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フリマアプリ

作者: 樹村 綾人

 手持ちのスマホで写真を撮影して、説明を書いて、値段をつければすぐ売れる。あとはコンビニか郵便局に持っていくだけで、不要品が現金に早変わり。

 フリマアプリというのは、本当に便利なものだ。すっかりハマってしまった。


 最近はAIによる技術革新が進み、さらに出品が効率化された。

 たとえば、本の表紙を写真に撮れば、自動的に書名・出版社名・定価などの情報が出品画面に入力される。さらに、傷や汚れの状態を判定して、相場と照らし合わせた適正価格まで提案してくれる。

 過去の出品履歴から、「○○も余らせていませんか?いまなら○○円で売れます!」といったアドバイスもくれる。この前あったのは、HDDレコーダーを売った後に、外付HDDもどうですか、というものだった。なるほど確かに、ひとつ余っている。かしこいな。

 最近は、スマホに入っている写真を解析して、自分の所有物について「もし○○を出品したら、○○円くらいになりますよ」と通知してくれる機能までついた。たとえば、腕時計をして写っている自分の写真があれば、それをAIが調べて腕時計の相場を教えてくれるのだ。実際に出品するかどうかはもちろん別だが、情報として得ておいて損はない。いざとなったら売れば○○円になる、と知っておけば、日々の生活にも心の余裕ができるというものだ。


 しかし、余裕ができてしまったがゆえだろうか。最近、金遣いが荒くなってしまったかもしれない。

 いざとなれば売ればよいのだからと購入にためらいがなくなり、ついに50万程度だが借金までしてしまった。

 いや、まあいいか。いざとなれば売ればよいのは事実だ。

 私はいま手元に現金がないだけで、「現金に替えられるモノ」はたくさん持っているのだ。


 ある月の、借金の返済日直前。

 本棚にある本をすべて写真に撮った。AIに自動で値付けをしてもらい、ぜんぶ出品した。

 すぐにすべて売れ、返済に足るお金が手に入った。これでまた好きなモノが買える。


 ある月の返済日直前。

 AIが「最新スマートフォンをお持ちではありませんか?いまなら10万円で売れます!」と提案してきた。なるほど、以前不要な充電器とケースを出品したので、そこから気づいたのか。確かに私は、最新機種を使っている。格安スマホに買い替えれば、差額でけっこうな儲けが出そうだ。

 最新スマホはすぐに売れ、返済に足るお金が手に入った。これでまた好きなモノが買える。


 ある月は、ゲーム機を売った。ある月は、靴と時計を売った。ある月は、バイクを売った。

 しかし気づけば、借金は800万にまで膨らんでいた。「現金に替えられるモノ」は、もはや家か土地しかないのでは、という状態になってしまった。


 そして、ある月の返済日直前。

 ホームレス生活も覚悟し始めていた私だったが、写真解析を終えたAIが救いの手を差し伸べてくれた。


 「健康な眼球をお持ちではありませんか?いまならひとつ400万円で売れます!」

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