいいよ。また買いに行けばさ。
で、仲良く何話してたん?僕もまーぜーて」
「・・・・奏くん、この際だから言っちゃったら
どうかしら?ほら、優しいから断れないんでしょ?
毎日毎日こんなブスと一緒に居るのなんて迷惑だ、
って。自由にしてくれって。そしたらもっと私たちと
一緒にっ」
「え?何それ。僕が君らと居るメリットって?というか
何でこっちが迷惑してるって決めつけんの?」
横にいるだけで感じる、さっきから徐々に冷めて
いっている奏のこの雰囲気。
こうさせた時のこの子は何を言っても負けない。
「何でストーカーされてると思ってんの?むしろ
逆やねんけど。僕が藍ちゃんのこと追っかけ回して
迷惑かけてしまってるんやけど。」
自覚あるんや。
「それに、ブスって?誰のこと言うてんの?そうやって
あることないこと言うて、媚びてる自分らよりも
藍ちゃんの方が外も中も綺麗やし、似合ってもない
服とメイクで飾ってるゲスい君たちの方がよっぽど
ブスやと思うけど?」
「ちょっと!言い過ぎっ(まぁ、いい気味ではあるけど)」
「・・・・ひっ!ひどいっ!」
「それの何十倍ひどいこと散々藍ちゃんにしてきたくせに」
「奏くんがこんな最低な男の子なんて思ってなかった!」
「見た目だけで判断して、王子様~って君たちが勝手に
持ち上げてただけやろ?」
「なっ・・・・」
「ほーら、僕の視界からき・え・て・?」
「・・・・っ!ふんっ!」
残酷な王子様スマイル。
こんな形で自分に向けられるなんて思ってなかったやろうな。
「藍ちゃん、大丈夫やった?」
「大丈夫ですとも、とりあえず今はね。明日からの我が身が
怖いです」
「じゃあ、より一層くっついてて守ってあげる!」
「お断りします。でも、まぁちょっとスッキリしたかも。
私なんかより奏の方は大丈夫なん?取り巻きが居てくれなく
なりますよー」
「僕は藍ちゃんさえ居れば十分ですので」
「あーあ。あの時、嘘でもはしゃいでその他大勢と同じように
接してれば良かった。じゃあ、特に目立つこともなく生きて
これたのに」
「でも、きっとその嘘すら見破って、僕はきっと藍ちゃんのこと
好きになってると思うよ」
「はーあ、こんなストーカー気質ってこと、何で皆信じて
くれへんのやろ?」
「あ、じゃあいっそのこと付き合っちゃう?カップルやったら
どれだけイチャイチャしてても大丈夫じゃない?」
「余計目立ちます」
「ちぇー」
「でも」
「ん?」
「付き合ってること公にせぇへんねやったら、かまへんよ」
「え?」
「まぁ、付き合ってようがなかろうが、こんだけ一緒に居ったら
別に今更、かっ・・・」
顔を上げた瞬間、重ねられた唇。
驚く私に、さっきとは違う正式な王子様スマイル。
「藍ちゃん、大好き。頑張ってこれからは抑えるけど、
今は言わせて?大好き!あー嬉しい。やっと!やっと!
藍ちゃんと!あんなことやこんなことを・・・・」
「・・・・えっと、取り消しましょかね」
「あーごめんごめん。でも、大好きなのはほんまやで?」
「うん、ありがとう」
「はい、藍ちゃんは?」
「え?」
「僕のこと好き?」
「好き、なんかな?もう若干感覚麻痺してるからわからん」
「えー」
「でも、この1年一緒に居って、奏と居るのが楽しくて
仕方ないから、好きなんじゃないかな?・・・・知らんけど」
「ふふっ、今はそれでも十分!さっ、遅れちゃったけど
ご飯食べよ!今日は前話してた喫茶店のサンドウィッチと~」
奏、ごめんな。
多分言葉に出すのはまだまだ時間掛かってしまうと思うけど、
いつでも真っ直ぐ気持ちぶつけてくれて、どんな時も
味方でいてくれる奏のこと結構好きやで。




